<其の711>ピーター・ファレリーの心温まる話「グリーンブック」

 このブログの「裏アカ」(笑)、「2」のブログのリンクを貼っておきます。何故か

これからじゃないと外から読めない(苦笑)。

            https://eigaman.hateblo.jp/ 

 

 にしても、新型コロナウイルスの影響で、映画の公開延期が相次いでます。「サイコパス」や「ランボー」は・・・大丈夫か!?

 

 アメリカの映画監督・ファレリー兄弟といえば「メリーに首ったけ」や「愛しのローズマリー」ほか下ネタ&不謹慎な鬼畜系ギャグをぶち込む作風で知られていますが(笑・でもホント)、その兄貴ピーターが単独で監督したのが「グリーンブック」(’18)。実話ベースにして、下ネタはない心温まる今作で、なんと昨年のアカデミー作品賞含む3部門を受賞した。いや~・・・ピーターさんも大人になりましたなぁ(しみじみ)。筆者もこういった“いいお話”は好きなんですよ❤ただ、このブログに書かなかっただけの事^^。 

 

 1962年、アメリカ・ニューヨーク。イタリア系のトニー(=「ロード・オブ・ザ・リング」3部作のヴィゴ・モーテンセン)はナイトクラブで働く用心棒。粗野で短気、無教養ながら周囲からは頼られていた。ところが店は改装工事によって閉鎖、彼は無職になってしまう。妻子の為にも仕事を探していると、ある人との面接を持ち掛けられる。その相手はアフリカ系アメリカ人のクラシック系ピアニスト、ドン・シャーリー(=「ムーンライト」のマハーシャラ・アリ)。アメリカ中西部から南部を回る8週間のコンサートツアーの運転手を探していた。黒人に偏見を持つトニーは一度は断るものの、ドンの熱心な誘いで仕事を受ける。トニーはクリスマス・イブまでに自宅に帰る約束のもと、ツアーへと出発する。だが、生活環境や性格が正反対の2人は早々に衝突する。しかしツアーが進むにつれて、トニーはドンの才能に感銘を受けるようになり・・・。

 

 タイトルになっている「グリーンブック」とは、黒人差別が根深かった当時、アフリカ系アメリカ人の旅行者が利用できるモーテル、レストラン、給油所を見つける為のガイド本の事(劇中、ドンのレコード会社の担当からトニーにこの本を渡されるシーンがある)。

 実話ベースの映画化・・・を抜きに考えてみても、ジャンル的には正反対の2人による<バディ(相棒)もの>にして<ロードムービー>。刑事アクションの「48時間」とか、今作は昔からある王道・・・言い換えればベタな展開(笑・誉めてます)。いい話になるに決まってるじゃない^^!そこに下ネタも鬼畜系もないノーマルなギャグをファレリーさんが上手にまぶしてる。

 トニー役のヴィゴ・モーテンセンは自分がイタリア系じゃない事でオファーを受けるか否か相当悩んだそうだけど、いざ役を引き受けると、そこはハリウッド俳優!本人に似せるため14キロも増量(デ・ニーロ状態)!映画では全く触れられていないけど、後年トニーは俳優となって幾つかの映画やTVドラマに出演。そこでヴィゴは彼が出ていたTVドラマシリーズ「ソプラノズ(←「ゴッドファーザー」のパロディみたいなコメディー作品)」を観て勉強したという。注目すべきは、ちょいちょい集まるトニーの家族たち(奥さん役除く)は・・・なんと本当のトニーの家族たち!言われなきゃ絶対分からない事だけど・・・こういう細部に凝る事が映画は大事なのよ^^。時代劇とかで画面に映らなくても高価な壺とかセットに置くのと一緒(笑)。

 一方、ドン役のマハーシャラ・アリ(今作で2度目のオスカー受賞)は、成功して裕福な黒人ピアニストを好演。優雅さに加え、金持ちオーラが全身から出てる(笑)。彼もピアノを猛特訓したそうだ(さすがにピアノを弾く手元のアップは別の人)。粗野な白人とセレブの黒人が如何にして友情を育んでいくのかはー映画を観てのお楽しみ🎵

 

 「作品賞」ほか獲ったものの、アメリカ本国では当時の時代背景の描き方に様々な批判もあったそうだけど(確かに実際にはあんなものではなかろう)、映画としてはマジでいい映画。筆者的にはファレリーさんが「大人の作品」を作ったのが嬉しかった。

 当時、黒人の置かれた状況に関しては、今後、時代考証を更に厳密にしていくのが今後のハリウッド映画界の課題の一つだろう。