<其の809>久々のフィンチャー作品(喜)!!「ザ・キラー」短評

 11月になりました。2023年も残り2か月(マジで早い:怖)・・・!!

 

 筆者が好きな現役映画監督は何人もいますが・・・デヴィッド・フィンチャーもその内の1人で、彼の作品もデビュー作からリアルタイムで全て劇場で観てる(配信オンリーの「Mank/マンク」やテレビドラマシリーズは未見。でも彼の研究書「マインドゲーム」は買った)。その彼の“新作”「ザ・キラー」が日本で公開!!筆者が「ゴーン・ガール」を観たのが2015年だからーなんと8年も経ってる(マジか)!!ここしばらく仕事がハードで、体力的にはキツかったんだけれど、今作も劇場で公開したあと配信になってソフト化しないから・・・半ば気力を振り絞って映画館に行きましたわ(苦笑)。

 

 お話は一匹狼の殺し屋(=マイケル・ファスベンダー)がパリでの暗殺依頼をミスってドミニカ共和国の自宅に帰ったところ、仕事を失敗した代償として恋人が暴行されて入院していた。激怒した男は彼女に手を出した連中に復讐を開始するー。

 

 話自体はよくあるパターンだよね。「ジョン・ウィック」の1作目もこんな感じだし(フランスのグラフィックノベルが原作という事だが、筆者未読)。フィンチャーのブレイク作「セブン」アンドリュー・ケヴィン・ウォーカーが脚本を担当。「ジョン・ウィック」シリーズより登場人物数は圧倒的に少ないながら、章仕立てにしてフランス→ドミニカ→アメリカ・・・とポンポン場所を変えて飽きさせない展開にしてる。実際に各地でロケしたそうだから・・・お金かかってる^^

 これは個人的な推理ですけど→→→ビジュアリスト:デヴィッド・フィンチャーは元のグラフィックノベルの“タッチ”を再現する事に専念したような気がする。主人公のモノローグにあわせて構図、照明、編集・・・とビシビシ決まってるし。余分なエピソードがない一直線に進むストーリーゆえ、より絵作りを重視した気がしたんだよね~。

 最初のパリの安アパート内で主人公が暗殺する相手を延々待ち続けるシーンは・・・下手すると主人公同様、観客も少々飽きてくるんだけど(笑)、実は大量のモノローグで主人公の考え方やキャリアを観客に紹介する重要な一連。ここまでモノローグが多いのはフィンチャー初かもしれない(違ってたらごめん)。演じるマイケル・ファスベンダーが瘦せ型なので、ふと「ジャッカルの日」の主人公にダブって見えたわ。そういう意味で言えば、今作は<アクション・サスペンス映画>という部類に入りつつ、「殺し屋はつらいよ」という<お仕事映画>にも分類されるかもしれない(笑)。

 

 「大傑作!」とは筆者は言いませんが、久々にフィンチャー作品らしい映像(冒頭のスタッフロールもちょっと「セブン」を彷彿させる凝った作り)を愉しみました^^。無理矢理映画館まで行った甲斐はあったわ。

 

 12月公開予定のリドリー・スコットの「ナポレオン」も<劇場先行公開からの配信>パターンだから・・・体力的にパワーがなくても劇場に観に行かないとあかんな。ホントにホントにこのパターンがますます増えそうで困るな~。配信して少々時間経ってもいいからソフトも出してくれ~(願)!!