<其の789>新年2発目は国内未ソフト化映画「獣人雪男」!

 「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」が世界的大ヒットという事で(再度の3Dブームは起きてないけど)、これでキャメロンさんもシリーズを予定通り5作目まで作る事が出来そうな感じで・・・おめでとう御座います。筆者はストーリーに関してはベタすぎて大して褒めないけど、なんだかんだ全作観に行くと思う(笑)。

 

 今年は・・・去年映画館に行かな過ぎた反動なのか、妙に映画館で映画を観たい衝動に駆られております(コロナは怖いけど)。先日、「モリコーネ」を観た後、その流れで移動して“はしご”して観た映画が東宝映画「獣人雪男」!!・・・ウン十年ぶりに我ながら大学生のような事をしてしまった(苦笑)。昭和30(1955)年の作品なので勿論リバイバル上映です。今作は「ノストラダムスの大予言」他と同様、日本国内では未だにソフト化されていない“知る人ぞ知る映画”なんですよ(←だから観に行った訳なのだが)。「めっちゃ面白い!!」とは言いませんが、いずれソフト化される事を祈って・・・更新♪

 

 雨が降る駅の待合室。怪事件に遭遇の後に下山したという大学山岳部の調査隊一行のもとに新聞記者がやってくる。そこで語られたのはー。

 昨年の冬、日本アルプスを訪れた山岳部の飯島(=宝田明)らは、天候悪化に伴う雪崩によって二人の部員と連絡が取れなくなる。翌日、彼らが訪ねた山小屋に一行が向かうと、小屋の中はひどく荒らされた上、謎の獣の毛と巨大な足跡が残されていた。小屋のそばで1人の遺体が発見されたものの、道子(=河内桃子)の兄・武野は大規模な捜索にも関わらず行方不明となる。

 春の訪れを待って、山岳部一行は武野の捜索再開と同時に謎の獣の毛の正体を探すべく専門家の教授も加えて日本アルプスでキャンプを張る。だが、そこには彼らを尾行して謎の生物を捕らえようとする動物ブローカーらの姿があった。ある夜、道子が眠るテントに現れたのはー<雪男>だった!!飯島は雪男の後を追ったのだが・・・!?

 

 監督・本多猪四郎、原作・香山滋、特殊技術・円谷英二。俳優陣に宝田明河内桃子ほか・・・って、前年に公開されて大ヒットした「ゴジラ」のメインスタッフ、キャストがまんまスライドして制作されたのが今作(「ゴジラの逆襲」は監督が本多さんではないのですよ)。助監督で岡本喜八も参加!公開当時は「雪男ブーム」で、それに“便乗”して制作されたそうな(映画業界あるある^^)。

 雪男は公開当時のポスターによってはゴジラみたいにデカそうな感じだけど、劇中では・・・そこまでは大きくない(笑)。半獣半人という設定のせいか、動きも行動もどことなく人間っぽいけど(苦笑)、着ぐるみ自体は顔のマスク部分含めてクオリティー高し!人間を持ち上げるシーンで合成ショットを使用、一部には人形アニメのシーンもあり、円谷特撮ファンは要注目。「雪男」といっても映画で冬なのは初めの方だけなので、ほとんど雪男じゃない・・・って書いたら洒落にならんか(笑)。スタッフ、キャストは冬と夏でそれぞれ山に行ってロケしているので大変だったとは思うが。

 ぶっちゃけ、ストーリーや幾つかの設定はハリウッドの某有名モンスター映画に似ているし(苦笑)、21世紀視点で観るとベタベタだけど、雪男の住む洞窟のセットは出来の良さに感心させられた。どこまでも続くかのような妖しい雰囲気で地面にスモークも炊かれていたりして・・・まるで「エイリアン」1作目の宇宙船内部のよう!今作をリドリー・スコットは観ていないと思うので、単なる筆者の感想である(笑)。

 

 今作が日本国内でソフト化されない理由(海外では出てる!!)に、日本アルプスの山中に秘境の村(そこに住む娘・チカ役の根岸明美好演)がある設定が引っ掛かってるようだが・・・筆者的にはそんなに差別的な描写があったとは思わなかったけどね~。似たような村が登場する新東宝作品「九十九本目の生娘」(’59)はDVD出たのに。半ば忘れられたような作品ではあるけれど、最悪言ってはいけない台詞は無音にしてもいいので、東宝さんにはなんとかソフト化して欲しいものだ。