其の665:暑い夏にマカロニを観よう^^「ミネソタ無頼」

 猛暑が続いております!暑い時には、あえて熱いもの食べて、汗かいて涼しくなるという発想がありますが・・・今回は同様の考え方で今夏、暑そうな砂漠で撮影されてる「マカロニウエスタン」を観賞するのは如何・・・という事で文章を進めます(無理矢理・笑)。

 既にこのブログで何度も取り上げているセルジオ・コルブッチ監督作品ですがこれも前に書いた気もしますけど、日本では最初に「イタリア製西部劇(=マカロニウエスタン)」を作ったのはセルジオ・レオーネ、と認識されているけど(「荒野の用心棒」が世界的大ヒットしたから)、実は先に撮ったのはコルブッチ!「荒野の用心棒」の前年、「グランド・キャニオンの虐殺」というウエスタンを演出してる(筆者、あいにく未見)。今回紹介する「ミネソタ無頼」、これも「荒野の用心棒」より早い!コルブッチのウエスタン初期作にして、マカロニウエスタンというジャンルの初期作ともいえる超重要な一作!・・・でも、あくまでファンだけね(苦笑)。


 無実の罪で長年、強制収容所に収監されている凄腕のガンマン、ミネソタ・クレイ(=この主人公の名前が映画の原題。演ずるは中年のキャメロン・ミッチェル)。眼病にかかっていて視力が著しく低下している。そんなある日、隙をついて脱獄に成功!自分の正当防衛を知りながら証言をしてくれなかったフォックスに会うため、かつて住んでいた町へと戻る。ところが町は今や保安官として君臨するフォックス達とメキシコの山賊オルチス一味の主導権争いで殺しあいが続いていた。再会したフォックスはクレイに無実の証言をする事を断る。友人のジョナサンを訪ねたクレイは、そこで彼が面倒を見ている娘・ナンシーと出会う。彼女の手首には「母の形身」という半分に切った金貨が着けられていた。それを見たクレイは、ナンシーが自分の娘だと知る。実はクレイの女・エリザベスに横恋慕していたフォックスが罠にかけてクレイを監獄に送り、その後、ナンシーを産んだエリザベスがいう事をきかなかった為、彼女を射殺していたのだ。怒りに燃えるクレイ。だが、彼の目は既に見えなくなってきていて・・・!?


 コルブッチが観たかどうかは不明だが“マカロニ版「座頭市」”とか“「誇り高き男」の模倣”とも呼ばれる本作(「盲目ガンマン」の元ネタか?)。映画の大半は砂漠とか荒野とかそんなんばっかでめちゃ暑そう!スタッフ、キャストが炎天下の中、延々撮影していたかと思うと頭が下がる。そんな今作は、クーラーの効いた部屋で冷たいビールを飲みながら鑑賞する事をお勧めします^^!

 ある程度、マカロニ観ている賢明な読者の方々ならもうお察しの通り、後のコルブッチ作品に出てくる“ハンディを背負う主人公”が早くも今作に(「ジャンゴ」や「サイレンス」のルーツ)。あとはマカロニお約束の行動原理“復讐”に(あとは“お金”ね^^)、派手なドンパチ・・・これでハードな拷問シーンが出てきたら、今作でマカロニウエスタンの必須構成要素がほぼ揃っていた事になる。この先見性・・・凄っ(素直に尊敬)!

 主人公は中年のおっさんだし(40代後半から50代)、昔の映画ゆえストーリー展開はベタだし、この後コルブッチが作る諸作より完成度は落ちるものの、今作の白眉はクライマックス・・・ほとんど目が見えなくなった主人公が闇夜の中、音と勘を頼りにフォックスとその部下達に立ち向かう。あんまり書いちゃうとネタばれするんでダメだけど、この下りの<編集>に注目してほしい。映像ならではの緊張感と醍醐味が味わえるマカロニ重要作にして秀作の1本🎵

 
 筆者はセルジオ・レオーネの作品も好きだけど、コルブッチのファンでもある。残りの余生を使って、もっともっとコルブッチの功績を世に広めたい^^

 
 <どうでもいい追記>なんと「ガンダム」がハリウッドで実写映画化!!いまのCG技術なら巨大ロボットもオッケーだと思うけど・・・「新しい世界観」って、どういう事?最低でも「モビルスーツ=兵器」という線だけは外さないで欲しい。作品的に「ドラゴンボール」、サンライズ的には「ガンヘッド」にならぬよう、ただひたすら祈るばかり!!