其の242:君はバイブガンを見たか(笑)「ラブデス」

 2008年のスタートを「アイ・アム・レジェンド」という「人類滅亡映画」で迎えた筆者だが、続いては日本人によるバイオレンス&ギャグ&エロ満載の青春映画(?)「ラブデス LOVEDEATH」を紹介!「滅亡」の後は「バイオレンス」・・・我ながらいい継投だと思う(笑)。


 物語は悪徳刑事(六平直政)にそそのかされたヤクザの組長(船越栄一郎)の情婦(新人のNorA)が組の金を強奪したものの刑事とモメたため、かつて縁のあったアウトロー武田真治)を巻き込み逃走を企てる・・・というもの。彼らの後を組長の部下たち(大友康平ほか)のほか悪徳警察(寺島進池内博之)、船越に雇われた殺し屋集団(IZAM、年末にリングに復帰した船木誠勝ほか)らが追い、予想通りグチャグチャな展開になる(笑)。


 高橋ツトムの漫画「69」(村上龍じゃないよ)を原作に「あずみ」、「スカイハイ」、「ゴジラ FINAL WARS」を手掛けた北村龍平が監督(=近頃、ハリウッドに進出)。但し高橋から北村に「原作は気にせず、10分に1度は笑いを入れること」を条件に出された為(でも大半が下ネタ:笑)得意の「チャンバラ」は少しにして、あらゆる要素をぶちこんだ。ジョン・ウーロバート・ロドリゲスに加えブルース・リーまで・・・筆者は監督と同世代なんで元ネタわかりまくり^^北村曰く大手の製作会社からの依頼ではなく「自主映画(=北村は自主映画出身)」なのでここまで出来た、との事。北村版「俺たちに明日はない」or「トゥルー・ロマンス」といったところか。彼は「(自身の)最高傑作」と断言している!


 以前からここで何度も書いているパターンだが・・・「馬鹿映画」なのに、キャストがもの凄い!先述の武田真治大友康平らを筆頭に、ちょい役ながら竹内力、小沢仁志の「Vシネ」系のほか、以前関係した女に杉本彩。SM的拷問師に森本レオインリン・オブ・ジョイトイ(まんまやんけ)、ヤクザの大親分に泉谷しげる(彼の死に方に注目)、その情婦に吉岡美穂(後に結婚するIZAMも出てる)。「愛は勝つ」のKANが医者役で出演(驚)!おつむの弱い船木に殺される人々(=下ネタギャグ要員)に大森南朋パフィー大貫亜美渡辺裕之津田寛治チャック・ウィルソン(懐)ほか超豪華キャスト!!で、まともな人間が一人もいない(笑)。なんでも武田以外は台本通りに演じてないというから・・・みんなハッチャケたかったんだろうね(笑)。「2時間ドラマの帝王」船越栄一郎なんかは銃の先にバイブつけてるSM趣味の変態組長!端から見たら馬鹿以外の何者でもない(爆笑)!本人曰く「この映画で僕は完全に振り切れた」そうだ(笑)。だが、おそらく・・・女房に今作は観せていないと思う(笑)。


 先に「自主映画」と書いたが<クライマックス>では伊豆大島で約10日に渡る長期ロケを敢行!天候に恵まれなかったものの粘りに粘って納得いくまで撮影したらしい。これが幸いして、大銃撃戦が完成したというわけ^^<群像劇>でもある分、視点がコロコロ変わるので(主人公カップル、ヤクザ、殺し屋、警察)尺も少々長め。もう少しタイトに編集出来ると思うが、このごった煮風映画の魅力ともなっている。「難病」と「ノスタルジー」があいも変わらず幅を利かせている現在の日本映画ではありますが、このクレイジーな異色作(たまにはこういうのがないと)を筆者は断固支持するものであります。