忙し過ぎて間が空きました(汗)。
時代劇(邦画)ばかり書いたんで韓国映画「アジョシ」にしようか、はたまた伝記の「パットン大戦車軍団」にしようか等々色々考えましたが一旦白紙にして(笑)「ラースと、その彼女」(米・’07)にしようかと。設定自体は奇抜&笑うしかないんだけど・・・予想に反する不思議な味わいのヒューマン・コメディとでもいう内容です。なにが“奇抜”かは以下のあらすじを読めばわかるでしょう^^
アメリカ中西部の小さな田舎町。ラース(→「きみに読む物語」のライアン・ゴズリング)は、内向的ながら心優しい青年。彼は兄のガス(→ポール・シュナイダー)、義姉カリン(→「マッチポイント」のエミリー・モーティマー)が住む家の敷地で生活している。そんなある夜、ラースが「彼女を紹介したい」と兄夫婦の下へ。ところがその“彼女”とはインターネットで購入した精巧に出来たリアルドール!!人形を<ビアンカ>と呼び、楽しそうに彼女について説明するラースを見て愕然とするガス。カリンは女医のバーマン(→「アンタッチャブル」のパトリシア・クラークソン)に相談するが・・・。
リアルドール→→→ぶっちゃけ<ダッチワイフ>を恋人とする男の話なんて、誰がどう聞いてもハリウッドお得意の爆笑コメディか、溜まりに溜まった性欲によってアブない妄想を抱く男の狂気を描くサイコスリラーを連想するのが普通だと思うんだけど(同じくダッチワイフを扱った日本の「空気人形」はファンタジーだったが)・・・それをキチンとまともな映画として着地させたところが凄いわ(アカデミー脚本賞にノミネート)!この“感触”は・・・個人的には「マルコヴィッチの穴」以来かもしれない。
そもそもは脚本を書いたナンシー・オリバー(女性!)がネットのサイトでリアルドールを見たことが今作のきっかけ。書いたのはいいものの、設定が設定だけに製作にこぎつけるまで4年かかったそうな(笑)。劇中にも登場する実際の会社からリアルドールの提供を受けて使用している(勿論、映画用に少々メイクしたりはしているが)。またアメリカのお話ながら、実際はカナダのトロントで撮影。雪景色が非常に綺麗なので、その辺りも見どころの一つ。
ラースの為に、人々にビアンカを受け入れるようお願いして回るガスとカリン。会社の同僚や住民たちは戸惑いながらも次第に(基本、ラースがいい人なんで)ビアンカを認めていく。ビアンカが町の行事に参加するようになるにつれ、やがて失われていた住民同士の交流が甦ってくる(→だから設定が“小さな田舎町”。これ大勢が住む大都会じゃリアリティーがなくなってしまう)ーのが本作のミソだし、若干、(当然のことながら)影で馬鹿にしている人がいるのもリアルだよね。最初は筆者も爆笑しながら観ていたんだけど(人形を風呂に入れるとか、ちょいちょい笑い所はあり)段々真顔になってった(笑)。
ラースを演じたライアン・ゴズリングの抑えた演技がGOOD!「スクリーム」シリーズに出ている某俳優に似てるけど、別人です(笑)。義姉を演じたエミリー・モーティマーも、当惑する旦那を説得しつつ、言うべきことはラースにもハッキリ意見する女性を演じていて見事だった。女医役のパトリシア・クラークソンは先にも書いたように「アンタッチャブル」でエリオット・ネス(=演じるのは、これでブレイクしたケビン・コスナー)の妻を演じていたが・・・大分、老けましたな(当たり前だ)。
このブログはいつもの如く、オチは書きませんが・・・終盤、ちょっと予想しない展開になるのでお楽しみに^^。監督はこれが2作目となるCM出身のクレイグ・ギレスビー。この異色の内容をテンポよく正攻法で演出している。現代社会はコミュニケーションの不在がよく指摘されるが・・・今作を見ていると、当たり前のことながら人間はひとりでは生きていけないし、他人といかに優しく接するのかが人間社会にとって重要なことだと教えてくれる。そういう意味では単なるハートフルなヒューマン・コメディという見方だけではなく、実はオブラードに包んだ社会派作品と見えなくもない。ダッチワイフは出てくるけど、エッチなシーンはないんで注意してね♪
<どうでもいい追記>10月になって今年も残り3か月ー。ようやく観たい映画の上映があれこれ近づいてきましたわ(喜)^^