<其の704>ハードアクション第3弾「ジョン・ウィック:パラベラム」

 超大型台風が過ぎ・・・いきなり秋らしくなりました。おかげで風邪ひいたよ!

 

 先日キアヌ・リーヴスが来日してPRした「ジョン・ウィック:パラベラム」を観ました。孤高の"レジェンド"殺し屋を描くシリーズの第3作目です(邦題では略されてるけど原題には「チャプター3」の記載あり)。前作と時間軸が<直結>してるので、これからいきなり観ちゃダメよ。ちなみに「パラベラム」とはラテン語で「戦いに備えよ」という意味。

 

 アメリカ・ニューヨーク。「コンチネンタル・ホテル」内で裏社会のルールを破って人を殺したジョン・ウィック(=もちキアヌ)は"追放処分"を言い渡された。猶予の1時間が過ぎると1400万ドルの賞金がかけられ、世界中の殺し屋から狙われる事になる。彼は雨の降る中、「ニューヨーク公共図書館」へ。書物の中に隠しておいた聖印等を回収したものの、気の早い殺し屋たちが彼に襲い掛かってきたー!!

 

 絶賛公開中につき詳細はこれ以上書けないけど、殺し屋業界(・・・ってあるんか?)も大変ですな(笑)。見どころは何といっても過去2作を越えるハードなアクションの数々!!ガンアクションにバイクチェイス、激しい肉弾戦と凄いアクションがバシバシ展開されます❤エロはないけど、少々どぎつい殺人描写があるおかげで我が日本でも15禁(苦笑)。そしてジョンの過去が少しづつ明らかになってくるのも今作のミソ。

 キアヌ・リーヴスはこれまで「スピード」や「マトリックス」シリーズでアクションは体験済ながら、ふと考えればもう50代も半ば・・・なのにメチャメチャ頑張ってますよ(クランクイン4か月前からトレーニングを始めたそうな)!これまでのガンアクションや格闘技の他、今作では乗馬まで披露^^。スタントマンやVFXの使用を最小限に抑え、アクション映画の面白さをこれでもか、と見せてくれる。隣にいた男性客は凄いアクションが起こる度に「おぉ~!」と唸ってた(笑)。

 アクションと同時に俳優陣もバージョンアップ。ウィンストン役のイアン・マクシェーンシャロン役のランス・レディックにバワリー・キング役のローレンス・フィッシュバーンが嬉しい続投(筆者は同じ役の人が急に変わるの嫌なのよ)。新キャラとして「チョコレート」のハル・ベリーアンジェリカ・ヒューストン(「アダムス・ファミリー」)のオスカー女優2人が加入してる。個人的には2人を観たの・・・久しぶりだわ(笑)。

 一方、キアヌに襲いかかる敵もバージョンアップしていて「ジェヴォ―ダンの獣」のマーク・ダカスコス(マジの格闘家でもある)に、「ザ・レイド」シリーズで知られる格闘技"シラット"の達人、ヤヤン・ルヒアンとセセブ・アリフ・ラーマンが寿司屋をやっている謎の日本人(!?)殺し屋を怪演。マークは時々片言の日本語を話すし、ヤヤンとセセブの役名が"シノビ"って・・・(苦笑)。彼らが働く寿司屋のシーンにきゃりーぱみゅぱみゅの「にんじゃりばんばん」が流れるのはご愛敬^^。

 

 前作のラスト同様、超いいところで終わるんだけど・・・もう4作目の製作、決定してるんだって(やっぱり)!「マトリックス」4作目の後の公開になるかどうかは不明ながら、個人的には・・・あの展開から考えてあと1本どころか、2本ぐらいは作られそうな気がする!まぁ、全部観に行くけどね🎵

 

 

<其の703>衝撃のオチがくるヒューマン・ミステリー「灼熱の魂」寸評

 週末、また大型台風が来るということで・・・。日本も根本から考え直す新たな治水対策を施さないといけない時代になったと思う・・・。

 

 先日、近日公開されるアニメ映画「HUMAN LOST 人間失格」を試写会で観ました。原案となっている太宰治の「人間失格」は学生時代に読んだきりだし、SFになってる事も重々承知で観たのですが・・・あそこまで振り切っているとは(驚)!!もう何書いても・・・ネタバレになるレベル(苦笑)。太宰治も・・・びっくりしてるだろう^^。アニメ「サイコパス」シリーズ(→来週から放送される「サイコパス」第3期が愉しみ❤)のスタッフでもある本広克之と冲方丁が、今作でも制作に名を連ねているんだけれど、あそこまでの発想の転換は・・・まぁ、衝撃でしたわ。

 

 "衝撃作"といえば2010年の映画「灼熱の魂」のラストも凄かった!レバノン出身でカナダのケベックに移住した劇作家ワジディ・ムアワッドの戯曲「焼け焦げるたましい(原題:火事)」 の映画化。監督・脚色は「プリズナーズ」や「ブレードランナー」の続編を手掛けた才人ドゥニ・ヴィルヌーヴ。勿論、ネタバレせぬよう短く書きます🎵

 

 カナダにてー。双子の姉弟ジャンヌとシモンの母ナワルがプールサイドで放心状態となり、急逝した。彼女を長年秘書として雇っていた公証人のルベルは2人を呼び、ナワルから預かっていた2通の手紙を差し出す。その手紙は<姉弟の父親>、そして<兄>それぞれに宛てたもので、消息不明の彼らを捜し、その手紙を渡す事がナワルの遺言だった。だが、兄の存在は初耳で、父はとうの昔に死んだと思い込んでいた姉弟は動揺を隠せない。弟シモンが困惑する中、姉ジャンヌは遺言の真意を知る為に、母の祖国レバノンへと旅に出る。果たして、2人は本当に存在しているのか?そして手紙には何が書かれているのか・・・!?

 

 俳優名は多くの日本人には大して馴染のない方々なので割愛しましたが、上記あらすじの通り、殺人とかは起きない系の<ミステリー>です。筆者も殺人の起こるミステリーの方が好きなんだけど(笑)、この映画のラストこそ<まさに衝撃の結末>という常套句がピッタリあてはまる映画(マジ)!!

 ジャンヌが旅立ってからはーこれを<現代>とすると、若き日の母親の<過去>がカットバックされていく構成(<現代>、<過去>、<現代>、<過去>・・・)。切り替わる時に地名のスーパーは出るけれど、年号とか出ないし、そんなに知ってる俳優さんじゃないから(失礼)、慣れるまで少々時間がかかる。このブログを読んだ方は事前に「レバノン内戦」について予習しておくと理解が早いでしょう。・・・筆者は映画観た後に勉強した(苦笑)。

 

 ホント、先のあらすじ以上書くとネタバレするんで・・・内容についてはこの程度にしておきますが・・・まぁ、壮絶な時代に一生を送った女性の一代記、っていうところですなぁ。監督ドゥニ・ヴィルヌーヴは"淡々とした映画"を作る人、というのが筆者の見立てなのだけれど、その淡々さが今作や後の「プリズナーズ」にはあっていた^^。「灼熱の魂」と「プリズナーズ」は映画好き必見と断然しよう!「ブレードランナー2049」(←これも"SF"かつ"ミステリー")は・・・個人的にはもうちょい、編集なりでエンタメ度を高めてワクワクさせてほしかったけど、この淡々さが彼の持ち味である事を確信した。

 

 彼の次回作になるであろう「デューン 砂の惑星」のリメイク(2部作になるらしい)は・・・どういうタッチになるのか分からんけど。

 

<其の702>ニヒリズム漂う異色ヤクザ映画「乾いた花」

 今頃、受賞の取材には散々行った「万引き家族」を観ました。あんまりヒット&高評価の映画はリアルタイムで観ると、こちらの感想も引っ張られそうだから・・・。おまけに、このタイトルなんとかならんのか、とずっと思ってたし(笑)。

 感想は率直に"いい映画"!"面白い映画"じゃなくて"いい映画"としか言いようがない。現代ニッポンの社会問題を交えつつ、これまでもテーマにしてきた<家族とは何か?>を描いた是枝監督の集大成的作品だなと思った。加えて、わび・さびの世界だなーと。一家の描写がもろ昭和、なのも良かった^^。俳優陣は樹木希林さんは言うまでもなく、安藤桃子リリー・フランキーの演技は秀逸!数々の受賞も素直に納得。子役の2人も良かった~!「生みの親より育ての親」を実感する。

 

 同じく大ヒット&高評価だった「ボヘミアン・ラプソディ」も良かったけど・・・筆者は周囲の人ほどは絶賛しない。個人的にはフレディ・マーキュリー役がもっと本人に似ていたら、更に良かった(ラミ・マレックのファンの方ごめんね)。

 

 さて、ようやく今回の本題・・・日本映画「乾いた花」(’64)である。ハリウッドの全盛期が1950年代であったように、日本映画も同じく黄金時代を過ぎて1960年から<松竹ヌーヴェル・ヴァーグ>が起こる等(でも、ほんの一瞬ね)、<変革期>にあった。篠田正浩監督もその<松竹ヌーヴェル・ヴァーグ>メンバーの1人!その篠田監督が石原慎太郎の同名短編小説を映像化(で、石原氏も今作を誉めた)。ちなみに篠田監督には「乾いた湖」(’60)という似たタイトルの映画があるので間違えないでネ🎵

 

 3年の刑期を終えてヤクザの村木(=池部良)は出所した。組事務所も、昔の女も何も変わっていなかったものの、彼にとっては退屈で仕方がない。しかも抗争の為に手を汚したにもかかわらず、既に手打ちになっていて、手柄にさえならなかった。そんなある夜。村木が組の賭場に顔を出した時、場にそぐわない雰囲気の若い女・冴子(=加賀まりこ)の姿を目にする。冴子は可愛らしい顔立ちながら堂々と勝負して、場をさらっていく。興味を抱いた村木が子分に尋ねたところ、彼女の素性も誰のツテなのかも分からない一切謎の女性だった。

 後日、賭場の後に立ち寄った屋台で村木は冴子と偶然顔を合わせる。より大きな賭けがしたいと望む冴子に懇願され、村木はよその組が取り仕切る賭場に彼女を連れて行く。高級スポーツカーに乗り、豊かな暮らしを思わせる彼女の心中にも、晴らすことの出来ない退屈と、生きることへの疑問が自分と似ていると思う村木だったが・・・。

 

 今作は配給する松竹が「中身が難解」だとして8か月公開を見送り&おまけに映倫が「反社会的」だとして「成人映画」に指定したいわくつき。ヌードとかないものの、花札賭博の一連を細かく映像化したところが引っ掛かったのかしら??

 「毎日が退屈だから悪いことやる」・・・という行動原理は若き石原慎太郎の数々の小説に描かれた事だが(生憎、原作小説は筆者未読)、この映画では既に退屈しのぎのワルを越えて生きる意味を見出せない<虚無感>に支配された男女がメインとなっている。ここまでニヒルなヤクザは珍しい(時代劇なら「大菩薩峠」の主人公とかいたけどさ)。大スター・池部良、堂々の演技!

 特筆すべきは正体不明の女性を演じた加賀まりこ。同年公開の「月曜日のユカ」同様、その小悪魔的キャラが魅力的(撮影当時二十歳前後)!そんな彼女ゆえに大分年上のヤクザ(池部)が妙に心惹かれたのも理解できる。他に若き竹脇無我がちょっと出てたり、アニソンの大御所・ささきいさおがチンピラ役で出演してる(驚)!!アニメファンの方はその辺りも要注目ということで❤

 モノクロながら陰影を誇張した映像にシャープな編集。主人公の夢のシーンでは、ソラリゼーションを使用する等、若き日の篠田正浩の才気が見て取れる。クライマックスの●●シーン(すまん、書くとネタバレしちゃう)では現実音を一切排して延々オペラだけで通したところも素晴らしい(この映画のフィルム持ってるフランシス・フォード・コッポラが「ゴッドファーザー」の3作目で、この演出を取り入れてるという説あり)。やや残念なのは・・・ちょいちょい舞台となる横浜のシーンが出てくるものの、横浜出身の筆者的には、あまり横浜の匂いが感じないのが惜しまれた。それも狙いなのかもしれんが^^。

 

 映画の締め方も(ネタバレになるから、これも書けない!)・・・観客に余韻を残すあの終わり方で良かったと思う。全部ハッキリさせていい映画と、そうじゃない映画があるからね~。

 

 <どうでもいい追記>劇場版アニメ「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」がパチンコ化!!早速、やったんだけど・・・なんとか3回大当たり引けた^^。出玉が少ないライトミドルだけに、なかなか大勝ちは難しそうだけど、映画を再構成した演出があれこれ見られて良かったよ。

 この「逆シャア」つながりで、来年から公開される「閃光のハサウェイ」もいずれパチンコになったりして!?

<其の701>タラさん新作寸評「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」

 残暑厳しい日々が続いております・・・(汗)。当ブログの"サブ"に当たるブログのリンクを貼っておきます。これないと・・・読めないので(メンド―)。

             https://eigaman.hateblo.jp/

 

 さてさて、先日、クエンティン・タランティーノの監督9作目となる映画「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」を観て来ました。1969年(日本に置き換えると昭和44年)のハリウッドを舞台にしたサスペンス(?!)映画。俳優陣には共にタランティーノ作品出演済のレオナルド・ディカプリオブラッド・ピットのW主演!!大物2人の初共演作ということもあってヒットしているそうですがー肝心の出来は!?絶賛公開中だけにサクッと書きマス🎵勿論、ネタバレなしで^^

 

 1969年2月、アメリカ・ハリウッド・・・。リック・ダルトン(=レオ様)は旬が過ぎた、落ち目の中堅テレビ俳優。そんなリックと行動を共にしているクリフ・ブース(=ブラピ)は彼のスタントマン兼付き人にして良き親友でもある。リックはエージェントのシュワーズ(=アル・パチーノ)からイタリアの監督、セルジオ・コルブッチのマカロニ・ウエスタンの出演を持ち掛けられ自分の凋落ぶりに落ち込んでいた。一方、クリフも以前「グリーン・ホーネット」の撮影現場でブルース・リーとトラブルを起こしてスタントの仕事を干され気味の状況にあった。リックの隣の家には「ローズマリーの赤ちゃん」で話題を呼んでいたロマン・ポランスキー監督とその妻、シャロン・テート(=「スーサイド・スクワッド」のマーゴット・ロビー)が引っ越してきていた。公私ともに幸せの絶頂にいる2人の姿を羨望の眼差しで見つめるリック・・・。

 翌日、ドライブをしていたクリフは、以前見かけたヒッチハイクのヒッピー少女を車に乗せ、仲間と共に住んでいるという元映画撮影所まで送る事に。だが、そこはチャールズ・マンソン率いる通称"マンソン・ファミリー"が占拠していた・・・。

 

 以上、書けるのはここまで!!まぁ、特にストーリーらしいストーリーはない(フェリーニか:苦笑)。このブログを長年読まれている聡明な読者の方なら、上記に書いたセルジオ・コルブッチ監督や「シャロン・テート事件」、「マンソン・ファミリー」については既にご存知の事と思う。特に今作の肝が「シャロン・テート事件」にあるので、もしご存知ない方は必ず<予習>してから映画を観に行くようにして下さい。タラさんも観客が知ってる前提で映画作ってるんで。そうじゃないと、オチを含めて「ポッカ―ン」となっちゃう(←映画館で筆者の横で並んで観ていた若いカップルはこうなってた)。

 タラさんが幼少時代に見たハリウッドの様子(←タラさんは1963年生まれ)を彼独自の発想と解釈で表現したのが今作。CGが嫌いだからって、ハリウッドの大通りを巨費を投じて1969年当時を再現(街並みから車、通行人の衣装含む)したのは凄い(街のあちこちに当時、実際に公開された映画の看板やポスターが貼ってあるのは観てて楽しかった^^)。

 あと<クライマックス>の演出には大笑いしたわ~!・・・書けないけど(笑)。生憎、映画館で爆笑していたのは筆者だけだったが(苦笑)。前作にして傑作「ヘイトフル・エイト」よりは落ちたけど、個人的にはなかなか楽しめた。書きすぎるとネタバレになるので、余計な(どうでもいい)話をメインに書いていこうと思う。

 

 筆者が鑑賞前、周りで既に観た人は「上映時間(2時間41分)が長すぎる」とか「もっと編集でカットできる」とかいう人がいて、いまいち評判悪いんだけど・・・まず、タラさんの映画って、どれも基本長いじゃない(笑)。彼の大好きな監督のひとり、セルジオ・レオーネのスタイルを真似してると思う(レオーネ映画も2時間半とか3時間ざら)。かつ台詞で済ませていいところも<再現シーン>や<想像(?)シーン>をご丁寧に入れてるから・・・こりゃ長くなるわ(笑)!

 今作のタイトルもレオーネの作品からとってるのは間違いないし・・・なんせレオーネの遺作のタイトルは「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」だし、邦題「ウエスタン」の原題も「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウェスト」。「夕陽のギャングたち」も当初のタイトル案は「ワンス・アポン・ア~系」だったそうだし、盟友ロバート・ロドリゲスの"マリアッチ3部作"の最終作もタラさんの提案でタイトルが「ワンス・アポン・ア~系」になった過去あり!よって、彼が自身の監督作にも「ワンス・アポン・ア~系」にしたのも必然だと筆者は考える。

 その上、先述した実際の映画、テレビ番組、実在の人物と架空の映画やテレビ番組が混在しているし(筆者も7割ぐらいしか分からんかった)、加えてシャロン・テートの話を知らないと・・・つまらないと思う。よって万人受けはしない、お客を選ぶ作品ともいえそうだ。

 そもそもタランティーノ自体、ナイスな台詞回しと展開に加え、いろんな映画からの模倣や引用から作った映画で注目された人物でもあるのだが(褒めてます^^)、レオーネの最高傑作だと筆者は思っているー邦題「ウエスタン」自体、過去のハリウッド西部劇からあれこれ引用して作られた映画なんだよね。という事はレオーネはタランティーノの<引用、模倣の先輩筋>にあたる人・・・今作はタラさんとレオーネの共通点が白日の下にさらされた作品・・・というのが筆者の結論❤

 

 それにしても幾つかの情報番組の「映画コーナー」でストーリー紹介の時「1969年、ハリウッドの黄金時代・・・」なんてナレーションつけてるのを見たけど・・・違うから!!この時、ハリウッドはテレビの台頭や「ベトナム戦争」、「カウンターカルチャー」等の要因でスタジオ経営はヨレヨレ&「アメリカン・ニューシネマ」が出てきた<変革期>だったのよ。「俺たちに明日はない」や「卒業」が1967年、劇中登場したスティーヴ・マックィーンの「ブリット」は1968年。この年には、かのキューブリックの名作「2001年宇宙の旅」も公開されてる。

 ・・・まぁ、若いディレクターが大して調べもせず、上の人もろくに知らないのにチェックオッケーして放送したのがバレバレ!映画の宣伝会社の人&テレビの人、全てが映画に詳しい訳じゃあないのは先刻承知だが・・・必要最低限のレベルは調べてほしいものだ。 

<其の700>うらめしや~・・・「東海道四谷怪談」(’59)

 お盆休みも終わりまして・・・少~しだけ涼しくなった気がしないでもない^^。ほんの少し、、、だけど。

 

 さて、<日本の夏>といえば<怪談>。<怪談>といえば「四谷怪談」・・・という事で四世鶴屋南北による歌舞伎のメジャー演目につき何度も映像化されている中、今回は<怪談映画の最高傑作>と評価の高い1959年版の「東海道四谷怪談」を紹介(ベタすぎる流れ^^)。これ観て涼しくなっておくんなまし^^。

 

 備前岡山藩の浪人・民谷伊右衛門(=天知茂)は、お岩(=若杉嘉津子)との婚儀をお岩の父・四谷左門に反対された上に侮辱された為、左門を斬り殺す。その場にいた直助(=江見俊太郎)の入れ知恵を受けて伊右衛門はお岩とお袖の姉妹に「父親は御金蔵破りの犯人を突き止めた為に殺された」と嘘をつき、犯人に仇討ちする為、江戸へ行こうと誘う。だが、左門と共に殺された佐藤彦兵衛の子でお袖の許婚・佐藤与茂七も同行。お袖に好意を寄せている直助は伊右衛門と共謀、与茂七を途中訪れた滝から突き落とした。

 江戸ー。念願だったお岩と所帯を持ち、子供も産まれたものの、仕官の当ては無く、貧乏暮らしを嘆く彼女に伊右衛門は愛想をつかし始める。そんなある日、伊右衛門は町で因縁をつけられ困っていた旗本:伊藤喜兵衛の娘・お梅(=池内淳子)を助ける。喜兵衛は伊右衛門にお梅の婿になって欲しいと申し出る。悩む伊右衛門に直助は毒薬の包みを渡す。旗本家に婿入りする欲求に負けた伊右衛門は嘘を言って、毒薬をお岩に飲ませると・・・!!

 後は皆さま、ご存知の展開になります^^。

 

 監督は<怪談映画の巨匠>と呼ばれる中川信夫。今作以前にも同じ新東宝(←エロ、グロを全面に出した作品を連発して近年再評価されつつある映画会社。以前、書いた気がするんで詳細は割愛^^)で「亡霊怪猫屋敷」(’58)や、今作の後にも「地獄」(’60)とか作った知る人ぞ知る凄い御方。

 今作では今じゃ有名なネタ「民谷伊右衛門忠臣蔵の討ち入りに参加しようとする赤穂藩の浪人」という設定なし&メジャーなキャラ・小仏小平もカット(←按摩の宅悦は出るよ^^)。歌舞伎の筋とはあちこち改変して、善と悪の間で揺れる伊右衛門に焦点を当てた作劇。観てると心底悪い奴は直助(=江見俊太郎)で、優柔不断な伊右衛門は彼の提案を何度も聞き入れすぎて・・・最悪の事態を招いてる(苦笑)。

 低予算ながらスタッフ・キャストとも相当な熱意をもって撮影にあたったそうで、カメラマンは冒頭の長回しに当たってカメラが直角に移動出来るよう工夫を凝らし、毒を飲んだお岩さんが櫛で髪を梳くとボロッと抜ける有名なネタも、この撮影にあたって床山(←髪を結うスタッフ)が細かいところを監督に電話して指導したという。美術面でも畳敷きの部屋がお岩さんの遺体を流したお掘りに変貌する場面とか・・・スゲー!昔の映画スタッフの姿勢を素直にリスペクトする。

 俳優陣はなんといっても伊右衛門(お茶でもロックバンドでもない方)を演じた天知茂ですよ!主人公が完全に悪というキャラ設定の「四谷怪談」の映画もあるけれど、今作では短気で悪い奴には違いないんだけど・・・好きだったお岩さんを完全に捨てきれない、良くも悪くも"人間臭い"伊右衛門を巧演。あれだけしょっ中、殺した相手が目の前に出てくりゃ誰でも錯乱するだろうけど(笑)。今作を観た作家・三島由紀夫(大の映画ファン)は天知を絶賛。後に江戸川乱歩の原作を三島が脚色した舞台「黒蜥蜴」の明智小五郎役に起用する。それが後に始まる「土曜ワイド劇場」の「江戸川乱歩シリーズ」の明智役につながるという訳!・・・人生、何がどう転ぶかわからんなぁ^^。ちなみに筆者が天知茂と聞いて連想するのは「土ワイ」の明智先生(笑)。

 

 昔は「怪談映画」というだけで、一段低く見られる傾向にあったようだけど、今作のカメラマンは後に香港映画界でも活躍する西本正。あのブルース・リーや「ミスター・ブー」の作品も撮影した御仁!悲哀溢れる音楽を手掛けた渡辺宙明は後に数多くのアニソンや特撮ドラマの音楽を手掛けている。「お岩さん」からスーパースター:ブルース・リーに、今や世界に轟くアニソンまで派生していたとは (筆者も書いてて驚いた^^)!一流スタッフが若き力を結集した映画が「東海道四谷怪談」だった。そりゃ凄い訳だわ🎵

 

 

 

 

 

<其の699>「終戦記念日」に・・・「肉弾」

 梅雨は明けたものの、巨大な台風が猛威をふるっています。皆様、どうぞお気を付けて!!

 本日は「終戦記念日」です。・・・日本人はどんなに年月が経とうとも、戦争の記憶を忘れてはいけないと思います。そこで今回紹介するのは「肉弾」(’68)。「独立愚連隊」シリーズ他で知られる故・岡本喜八監督の代表作の一本。

 

 第2次大戦末期の昭和20年・夏。大学在学中に召集され、軍の幹部候補生となった21歳6か月の"あいつ"(=寺田農)。今、彼は太平洋上を魚雷にくくりつけられたドラム缶の中で敵の船が来るのを待っている・・・。

 先日、広島に新型爆弾が落とされ、ソ連も参戦。"あいつ"ほか若き候補生達は本土決戦に備える<特攻隊員>にされた。一日だけ外出を許された彼は「如何に有意義に過ごすか」を念頭に古本屋へ。そこで店を営む老夫婦(=笠智衆北林谷栄)と知り合った後、その足で焼け跡に密集する女郎屋へと向かった。すると数学の勉強をしている可憐な女子高生(=大谷直子)の姿を目にして・・・。

 

 今作の脚本、監督を担当した岡本喜八(1924年2月生まれ)は「豊橋予備士官学校」の生徒として、敗戦を迎えた経験の持ち主。生年月&豊橋も激しい空襲を受けた地域であるだけに、岡本が自身の分身として、"あいつ"を描いた事は容易に推測できる。

 岡本監督だけに「肉弾」も「東宝作品」・・・と思いきや、今はなき「ATG」作品!かの「一千万映画」ですよ(←これについては以前、当ブログに書いた記憶があるので、昔のやつを探して読んでみて下され^^)。岡本は前年、大作「日本のいちばん長い日」を手掛けているが、「日本の~」で描いた政府や軍部側ではなく、もっと自身の戦争体験を反映させた作品を作るべく、製作費を捻出する為に大ヒットした「日本の~」の監督ギャラ&自宅を抵当に入れて製作をスタートさせたそうだ。

 そんな執念の一作だけに、気合が入りまくった重厚な作風・・・を想像しがちだが、そんなことは全くなし!早いテンポとすさまじい編集で展開される、いつもの<喜八タッチ>。台詞に合わせてインサートされるイラストや同じ台詞を繰り返す"遊び"の部分もあったりすることから・・・脚本を読んだ北林谷栄は戦争を茶化してると思い、一度出演を断ったという(苦笑)。ですから、若い人には構えずに観て欲しいと思う次第。

 主役の寺田農(若い!)は理不尽な状況に翻弄される主人公を好演。学徒動員&特攻隊という戦争ももうほとんど勝ち目なしの土壇場で打ち出されたこれらの方針が、どれだけ日本の将来を担う若人の命を奪ったことか・・・彼らの事を思うと、涙がでてくるわ。

 一方、ヒロインの大谷直子は今作がデビューにして、当時、<リアルJK>ながらヌードも披露!ご本人が後年「脱ぐことは何とも思わなかった」とコメントしているからいいものの・・・今じゃ完全にアウト(笑)!!・・・少々、話が脱線しますが、この当時は東宝以外の各映画会社が「ピンク映画」に走ったものの、東宝は出資してた、この「ATG」がエロ路線を"代行"していたから「肉弾」でも大谷さん以外の女優さんも少々脱いでます!それにしても、もう何度も書いてるけど、関根恵子(現・高橋惠子)といい原田美枝子ほか、10代でバンバン脱がされている・・・。やっぱ60年代、70年代は凄い時代だったなぁ^^。

 「ATG」が低予算の「一千万映画」(といっても今の貨幣価値なら、その何倍かはあるけど)といっても、女郎屋のある焼け跡とかのセットがめちゃリアルで・・・とても低予算には見えない。なんでも東宝のスタッフが休みをとって、手伝いにきたそうでーそんな努力と苦労がこの映画を支えた訳。

 

 今作が高く評価された後の1971年、岡本喜八は「激動の昭和史 沖縄決戦」を監督。これも当ブログで以前書きましたが・・・軍司令部の迷走の結果、約25万人の犠牲を出した沖縄戦の過程を描いた。「肉弾」の劇中でも「(米軍に)沖縄までとられて・・・」という台詞があるので「沖縄決戦」→「日本のいちばん長い日」→「肉弾」と<時系順>で見るのもいいかも。 主人公"あいつ"がどんな結末を迎えるのか、気になる方、是非映画を観てみて下さい^^。

 

 さて、来月頭にはタランティーノの新作を観にいくかー❤

 

 

<其の698>暑い夏にピッタリ!?アニメ「幼獣都市」

 梅雨もようやく終わりましたが、台風が連チャンで来てて恐ろしいな~(雨嫌い)!

 

 さて・・・本題の方に。DVDが廃版だった川尻義昭監督作、アニメ「幼獣都市」(’87)が先日ブルーレイ化されたんだけど・・・1万5千円はあまりにも高すぎるでしょ(怒)!!そんな怒りを受けてメーカーさんに安価で再発売させる為にも「幼獣都市」をご紹介しようと思う。その内容はアクション&グロにエロ!暑い夏に観るにはピッタリでしょ(違うか)!?でも、Hなシーンがバンバンあるんで、良い子は大人になるまで観ちゃダメよ❤

 

 長い間、"人間社会"と"魔界"は秘密裏に平和共存に努めてきた。その2つの世界の共存を妨げる者達と闘うのが<闇ガード>である。腕利きの闇ガード・滝蓮三郎は、両者の不可侵条約調印を行うイタリアの老伝道師、ジュゼッペ・マイヤートの警護を依頼される。調印式前夜、来日するマイヤートを警護すべく空港に向かった滝は調印阻止を狙う魔界の過激派達に襲撃される。滝の窮地を救ったのは魔界側の女闇ガード・麻紀絵だった。2人はマイヤートを連れ、結界の張られた都内のホテルへ。だが、強固な結界を破って異形の暗殺者達が彼らに襲いかかるー!!

 

 原作は菊池秀行の同名小説(「妖獣都市」は「闇ガード」シリーズ第1作)。原作に惚れ込んだ川尻が初めて企画から仕上げまで監督としてやり切った、という事で<真の初監督作>と公言している。

 ハードボイルドなムード(川尻デザインのキャラも硬質なタッチ)の中、繰り広げらるハードアクションは必見!いかにもアニメ的な構図とテンポが・・・かっこいい!!主人公の滝のキャラは物語にマッチしているけど・・・あの渋さで25歳とは(笑)。どう見てもあの顔と落ち着きっぷりは30越えてるだろ(笑)!!ヒロイン・麻紀絵は"いかにも川尻キャラ"という絶世の美女!で、お話の要となるジュゼッペ・マイヤートが超助平キャラで笑わせてくれる。ほとんど下ネタだが^^。

 一方、対する魔界のキャラ達はロブ・ボッティンがデザインしそう、あるいは「幻魔大戦」(川尻も原画として参加してる)にでも出てきそうなすげーデザインのモンスターばっか!!いきなり手足が伸びて、ぱっくり開いたアソコから牙が生える<蜘蛛女>は秀逸だと思う。後の監督作「獣兵衛忍風帖」(’93)に出てくる敵の忍者集団(←ほとんど人間じゃない^^)の先駆けと言えるかも。ちなみに「獣兵衛~」は以前、このブログで紹介しているので、そちらも気が向いたら読んで下さいネ❤

 今作、元はオリジナルアニメ作品として企画されてトータル80分程あるんだけど、当初は35分の長さで、その尺の脚本で絵コンテ書いていたのに・・・なんと原作者とプロデューサーの間で行き違いがある事が判明。原作者OKが出る80分の長さに急遽変更(驚)!元の絵コンテを使いつつ、頭と間・・・原作にはない<蜘蛛女>のキャラを考えたり、「トンネル内のバトルシーン」等を足して足して足しまくって・・・現在の長さにしたそうな(笑)。でも作品はそんな事情を全く感じさせない素晴らしい仕上がり!そんな裏事情もありつつ、原作の菊地先生も作品を誉めてるんだから、こういった事が出来るのが才能ある人・・・ってことなんでしょうね(後に川尻は菊地作品「魔界都市<新宿>」(’87)、「バンパイアハンターD」(’00)も監督)。

 

 ビジュアルもさることながら、最後には「おっ!?」という"意外なオチ"も用意されていて、海外でも評価の高いさすがの川尻作品。ここ最近、筆者的にはそんなにご活躍を目にしないのが残念ではあるのだけれど・・・。

 どうだいメーカーさん、「幼獣都市」や「魔界都市<新宿>」のブルーレイ(あるいはDVDも)を皆が目にしやすいよう、安価にして再発売してみたらいかがかしら?その方があまりの高さに買うのを控えた大勢の映画ファン、アニメファンも喜ぶけどなぁ~(ホント、マジで)!!是非、ご一考お願い致します。

 

<どうでもいい追記>

 今月末、タランティーノ監督の新作が公開されるのは嬉しいんだけど・・・サントラのCDが未だに未発売(配信はされてる)!筆者はいままでのサントラCD全部持ってるんで・・・今回もCD出してくれ~~(←アナログ)!!

 

 何気に「2」のブログも足せば、もう700回は更新してるね・・・。少しでも映画ファンの方々に役立つブログになっていればいいのですが。