<其の709>新作日本映画2本「ヲタ恋」&三池監督「初恋」

 2月になりました。今年は暖冬ですけど、新型コロナウイルスの脅威はいつ終息するのだろうか・・・?!

 

 日本映画2本を試写会で観て来ました。まもなく公開されるのでサクッと書きます。サクッと!

 

 まずはテレビアニメも放送された漫画原作の実写化「ヲタクに恋は難しい」を。

 26歳の会社員・桃瀬成海(=高畑充希)は、アニメやボーイズラブをこよなく愛する腐女子。だが彼氏にヲタクがバレてふられた事をきっかけに会社を辞め、以後周りの人にヲタクとばれないよう“隠れ腐女子”として過ごしていた。そんなある日、転職先の会社で幼なじみの二藤宏嵩(=山崎賢人)と再会する。彼はイケメンで仕事も出来るのだが重度のゲームヲタク。それぞれカテゴリーの異なる2人のヲタクが交際する事になったのだが・・・!?

 

 「銀魂」シリーズを手掛けた福田雄一監督(兼脚本)らしいコメディで、高畑充希のヲタクっぷりや斎藤工のギャップあるオーバー演技で笑わせてくれるのだけれど・・・そもそものヲタク描写が表面的で浅いのが少々気になった。元々は漫画やアニメにはまって、そこからグッズ集めたり、コスプレしたりと<派生>していくのが基本中の基本の流れだと思うんだけど、高畑の部屋にはBL含むコミックスやアニメのソフトとか置いてない上、BL漫画の描写は皆無&自分で同人誌のBL漫画を書いてる(作者サイドじゃん:苦笑)。ゲーヲタの他、アイドル声優ヲタとかも出るんだけど皆、表面ばかりの描き方でヲタをもう少し掘り下げて欲しかった。・・・筆者も映画ヲタだから、かなり個人的な意見である事は承知してます^^。

 加えて今作は<ミュージカルシーン>も交えて演出してるのだけど・・・本場ハリウッドのミュージカルシーンと比べると、物凄いレベルの差があるね!大ヒットした「ラ・ラ・ランド」なんかは歌詞や動きにあわせて背景とかバンバン変化するんだけど、この映画ではナシ。頑張って演出してるとは思うけど・・・ここは予算の問題がモロに出たね。正直、ミュージカルシーンの各曲をもっと短くして、先述のヲタを掘り下げる描写の尺にあてた方が良かったと思う。

 あんまり詳しくは書けないけど・・・ラスト、ある伏線(?)があったのにも関わらず、そこにはいかずにあっさりとエンド。「え!?これで終わり!?」と、あやうくつぶやきそうになった。登場キャラはヲタクでも王道のラブコメやってたのに、あの展開とは・・・(これも予算の問題かもしれぬ)。

 色々不満を書いたけど・・・まぁ、飽きずには観られますから^^!ただ、予算がない場合は無茶な脚色と演出はしない方が作品のため・・・という事で。全然フォローしてないな(笑)。

 

 もう1本は三池崇史監督作品「初恋」。三池さんはここ数年、どれもスベってるんで毎回がっくりきていた筆者だったが・・・。

 

  新宿歌舞伎町ー。天涯孤独ながら才能あるボクサー・葛城レオ(=窪田正孝)は、格下相手の試合でKO負け。試合後に受けた診察で、脳腫瘍のため余命僅かだと宣告される。自暴自棄になった彼が歩いていると、男に追われている少女に出くわす。 条件反射的に男をKOしたレオは、男のポケットにあった警察手帳を奪って少女の後を追った。 彼女はモニカ(=新人・小西桜子)と名乗り、親の借金のかたに売られ、ヤクザの監視の下で風俗嬢として働かされていた。 KOされた男は、実はマル暴の刑事・大伴(=大森南朋)。ヤクザの加瀬(=染谷将太)の提案にのって、組の資金源となる覚せい剤を横取りしようと計画し、モニカに罪を着せるよう見張っていたのだった。ところがレオの出現によってヤクザにチャイニーズマフィア、警察をも巻き込む大騒動に発展していくー!!

 

 三池さん初のラブストーリー・・・が売りだったのに、「どこが初恋やねん!」というバイオレンス映画(笑)。歌舞伎町を舞台にヤクザに中国人マフィアも絡む話って、三池さんの昔からの<定番>じゃん。その昔ながらのテイストにあらすじで書いた窪田正孝大森南朋染谷将太の他、村上淳内野聖陽ほか豪華キャストが集結!ベッキーが予想を越えた怪演を見せてくれます(ホント)^^。

 三池さん得意の暴力描写はたっぷりあるし(首チョンパ含む)、そもそもの発端・染谷将太演じるヤクザがどんどん事態が悪い方に進んでいって、次々に人を殺さないといけなくなる展開はブラックユーモア溢れるギャグ。「久々の三池節、復活か~!?」と一瞬喜んだのだけど・・・ちょっと後半のストーリーがストレートすぎたかな?もうちょい展開に捻りを加えて&20年前のクレージーな描写がさらにあれば・・・もっともっと良くなったと思う。・・・筆者の欲しがりすぎかしら?

 近年の作品に比べれば(そういえば実写版「ジョジョ」の第2章はどうなった?)大分、面白かったけど得意のジャンルに俳優陣揃えた割には「殺し屋1」のレベルにはまだまだ達していない・・・(惜)。三池ファンなら筆者と同じ感想を持つと思うんだけどなぁ?

 

 邦画2本トータルしての感想は「悪くはないけど、驚喜するレベルには残念ながら至らず」という事。あと今月は・・・デ・パルマの新作を期待せずに観るか←ここしばらく期待した映画はことごとくハズしてるので(哀)、SW同様ハードルを下げて観ないとね・・・。