<其の736>マリオ・バーヴァ+α「バンパイアの惑星」

 2月になりましたが・・・大方の予想通り、緊急事態宣言は延長!果たして3月7日で何とかなるんですかねぇ・・・。

 先日、去年話題になった田舎ホラー「ミッドサマー」を観ましたわ。一言で書けば「ホステル」&「ウィッカーマン」。明るい中で行われる惨劇は夜に行われるより怖い事を知りました(笑)。

 

 本題。当ブログでは過去、数回に渡ってイタリアの監督マリオ・バーヴァ(略してマリバー)の諸作を紹介してきた。しかし、それは<ホラーの巨匠>や<ジャッロの始祖>という観点においてのみだった。知っている人は知っていますが、彼はホラーのみならず漫画原作ものからマカロニウエスタンまで幅広いジャンルを手掛けていたんですね~!そこの辺りも書かないと片手落ちかな・・・と。そこで今回は、マリバーによるSFホラー「バンパイアの惑星」(’65)を書きます。彼の描く恐怖は地球のみならず、宇宙にまで広がっていた(笑)!

 

 謎の信号をキャッチして、発信元の未知の惑星へと向かう宇宙船アルゴス号とギャリオット号。その星にようやく近付いた途端、想定外の重力に捕らわれる。不時着したアルゴス号では目を覚ました乗組員たちが仲間を殺そうとする異常行動を起こす。連絡のつかないギャリオット号を探す為、船外に出る乗組員たち。そこは煙が立ち込め、奇岩が立ち並ぶ荒野だったが・・・!?

 

 アメリカの独立系映画会社AIPがイタリアサイドに発注して製作されたのが今作。監督に指名されたマリバー(←アメリカのドライブイン・シアター等で彼の作品は評判が良かったから)はイタリアのSF作家の小説を選び、出資を申し出たスペインサイドの方々と共に脚色。完成した脚本を読んだアメリカ側が直しを要求したり・・・と、撮影前には色々あったそうな(笑)。

 映画はねぇ・・・「スター・ウォーズ」以前という事もあって、昔ながらのSFって感じでいいよ^^!シンプルなデザインの宇宙船に、わかりやすい合成、セットバレバレの惑星描写・・・アナログ感満載映画的ノスタルジーを感じさせる(笑)。岩のあちこちが赤や紫に(何故か)発光しているのは照明に凝りまくるマリバーの世界!血まみれの死体がバンバン出るのもマリバー・ワールド(笑)!!全面にスモークが焚かれているのは、その昔多数イタリアで作られた英雄劇や神話劇で使われたセットの岩山を再使用した為(←予算の問題)、そのボロを誤魔化す為の工夫だったという。そのおかげで何が起きてもおかしくない幼星が誕生した訳だが・・・ネタバレじゃないけど、劇中血を吸うシーン自体はないんで(アメリカ側が元の題名を変更した為)、吸血鬼マニアの方はご注意あれ!

 一部映画マニアで有名なのは、今作がリドリー・スコットの「エイリアン」(’79)の元ネタのひとつと推測されている事!細かく説明するとネタバレするんで、ざっくり書くと設定や異星人の宇宙船のデザインほか、ちょいちょい似てる・・・!もっとも脚本書いたダン・オバノンリドリー・スコットは今作を観ていないと否定してる。なんでもそうだけど所詮、人間が考える事だからね・・・偶然、似たんだろうねぇ。きっと(笑)。

 

  「本当に面白い映画、教えます!」とのブログタイトルを掲げて書いている筆者ではありますが、今作とスコットの「エイリアン」を比べたら、そりゃ「エイリアン」の方が遥かに面白い(笑)!!

 今回はあくまでマリオ・バーヴァの作品世界を<補完>した回ですから。「バンパイアの惑星」観て「つまんねぇじゃねーか!」と激怒する事なきよう何卒宜しくお願い致します^^。