其の197:ロリコン仕置き人登場!「ハード・キャンディ」

 我が国では少女買春して逮捕される輩が後を絶ちませんが(情けない)、超大国アメリカでもそれは同様のようで大きな社会問題のひとつになっております。そんなロリコン男(「ロリータ」を書いたナボコフの功績は計り知れんのぅ)に正義の鉄槌を食らわせる14歳の少女(「14歳」と言っても「エヴァ」とは関係なし)の活躍(?)を描いたのが「ハード・キャンディ」(’05・米)!そのテの趣味や興味がある男性以外でも恐怖すること請け合いのサスペンス映画です^^


 出会い系チャットで知り合い、会う約束を交わした14歳の少女ヘイリー(「X−MEN ファイナルディシジョン」のエレン・ペイジ)と32歳のカメラマン・ジェフ(「オーシャンズ」シリーズのスティーブン・ソダーバーグ監督にクリソツのパトリック・ウィルソン)。出会ってすぐ意気投合した2人はジェフの家で写真を撮ることとなる。だがその最中、彼は突如気を失ってしまう。ジェフが目を覚ますと、なんと椅子に縛り上げられていた!ヘイリーが彼の飲み物に薬物を入れて飲ませたのだ。実は彼女にはジェフとの出会いには<ある目的>が隠されていたのだ。果たして、彼女の目的とは・・・?


 簡単に言えば「少女がロリコン男をシバきあげる映画」(笑)。男はお洒落なイケメンで「俺はそういう人じゃないよ♪」と趣味をひた隠しして少女に接近(最初は観客も普通の男だと思う)。一方、彼女も最初はウブな普通の少女を装っているものの次第にその目的を露わにしていく。ほとんどこの2人でのやりとりで映画は進行するので(舞台でもできそう)その過程が非常にスリリング!また彼女は年齢に似合わぬおませな皮肉やジョークを発し、笑わせてくれます(主人公を演じたエレン・ペイジは87年の生まれなので実際に14歳ではないけれど)。
 中でも観客の男性を恐怖のどん底に落としたのは「こんなものがついてるから、犯罪に走るのよ」とばかりにジェフのタマタマを去勢しようとする場面!ご丁寧にもアソコを氷で冷やして手術しやすいようにしてくれる。まぁ、これは女性には分からない恐怖でしょうなぁ・・・(苦笑)。


 ほぼ2人芝居ということで当然、男と少女の切り替えしが多用されるのだが非常に顔のクローズアップが多い(=表情を見せるため)。セルジオ・レオーネも真っ青のアップの連続(笑)!さらにはコマ落としや早いカットバックなど「今風」の演出も効果的に使用しています。
 監督のデイビッド・スレイドは三池崇史監督のファンで(笑)、女性が男の足を斬りおとす村上龍原作のサイコ・スリラー「オーディション」も観てるそうだ(=脚本にはないのに三池が現場で足を斬る演出にした)。その影響が今作では「股間のイチモツ」になったかもしれない(笑)。


 罠にかけた狼(=男)が「赤ずきんちゃん」に<逆襲>される「現代の寓話」とも呼ぶべき映画「ハード・キャンディ」。「ハード・キャンディ」という言葉には「コーンシロップの飴」やヘロインの俗称に加えて「男性自身」の意味もあるそうだから、英語圏では・・・迂闊に連呼しない方が賢明であろう(笑)。