其の196:しつこさ満点「ファイナル」シリーズ

 外国映画には当然、日本で公開される際に「邦題」がつけられる。「風と共に去りぬ」や「巴里祭」などというのは名邦題としても知られている(フランスではそんな名称はないけれど)。いまじゃまんまカタカナ表記という手抜きの方が多いですけど(苦笑)。今回、紹介するシリーズ作品は・・・毎回、邦題が微妙に異なるという稀有な例(誉めてはいません)!調べて借りるとき面倒くさいから統一してほしいものだが・・・内容は迫力満点のスリラーです(ホント)^^

 
 まずシリーズ1作目が「ファイナル・デスティネーション」。飛行機に乗る寸前、その機が墜落する事を察知した主人公(男子高校生)らはそのおかげで危機から回避したのだが(予測通り飛行機は墜落)、「本来は飛行機に乗って死んだ」運命だったため、その<見えない力>は乗らずに助かった人々をあの手この手で殺しにかかる・・・というもの。

 
 2作目は「デッドコースター」(ビデオタイトル「デッドコースターファイナル・デスティネーション2」)。今度の乗り物は飛行機ではなく自動車。前作とは異なる主人公(今度は女子)がハイウェイ事故の予知夢を見る。で、彼女らは危機を脱したが、案の定事故は発生。で、またまた見えざる運命の力は「本当だったら死んでいた」人々をあの手この手で殺しにかかる(笑)。監督は元スタントマン出身だけに冒頭のハイウェイ事故のシーンは・・・凄い迫力です(タランティーノも誉めてた)^^

 
 ということで基本パターンは①:「主人公は毎回変わる」②:「予知夢を見て事故を回避」③:「その後、見えざる力によって前からいた順に助かった人が死ぬ」。中でもこのシリーズの最大の売りは事故死する人たちの死にっぷり!首ちょんぱは当たり前で「絶対こんな風に死にたくない!」と思わせてくれる痛ましさでやんす。おまけにその力は・・・もう、しつこいのなんの!月日がたっても襲ってくる(苦笑)。


 そして、いまのところのシリーズ最終作が「ファイナル・デッドコースター」。飛行機、車ときて今度は遊園地のジャットコースターが最初の惨劇の場所となります(よう考えるな〜)。1、2作目とはまたまた変わった主人公(=女子高生)が事故を察知して・・・(以下、同文)。パターンは同じながらスタッフ(「1」を監督したジェームズ・ウォンが復帰)、キャスト、そして事故のシチュエーションが毎回違う「アイデア勝負」のシリーズといえるでしょう。


 また、このシリーズの特徴のひとつは全てが「今時」だということ。CGや特殊撮影を駆使してダイナミックかつ残酷に人を血祭りにあげてゆく(笑)。「スリラー」とか「サスペンス」というとアルフレッド・ヒッチコック監督の諸作を想起しますが、彼のようなサスペンスに至る心理描写はないものの早いカッティングや凝ったカメラワークなど、いまの技術や映画の作り方だからこそ成立している作品でもあります。

 「飛行機」、「ハイウェイ」、そして「遊園地」での事故・・・。どれもたまに事故が起きるリアルな状況設定。おまけに相手は<目に見えない運命の力>あるいは<死神>ともいえる存在!これでは人間が対抗できる筈も御座いません(シュワちゃんの「エンド・オブ・デイズ」やキアヌ・リーブスの「コンスタンティン」のように人型の悪魔も出てこないし)。「ジョーズ」を見て海に入るのが怖くなった人がいるように、このシリーズを見て乗り物に乗るのが怖くなる人も・・・いるんだろうなぁ。

 下手な大作映画より、このシリーズを見て暑い夏を涼しくお過ごしください(笑)!