<其の712>新感覚音声サスペンス「THE GUILTY/ギルティ」

 新型コロナウイルス東京オリンピックは1年延期、都内の発症者も急増!!果たして、今後日本は・・・世界は・・・どうなるのか!?

 

 このブログで筆者は、これまでになかった新しいことやってる映画を誉めてきました(←筆者の趣味)。今回紹介する映画「THE GUILTY/ギルティ」(’18)も、<電話からの音>だけで誘拐事件を解決するデンマーク製新趣向のサスペンス映画!サンダンス映画祭ほかで話題となり、米・アカデミー賞外国語映画賞に<デンマーク代表作>として出品され最終選考9作品に残った濃密度の高い秀作です^^。

 

  アスガー(=ヤコブ・セーダーグレン)は以前の“ある事件”をきっかけに緊急通報指令室のオペレーターに異動させられている刑事。明日行われる裁判に復職の期待を掛けつつ、通報を受けると警察車両や警官の配備を依頼する業務をこなしていた。すると、イーベンという女性からの通報が。どうやら彼女は男に誘拐され、まさにいま車で移動しているらしい・・・。アスガーは近くにいると思われる犯人の存在を察してイエスかノーで答えられる質問を繰り返した結果、彼女は自宅へ子供を残したまま白いバンで連れ去られた事が聞き取れた。だが、突如電話が切れてしまう。彼は知りえた情報を頼りにパトカーを要請したのだが・・・!?

        サスペンス映画だけに粗筋はここまで(ゴメンね)!

 

 監督・脚本を担当したグスタフ・モーラーさんは今作が長編初監督のようですが、映像メインである映画から、あえて電話での音声(発声、呼吸音、現場ノイズ)に焦点を当てた作劇がまず凄い!!

 「あえて映画の特性をとっぱらうのであれば、ラジオドラマでも良さそう」・・・と思いがちだけれど、さにあらず。舞台となるのは「緊急通報指令室内」のみ。このような<1シチュエーション>の映画は、これまでにもヒッチコックの「ロープ」や川島雄三の「しとやかな獣」の他、過去いくつもあった。電話ボックスの内とか、埋められた棺桶の中とか^^。ただ今作の場合は、建物の外観すら移されず、1カットも外に出ない!しかも、カメラは主役のアスガ―に集中&作品内の時間と上映時間をほぼ一致させているので、観ているこちらもアスガ―同様、頼れるのは電話での音声のみだし(使われる劇伴もラストだけ)、緊張感がバンバンに高まってくる。全く無駄のない作り。凄いぞ、モーラーさん!!

 しかも「アスガ―は過去に何をやって、いまオペレーターをしているのか?」というもう一つの謎も絡みつつ、映画は進行。最後はアッという<どんでん返し>があって、全ての伏線が回収される脚本の素晴らしさ。やっぱり映画はアイデアと脚本、演出が大事。低予算でも年に何回かこういう作品が観れると嬉しいね~!

 

 主演のヤコブ・セーダーグレンさんは個人的には若い時のケビン・コスナーケビン・ベーコンに似てると思うんだけど、ジェイク・ギレンホール主演によるハリウッドリメイクが予定されているそうな。勝手にスケールをデカくするとか、オリジナルをいじらずにリメイクして欲しいと切に祈るばかり(いや、ホント・・・マジで)。

 

 <どうでもいい追記>スタローンの「ランボー」ほか諸作品がコロナウイルスの影響で公開延期の煽り。そのうち、東京でも映画館とか閉鎖されてしまうかも・・・。