<其の841>番外編:映画監督研究本についての短文

 明けましておめでとうございます!本年もどうぞ宜しくお願い致します・・・って大分遅いけど(苦笑)。2025年1月もはや半月すぎました。九州で地震が起きたり今年はどんな年になるんでしょうねぇ・・・(憂)。噂の7月5日に、、、マジで何か起こったりして(怖)!?

 

 阿部寛が主演する来月公開予定の映画「ショウタイムセブン」。1本の電話をきっかけに、阿部ちゃん演じるテレビキャスターが連続爆破テロ事件と対峙しながら生放送(ショウタイム)を進行させる、というサスペンス映画なのですがーこれ、2013年の韓国映画「テロ,ライブ」の日本版リメイク(大分、細かい部分は変えているらしいが)。オリジナルは現実的に考えるとつっこみどころもあるけれど、手持ちカメラと早い編集でド頭から一気に駆け抜ける面白い映画です^^。果たして日本版はどうなるのか楽しみだわ❤

 韓国も時々日本映画リメイクしている&日本も以前から韓国映画のリメイクはしてるけど(藤原竜也の「22年目の告白 私が殺人犯です」ほか)、韓国映画には面白い映画が沢山あるので、どんどんリメイクして両国の映画界の発展と共存に寄与して欲しいと思います。・・・リメイク料、いくらかかるかしらずに無責任に書いていることは書くまでもない(苦笑)。

 

 話は変わりまして・・・ディープな映画ファンなら、ある程度、映画関係の書籍なり雑誌は読んだりしていると思います。大抵、書店には「映画コーナー」がありまして、筆者もちょいちょいのぞきに行きますが(筆者の趣味のひとつが「映画鑑賞」と「映画史研究」なので)・・・<映画監督の研究本>は面白い!作品の論評や制作時の裏話、本人・関係者のインタビューとか読むと更に作品の理解度が深まってくる。

 日本人監督だとやはり黒澤明が圧倒的に多い(次いで多いのは小津安二郎あたりか)。筆者が好きな市川崑川島雄三も何冊かは出てるけど鈴木清順三隅研次岡本喜八中平康とかは・・・出ててもめちゃめちゃ少ないか絶版状態(怒)!

 一方、外国映画は圧倒的にヒッチコックの研究書が多いな~。キューブリックも結構ある。スピルバーグタランティーノもちょいちょい。フェリーニヴィスコンティ知名度の割にそんなに出てない。デ・パルマもちょっと出てるけど、かのフィンチャーなんか・・・まだ翻訳本1冊しか出てないわ!何故だ!?

 リドリー・スコット御大(87歳!!)は近年、研究書が続々刊行されている、ある意味珍しい監督のひとり(毎年作品を発表している影響ありあり)。低迷してた過去も知っているので嬉しい限りだが、つい先日「リドリー・スコットの全仕事」なる翻訳本が発売されたので、いきつけの本屋に行ったら・・・2、3軒見ても売ってない!!本としてはちょっと高額だし、そんなに売れる本じゃないというのもあって入荷を控えてる気が・・・。こうなりゃ意地でも買ってやると思い(Amazonで発注しようかとも考えたけど、配送待ってる時間がもったいない)在庫のある本屋を調べて仕事帰りにわざわざ帰り道でもないルートを移動して・・・買った!!1冊しか置いてなかった(アブね~)!!

 「全仕事」というタイトルの割には、映画監督になる前のCMやプロデュース作品(TVドラマ含む)についてはあまり記述はなかったけれど(苦笑)、最新作「グラディエーターⅡ」まで論評されているのは良かった^^。筆者はリドスコ楽しんごのドドスコではない)やスピルバーグタランティーノティム・バートンあたりの監督の作品は大半リアルタイムで観ているので、このテの本を読み時は常に論評はところどころ同意、ところどころ意見の違うところもありつつ、なんだかんだ一ファンとして楽しく読んでいる。これからも好きな監督の研究書が出る度に・・・きっと買っちゃうんだろうな~!日本人が書いたやつよりも翻訳は値段が高いし、ただでさえ本の置き場もないのに!!

 

 ・・・筆者の悩みは尽きない(苦笑)。

 

<其の840>2024(令和6)年総括(でも大して観てない)

 クリスマスも終わり、年末年始モードに入りました。この物価高はトランプさんが戦争止めさせたら終わるのかしら!?

 

 先日、複数の映画サイトの<お薦めミステリー・サスペンス>を読んでいたら「ユージュアル・サスぺクツ」や「セブン」、「シックス・センス」等定番作品にまじって「“アイデンティティー”」(←真剣に観てるとオチに唖然とするトンでも作品!ミステリー小説とかも読むガチファンならガッカリすると思う)やマーティン・スコセッシの「シャッターアイランド」とか選ばれていて超びっくり(・・・確かに人の感性はそれぞれで、当ブログも大層なタイトルつけてるくせに筆者の感性によるチョイスなんで批判は出来ませんが、ただ筆者も映画館行くようになって半世紀たってて少々鑑定眼には自信あるんで)!!スコセッシ作品で選ぶなら「シャッターアイランド」よりは「ケープ・フィアー」の方を普通は選ぶでしょ!!

 そもそも「ケープ・フィアー」は「ナバロンの要塞」、「マッケンナの黄金」他で知られるJ・リー・トンプソン監督作「恐怖の岬」のリメイク。主人公の弁護士をグレゴリー・ペック(←原作小説の権利買った&原作とタイトルを変えた)、彼につきまとう男にロバート・ミッチャム。一方、スコセッシ監督版では弁護士をニック・ノルティ(「48時間」シリーズ)、つきまとい男をスコセッシの盟友ロバート・デ・ニーロが担当。基本的な流れはほぼ同じなんだけど、時代が変わったおかげでスケールも表現方法(台詞や暴力描写)も大幅にパワーアップ!!筆者は基本的にはオリジナル尊重派で、リメイクには懐疑的な人なのだけど(ついでに書くと名作アニメの実写化も基本的には反対)今作はオリジナルを上回る数少ないリメイク成功作だと思う(ペックとミッチャムもちょい役で出演。後年のインタビューでJ・リー・トンプソンも今作を絶賛)。いまではジュリエット・ルイス出世作という見方もあるけれど・・・未見の方はデ・ニーロの“怪演”に要注目!あんな男に狙われたらマジで超怖いよ^^

 

 さて・・・ようやく“本題”の方に(笑)。本年2024年に映画館で観た映画は11本となりました。コロナがちょっと落ち着いた昨年は20本観たんだけど、今年は個人的にはそんなに観たいものがなかった、、、ということで(勿論、何本もいい映画を見逃している事は自覚してます)。以下、映画館でのみ鑑賞した作品を列挙します。これまで同様、TV放送やソフト(レンタル&購入)、試写会、配信(なにも加入してない)は含んでいません。

 

①(1月):「エクスペンタブルズ ニューブラッド」

➁(4月):「デューン  砂の惑星  Part2」

③(4月):「オッペンハイマー

④(5月):「ゴジラ✕コング 新たなる帝国」

⑤(8月):「ブルーピリオド」

⑥(9月):「エイリアン:ロムルス

⑦(10月):「ビートルジュースビートルジュース

⑧(10月):「柔らかい殻」<リバイバル

⑨(10月):「八犬伝

⑩(11月):「十一人の賊軍」

⑪(11月):「グラディエーターⅡ 英雄を呼ぶ声」

 

 「アクション」、「SF」に「歴史劇」・・・相変わらず「社会派映画」とか「芸術映画」とかを選んでないな~!完全に「秘宝系」(苦笑)。やっぱり映画にはエンタメ要素がないと^^。

 上記11本、それぞれ鑑賞理由があるし、出来も皆そこそこ良かったからいいけど、スタローンがいない「エクスペンダブルズ」は次作が公開されても観に行かないかな(リアル「ロッキー」、「ランボー」世代なので)。

 映画だけなら、まぁまぁ無難な1年・・・だったということで。世界的、日本国内的には未だ続く戦争に、新年早々の震災に「闇バイト」による治安悪化、加えて物価高による生活苦とかで決していい1年ではなかったけど(明るい話題はメジャーリーガー大谷翔平選手の活躍ぐらいか)。

 

 来年は久々にジョン・ウーの映画が日本公開予定だし(喜)、トム・クルーズのシリーズ第8弾(やっとか)に「アバター」の3作目とか(さほど期待してないけど)、「ルパン三世」の新作・・・と話題作はちょいちょいあるようだ。何度目かの新生「スーパーマン」は・・・ちょっと微妙。実写版「ゲッターロボ」は・・・もっと微妙(苦笑)。せめてフィリピンで作られた「ボルテスV」ぐらいのクオリティーはないと、日本としてはマズいよね。

 そんな訳で来年もいい映画ライフを送れることに期待して、当ブログの今年の更新は終了!さて、来年2025年は1月のいつ頃、何から紹介しましょうかね・・・現状、全くのノーアイデア(苦笑)!

 

 ということで今年もお世話になりました!良いお年をお過ごし下さい。来年も宜しくお願い致します^^

 

<其の839>劇場版アニメ「ベルサイユのばら」超短評

 12月も早くも半ばとなりました!それにしても、この物価高はなんとかならんのかね!?戦争も早く終わって欲しい・・・(祈)!!

 

 試写会で来年1月公開予定の映画「ベルサイユのばら」を観て来ました。日本の少女漫画の金字塔「ベルばら」はフランス革命を題材に、実在した人物としていない人物を絶妙にブレンドさせて描き上げた池田理代子先生の大傑作!個人的にはリアルタイムでテレビアニメ(後半の演出は出﨑統!!)を観ていた(そのアニメDVDも所有)&漫画も全部所有しているので(だいぶ後に発表されたエピソード編の数々も含む)“にわかファン”ではないのですよ。おかげでフランス革命の歴史書とか、マリー・アントワネットの研究書とか読むとオスカル達が出てこないので、物足りなく感じるようになってしまった(苦笑)。そんな筆者でも、あのかつての実写版映画(何年か前にDVD化)はテレビ放送された時、余りの出来の悪さに30分で観るのやめたけどさ(この作品は後に発売された映画秘宝のムック本「底抜け超大作」の1本に数えられている)。

 大分前にアニメ映画化の話が出たけれど(音楽の担当はYOSHIKIと告知されてた!)

いつの間にかポシャってたので「もうないだろう」と思っていたら、いつのまにか劇場版が実現(前に告知されていたスタッフとは完全に変わってた)!けれど原作を考えたら最低でも前・後編の2部作と予想していたら、まさかの1本立てでラストまで描くという・・・(驚&怖)。

 色々想像した上で映画を観た結果・・・想像よりは良かったわ!大分ハードル下げてたのはあるけれど(笑)。ここからはネタバレになるので、あまり書けないけれどストーリーはオスカル、アンドレ、アントワネットにフェルゼンの主要4人に絞って展開。その作劇方法は歌を多用したマーティン・スコセッシの「グッドフェローズ」を個人的には想起させた。

 なんせ上映時間2時間弱なので、数々のエピソード&キャラクターがカット(出てきても台詞なかったり)。個人的にはあと30分ぐらいあって、もう少しドラマを見せてほしかったな・・・。脚色に関しては公開されたら賛否両論出てきそうだ。

 最初の方は特にアントワネットの絵が池田理代子先生の絵と違うので違和感を感じたけど、観ている内に慣れた。また声優陣もハマってて良かったよ(オスカルを演じた沢城みゆきさんはテレビの田島令子さんに寄せてた気がした)^^。

 

 昔からのファンとして本音を言えば、3部作とかでゆっくりじっくり「ベルばら」の世界を堪能したかったけど、早送りで映画を観る人達もいる現在、これはこれでありだろう。原作のスピリットは外してないし。今作を観て興味もった方は是非、原作漫画やかつてのテレビアニメを観て欲しいものです。筆者もつい帰宅してテレビアニメのラスト2話を見直したし^^。

 

 さて、次回がおそらく年内最後の更新!2024年の総括回だけど・・・今年も大して映画館行ってないから、どうなることやら。

 庵野秀明脚本の「ガンダム」も放送される令和7年。「ルパン三世」の新作映画も公開予定だし、、、アニメファンにはいい年になりそう^^。

 

<其の838>まさかの続編!「グラディエーターⅡ 英雄を呼ぶ声」短評

 リドリー・スコット監督最新作「グラディエーターⅡ 英雄を呼ぶ声」を観ました(この副題いるか!?)。前作から24年・・・「ビートルジュース」を想起させる、まさかまさかの続編です(話を聞いた時は「なんで今更!?」と思った)。

 ふと考えてみるとリドリーさんが“続編”作るのって「エイリアン」の前日譚「プロメテウス」の続き「エイリアン:コヴェナント」以来なんだよね。今月で87歳になる彼がこんな超大作を・・・もう観に行くしかないでしょ!いつものようにネタバレしないように書くけれど「1」は必ず観ておくように。完全に直結してるので。それにしても「八犬伝」、「十一人の賊軍」に次いで今作・・・。最近、時代劇ばっかで現代もの観てないなぁ(苦笑)。

 

 前作より時は流れて西暦211~212年頃、ゲタ帝とカラカラ帝(大浴場つくった人としても知られてる)が共同統治していた時のローマ。前作の主人公マキシマス(=ラッセル・クロウ)の息子ルシアス(=ポール・メスカル)が逃亡先で行われた戦いに負け、奴隷商人マクリヌス(=デンゼル・ワシントン)に見いだされ父親同様・剣闘士として戦う事に。ルッシラ役でコニー・ニールセンが続投してます。

 

 率直な感想としては「これ、製作費いくらかかってんの!?」というぐらい、堂々としたスペクタクル史劇に仕上がってます。前作はまだCGのレベルが低くてコロシアムの外観なんぞ「CGでーす」と一目で分かるクオリティーだったけど、今回はどこまでセット造って、どこをCG足してるか分からないぐらいリアルだった。ローマの街のロングショットの画も見事。絵画を参考に、自らストーリーボードを描くリドリーさん、流石です^^。映像美に加え、合間合間に合戦や剣闘士同士の戦いが入るので、飽きずに148分の長尺を観られた。

 コロシアムでは様々な猛獣と戦わされたり、中に水を貯めて船を浮かべての海戦が行われた事も知られてるけど、それらもリアルに再現されて(人体破壊描写もグー)、前作よりバージョンアップしてる点も高評価だわ^^。お話もそんなに複雑じゃないしテイストも前作に似てるけど面白い。筆者もカラカラ帝ぐらいは知ってたけど、デンゼルさんが演じたマクリヌスも実在の人物だったと映画観た後に知った(自分で調べたのよ)。いや~、映画って本当に勉強になりますね~(←水野晴郎先生の口調で読むこと)!

 こんな大作を海外ロケを含めて基本8台、最大で11台のカメラを回したシーンもあるそうだが、約50日で撮り終えたというから・・・しかも監督は高齢、とても信じられん!!こんな早撮りは現在ではリドリーさんとスピルバーグぐらいしかいないんじゃない!?しかも撮影素材はすぐ編集マンに渡すので、クランクアップする頃には編集の半分が終わっているという・・・(驚)。恐るべし、リドリー・スコット!!

 

 ご高齢(失礼!)でありながらハイペースで作品を作り続け(去年も歴史超大作「ナポレオン」撮ってるし)、更に数本の企画を抱え、おまけに「グラディエーター」のシリーズ3作目も何気に企画しているというリドリー・スコット(本人的には今作が自身の「最高傑作」だそうで)・・・。もう、ただただ尊敬するしかない(個人的には本人が作りたがっていた残り2本の「エイリアン」前日譚をやってほしいけど)。こうなりゃ、最後の作品までついていくぜ!!・・・新藤兼人監督みたいに100歳ぐらいまで監督してる気がする^^!

 

 今作のパンフレットが制作されてないのは謎だが・・・さて、年内はあと何回更新出来るかな・・・840回目を年内更新ラスト回にすればキリがいいとは思うんだけどね~。そううまくいくかしら!?

 

<其の837>東映集団抗争時代劇の復活なるか!?「十一人の賊軍」短評

 11月になりました。今年も残り2か月弱・・・。これじゃあっという間にクリスマスきて、新年も迎えちゃう(苦笑)!

 

 先日、白石和彌監督最新作「十一人の賊軍」を鑑賞。「仁義なき戦い」シリーズ他で知られる名脚本家・笠原和夫が1964年にボツ食らった脚本のプロット(←激怒した笠原は書き上げた脚本第一稿を破り捨てたという)を元に作り上げた時代劇版「特攻大作戦」ともいうべき一作です(あえて粗筋は割愛^^)。たしかCMだか予告だかで「東映集団抗争時代劇の狼煙」云々とかナレーションついてたけど、ご年配の方か映画オタクじゃない限り、意味わかんないって(苦笑)。

 そもそも「東映集団抗争時代劇」とは1963、4年頃、東映では従来の時代劇が観客に飽きられ、任侠映画に以降する短期間に製作された作品群を指す。スター俳優に集中しない重めの設定&リアルな殺陣が特徴で、メジャーなところでは工藤栄一監督の「十三人の刺客」(後に三池崇史監督でリメイク)や「十一人の侍」、「大殺陣」の他、「柳生武芸帳 片目水月の剣」、「十七人の忍者」、「十兵衛暗殺剣」、「忍者狩り」、「幕末残酷物語」他が製作された。でも、これまた飽きられてしまい、ほぼ同時進行で製作された「任侠映画」が主流になってしまう、、、という歴史あり。笠原氏による「十一人の賊軍」も集団抗争時代劇の1本として書かれた訳。

 上映中につき、細かい事は書きませんが・・・いや~、惜しかったなぁ!嫌いじゃないけどさ。賛否両論あるのも良くわかる。脚本がね・・・ちょっと雑なんだよね。ちなみに、砦を守る為に集められた死刑囚10人に加え、指導&監視役の侍も4人いるから、タイトルの数字が違うとツッコミそうだけど、「十一人」の意味は最後の方で分かるのでご安心あれ!?

 まず、このテの映画は「七人の侍」じゃないけど、死刑囚10人の人物紹介と、砦の地図を広げて作戦と担当エリアを決めるのが作劇上のセオリーじゃない。それなのに人物紹介はごく一部の人だけ。おまけに特に作戦も決めず、ひょんな事がきっかけで戦いがスタートしちゃうから、序盤は誰が誰だかよくわからない内にメンバーがやられる展開に(苦笑)。少々人数減ってからは整理されてきて分かるようになるけど、先述した大前提がなかったのが痛い!あと敵方に、お笑いのナダルがいたのはちょっと・・・。いつギャグやりだすんじゃないかと悪い意味でハラハラした(苦笑)。

 でも、白石監督お得意のバイオレンス描写は相変わらずの冴えだし、家老を演じた阿部サダヲの芝居もいい。中でも“爺っつあん”と呼ばれる人と仲野太賀の殺陣は・・・凄かった!特に仲野くんが大勢さんを相手する大立ち回り(殺陣やるの初めてという事で半年前から訓練したそう)はマジで痺れた!!脚本が良ければ、もっともっと面白く出来たと思うと、本当に惜しい!!同じ東映作品でも合戦シーンがない戦国絵巻・キムタクと綾瀬はるかの「レジェンド&バタフライ」よりは面白かったけどさ(笑)。

 

 近年「時代劇は衰退しつつある」とはよく言われるけど、今作の他、「八犬伝」や“令和の「カメ止め」”「侍タイムスリッパ―」がヒットしてるのは嬉しいね!日本ならではのジャンルだし、殺陣や乗馬、結髪ほか職人芸が次世代に伝承されないと、今後作りたくても作れなくなっちゃうから、現代劇に比べコストがかかるのは承知しているけど、映画の方々には頑張ってほしいものです。

 

<重要な追記>今月末に大傑作「ルパン三世 カリオストロの城」と、都内単館ではあるものの「伝説巨神イデオン(2本立て)」がリバイバル公開(嬉)!このブログ読んでて、未だ2本とも観ていない方はお見逃しなきように!!映画オタク&アニメファンは必見です!!!

 

 

<其の836>実話+虚構「八犬伝」短評

 11月になりました。ようやく秋めいて来たのはいいけど、今年も残り2か月!!

1年たつの早くないかい!?

 

 先日、ミステリー映画「法廷遊戯」を鑑賞。原作小説は未読ながら漫画連載を最初の方は読んでいたので、気になってたんだけど、、、面白かったわ^^!俳優陣が皆ハマっていたと思う。ちょっと東野圭吾の某有名小説の匂いを感じたのはー筆者だけか?

 加えて間もなく公開になるヒット小説の映画化「六人の嘘つきな大学生」を試写にて鑑賞。殺人ない系ミステリーだけど、これも良かった!当然、原作より多少の設定を捨ててるけど、映画として成立してた。就職活動経験者なら大なり小なり共感出来ると思う。筆者自身はグループ討論なかったから・・・良かった(笑)。

 

 本題。「魔界転生」ほか“忍法帖”もので知られる山田風太郎原作の映画化「八犬伝」がヒットしているとの事で。筆者も先日観ましたわ。お金がかかるから、といって敬遠されてる時代劇が作られて、それがヒットする事は大変いいことだ^^。江戸時代、曲亭馬琴滝沢馬琴とも)が大作「南総里見八犬伝」の執筆中、失明しながらも口述筆記にて28年かけて完成させた有名な逸話と「八犬伝」のストーリーが交互に展開されてゆく。

 「南総里見八犬伝」といえば日本が誇る<伝奇ファンタジー>で、8人のメンバーが集結して戦う(八犬士)設定は<戦隊もの>のルーツともいわれている。自ら脚本も書かれた曽利文彦監督は、子供の頃に放送されてた人形劇「新八犬伝」に夢中で、山田風太郎の原作小説も大好きで長年の夢を実現させたそうだが、筆者の世代的には薬師丸ひろ子の映画「里見八犬伝」かな。個人的にはいま住んでいるところが馬琴さんに縁のあるところの近くという事で(個人情報に触れるので詳しくは書かないけど)「八犬伝」に興味があり、解説本とか読んでいたので、今回の映画公開は「キターッ!」っていう感じだった^^。

 【実パート】は馬琴(=役所広司)と天才絵師・葛飾北斎(=内野聖陽)の交流に家族(妻や息子夫婦、孫)が絡む。劇中、説明はないけど文句しか言わない馬琴の妻(=寺島しのぶ)は、年上女房だったのね!映画観たあと資料調べて知った(笑)。中盤過ぎ、馬琴と鶴屋南北(「東海道四谷怪談」他の作者)が創作について討論するのが、今作の肝!何を話したのかは映画観て欲しいんだけど、、、2人の会話はクリエイター永遠のテーマだと思う。考えれば考える程、、、う~ん、悩む。

 一方【虚パート】は物語の発端から、犬士が次第に集まって敵を倒す(活劇あり)、原作の名場面をダイジェストで紹介。曽利監督は山崎貴監督と同じくVFXから映画業界に入った人なので、特撮シーン良かった!フルCGの犬・八房はハリウッド作品に比べると、ちょっとCG感が強かったけど(苦笑)。

 推測するにベテラン俳優陣に加え、旬の若手俳優達も大勢出演してる特撮時代劇ーという辺りがヒットの理由だと思われるし、実際面白かったけど、年上の北斎が年下の馬琴より若く見えたのはちと残念(実際は内野さんより役所さんの方が年上なので、いくら特殊メイクしても致し方ないか)。あと「八犬伝」が庶民に人気でベストセラーになってるからこそ、ここまで長く本を出せた訳なので、街で皆が競って本を読んでるようなシーンがあっても良かったな・・・とは思った。

 

 中には「虚」→「実」→「虚」→「実」の構成が嫌だった人もある程度いるかもしれない(筆者はこれで良かったけど)。「八犬伝」の話がいいところで現実パートになるからね。でも、おそらくソフト化する際には一気に「現実パート」、「虚構パート」も観られる仕様になるんじゃないかな~!?筆者がメーカーの人間だったら、メニューにその要素、絶対加える(笑)。

 

 <追記>山崎貴監督が次の「ゴジラ」の担当決定報道。前作のストレートな続きにするのか?それとも現代を舞台にするのか?あるいは得意の昭和30年代辺りか?公開は再来年ぐらいだろうが・・・続報を待とう。

 

<其の835>お薦め社会派サスペンス「ライフ・オブ・デビッド・ゲイル」

 古今東西のミステリー小説&ミステリー・サスペンス映画をこよなく愛する筆者ですが、たま~に「どんでん返し映画」が書かれた映画サイトを見たりする。各サイトによって若干、紹介作品が違うんだけど(「シックス・センス」や「ユージュアル・サスペクツ」、「猿の惑星」辺りはどこのサイトにも書かれてる)・・・個人的には「アザーズ」や「シャッターアイランド」、「“アイデンティティー”」とかは、ちょっと・・・ねぇ(苦笑:既に観てるミステリー通の方は同意して頂けると思う)。

 先日、そのテのサイトで紹介されてて鑑賞した「ザリガニの鳴くところ」(’22)は法廷ミステリーではあるけれど、ミステリー&どんでん返し映画としては、想定内のオチで衝撃はなかったなぁ。こういうパターンは山ほど観てるので(苦笑)。個人的にはミステリーの衣を纏った「女性映画」、「恋愛映画」って感じ。そういう視線で観れば決して悪い映画じゃない。

 先に挙げた「猿の惑星」や「情婦」、「生きていた男」に「スティング」ほか歴史的定番作や「セブン」や「ミスト」、「灼熱の魂」程の衝撃はないものの「ライフ・オブ・デビッド・ゲイル」は、ミステリーまみれの筆者(苦笑)もそのオチの捻り具合にちょっと感心させられた。「タイタニック」のケイト・ウィンスレットとセクハラ問題で第一線から退いたケビン・スぺイシーが出てます(懐)。

 

 雑誌記者のビッツィー(=ケイト・ウィンスレット)は、元同僚の女性をレイプ、殺害した罪で3日後に死刑が執行されるデビッド・ゲイル(=ケビン・スぺイシー)の指名を受け、3日間独占インタビューを行うことに。彼女と後輩男性記者は一路、刑務所のあるテキサス州へと向かう。

 対面したデビッドは死刑制度反対派の有名大学教授だった。彼によって壮絶な過去と意外な事実が日々証言されてゆく。ビッツィーらに謎のカウボーイが尾行してくる等、不穏な空気が流れる中、彼女はデビッドの無罪を確信するものの、死刑執行までもう時間がない・・・!!

 

 製作・監督は「ダウンタウン物語」、「ミッドナイト・エクスプレス」、「エンゼル・ハート」他で知られる名匠アラン・パーカー。「死刑制度」というテーマはあまりにも重いので、ともすれば嫌厭されがちだけど、広く人に伝える為にサスペンスというエンタメの形で表現したアランさんは偉い。アランさん同様、社会問題をミステリー小説にして世に問う中山七里先生も同じく偉い^^。

 サスペンス映画はやっぱり、内容をあまり詳しく書かない方がいいよね(よって上記の粗筋も過去の具体的内容は伏せました)!やはり見所はストーリー展開とケイト・ウィンスレット&ケビン・スぺイシーの演技合戦でしょう。今にして思えばケビン・スぺイシーは「セブン」や「ユージュアル・サスペクツ」にも出てた。ミステリー、サスペンス映画が好きだったのかも。

 

 これ以上は余計な情報いれないでよろし!それでは映画をお楽しみください。