<其の734>ジャッロの基本パターンを作った「モデル連続殺人!」

 相変わらず東京のコロナ感染者は高止まり・・・。人類とウイルスとの<幻魔大戦>はワクチン接種で果たして終息を迎える事が出来るのだろうか・・・。

 

 今頃になって昨年、アカデミー作品賞獲った韓国映画「パラサイト  半地下の家族」を観ましたわ。TV放送じゃなくてソフトで。ブラックコメディと思って観ていたら、予想を越えた展開になって素直に面白かった^^。さすが天才ポン・ジュノ!!本編の大半がセット撮影→→→大雨で水没する街も、実は巨大プールの中に建てたセットというのは現在の韓国映画の凄さを物語っていると思う。

 主人公一家がどの時点で金持ち一家に寄生(パラサイト)する計画を立てたのかが曖昧だけれど(長くてカットしたのかも)・・・まぁ、良しとしましょう(←えらそう)!

 

 昨年に引き続き、本年もまたまたマリオ・バーヴァ監督作「モデル連続殺人!」(’64・伊)を紹介します。前年、初のジャッロ(ジャーロとも)「知りすぎた少女」を発表したマリバーですが、この作品ではミステリー作品でありながら、犯人捜しよりも残酷な殺人描写に重きを置いた事で、ジャッロの基本パターンを確立させ、多大な影響を与えたイタリア映画史に記録される超重要作です。ぶっちゃけ、こんなトリビアを知ってても人生には何の影響もありませんが(爆笑)、知っていれば少~し心豊かに生きていけるかも^^。

 

 イタリアー。クリスティアーナ(=エヴァ・バートック)とその恋人モルラキ(=キャメロン・ミッチェル)が取り仕切る「クリスチャン・オートクチュール」。そこに所属するモデルのイザベルが何者かに殺された。彼女は生前、周囲の人たちの秘密を記した1冊の日記帳をつけていた。ひょんな事から発見された彼女の日記帳を巡って、それを手にしたモデル仲間が次々と惨殺されていくー!! 

 

 元カメラマンのマリバーだけに今作も照明の凝り具合が凄い。大半がナイト(夜間)シーンなんだけど、赤やら紫やら常識では考えられない毒々しい照明に彩られた邸内や店内に、全身黒づくめ&顔は白マスク(のっぺらぼう状態)の殺人鬼がベタな恐怖音楽と共に美女を容赦なく殺していく・・・これは怖い!!もっともあくまで映像重視ゆえ「何故どこの家ももっと照明をつけて明るくしないのか?」とか「殺人鬼のあのマスクでは前が見えにくいのではないか?」とかの疑問は深く追求しないように(笑)。

 一応、フーダニット(「犯人は誰か?」)形式なので、犯人と動機については明かされるけど・・・そこはマリバー自身が重要視していないので(共同脚本兼任)、妖しい映像&動きまくるカメラワークの中、惨殺される美女のゴアシーン(どんなパターンで殺されていくのかは観てのお愉しみで)にハラハラドキドキするのが正しい今作の見方。これを推し進めていくとダリオ・アルジェント(マリバーの後輩)の「サスペリアPART2」(’75)やセルジオ・マルチ―ノの「影なき陰獣」(’73)ほかの諸作品みたいになる訳さ🎵メインがゴア描写なので、本格ミステリ―ファンには物足りないかもしれないけど(苦笑)。

 俳優陣は筆者はセルジオ・コルブッチの「ミネソタ無頼」(’64)に出ていたキャメロン・ミッチェルぐらいしか知らなかったので、メインのお2人以外は割愛。キャメロン・ミッチェルもアメリカ人ながらマカロニ・ウエスタンとジャッロというイタリア映画独自の2大ジャンルに出演しているとは・・・なかなかやる^^!他にも出ている人の大半が一癖も二癖もあるキャラを演じているので、この辺りは少々本格ミステリ―の香りもーって、今更フォローしても遅いか(笑)。怖い映画が好きな方は是非❤

 

 <どうでもいい追記>先日「押井守の映画50年50本」(立東舎刊)読了。アニメ&実写も撮る押井守監督が1968年から2017年までに公開された映画を様々な観点から<この年はこの1作>という基準で観た映画を語るという内容の本。元々アニメ監督ながらアニメ映画選んでいるのが出﨑統監督の「エースをねらえ!」と「あしたのジョー2」。そして富野由悠季監督の「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」の3本!意外にも押井さん「逆シャア」をめちゃめちゃ誉めてる!!筆者も「イデオン発動篇」と「逆シャア」はちょいちょい持ってるソフトで見返しているのでちょっと嬉しかったーって子供か!