<其の770>途中で意表をつく展開になるミステリー&サスペンス映画2本

 忙しくしている内に3月になりましたがーステルスオミクロン&ウクライナ侵攻!

果たして世界は一体どうなるのか・・・!?

 

 さて、今回はちょっとストーリー展開が変わっていて、21世紀現在、A級作品ながら、何故かちょっと忘れられつつある作品を2本、短く書いていこうと思います。

 

 まず1本目がハーバート・ロス監督作「シーラ号の謎」(米・’73)。ハリウッドのプロデューサー(演じるのはジェームズ・コバーン!!)の妻・シーラが関係者が集まったパーティーの夜、何者かにひき逃げされる。パーティーの参加者に犯人がいると考えたコバーンは、参加者全員を妻の名前がついた客船「シーラ号」に招待。“ゲーム”と称して、犯人を炙り出そうとしていく・・・。

 様々な謎解きを詰め込んで展開される本作ですが、最大の“ミソ”は、観客が予想していた展開が途中で大きく変わること!!今回のタイトル、まんまですわ。勿論、ネタばれになるから具体的内容は書けないんだけどね(笑:めんご)。ミステリー小説を好んで読む人とかは特にビックリすると思う^^。

 そして、このオリジナル脚本を担当したのが「サイコ」、「オリエント急行殺人事件」(注:両方ともリメイクされてますが、この場合はオリジナル版の方ね)に出ていた俳優アンソニー・パーキンス(共同脚本)という事で更にビックリ!!さて、共同脚本ながら彼がどんなストーリーを書いたのかは・・・観てのお愉しみという事で。これ以上書いちゃうとネタバレしそうなので(笑)。

 

 もう1本は1967年のイギリス映画「将軍たちの夜」。時は1942年、ナチス・ドイツ占領下のポーランドワルシャワ。ある夜、アパートの一室で全身をめった刺しにされた女性の遺体が発見される。目撃者の証言では犯人は赤い縦縞が入った軍服のズボンを履いていたと言う。それはナチスの“将軍”である事を意味していた。殺された女性が軍に協力していた事もあり、情報部のグラウ少佐(=「ドクトル・ジバゴ」のオマー・シャリフ)は早速調査を開始。すると犯行当日の夜、アリバイがないのはタンツ(=「アラビアのロレンス」のピーター・オトゥール)を含む3人の将軍だった事が判明するが・・・。

 ハンス・ヘルムート・キルストの同名小説の映画化。猟奇殺人事件の犯人捜しかと思いきや、観客が「!?」となる、こちらもまた意外な展開になるんですね~♪「シーラ号の謎」同様、書けないけどさ(笑)。しかも後々、ある実際の事件も絡んだりする異色作。公開当時はピーター・オトゥールの“怪演”と、ナチスが戦車で街を砲撃したり、ビルを焼き尽くすシーンが話題になったそうだ(当時の街を再現して撮影)。

 これもあまり書いちゃうとネタバレするんで、これぐらいにしておくけど・・・「ニュー・シネマ・パラダイス」のフィリップ・ノワレも出演してます。監督はアナトール・リトヴァク。音楽は巨匠モーリス・ジャール

 

 本題からは外れますが・・・又吉直樹の同名小説の映画化「劇場」をつい先日、DVDで観た。原作は出版直後に読んでいて、主人公の彼女が可哀そう過ぎるというのが読了当時の感想だったのですが、これを映像として生身の人間でやられると・・・胸が痛い痛い(ストーリーはほぼ原作通り)!!詳細は書きませんが、あらゆる創作活動&表現を生業とする人は・・・大なり小なり主人公(山﨑賢人)の生き方・考え方が反面教師としてグサグサ胸につき刺さってくると思う。筆者も完全に心を抉られて・・・観た夜は思い出しちゃって夜中に目を覚ましてしまった。今作が「面白い」のか「面白くない」のか、あるいは「いい映画」なのか「ダメな映画」なのか・・・いまの筆者では判断がつかないぐらい、ドーンと来た。

 今作のヒロインを演じた松岡茉優は健気にダメ男を支え続ける彼女を好演!素晴らしい演技だった。彼女の姿が忘れられないわ・・・(しみじみ)。

 

 そして長きに渡り愛読していた「映画秘宝」が次号で再び休刊!せっかく新体制で再スタートを切ったばかりだったのに・・・(涙)。今度の<休刊>は・・・「イコール廃刊」だと思われる。2022年になったばかりなのに悲しい事が続くなぁ・・・。