<其の777>国際スター集合「レッド・サン」からの~「ザ・サムライ╱荒野の珍道中」

 7月に入って、予想されていた<第7波>がきましたね・・・。これだけ人が街に出てれば、感染者が増えるのは当たり前。ウクライナに安倍元総理の事件に・・・2022年、ますます混沌とした年になったなぁ・・・(嘆)!

 

 さて、今回の本題。

 その昔、、、映画界は国の枠を越えて、人気スター達を大集合させた映画がいくつもあった。1971年公開の西部劇「レッド・サン」もそんな作品のひとつで、ハリウッド俳優チャールズ・ブロンソン(う~ん、マンダム)に、「太陽がいっぱい」のフランス映画界の人気スター、アラン・ドロン。そして我が国を代表して「世界のミフネ」こと三船敏郎の3大スターが共演した大作だ。

 

 19世紀末のアメリカー。日本からアメリカにやって来た侍一行(三船ほか)の乗る列車が強盗(ブロンソン、ドロンら)に襲撃され、大金と共にアメリカ政府に献上する日本刀も奪われてしまう。ところがブロンソンも部下のドロンに裏切られ、金を持ち逃げされてしまう。結果、ブロンソンは金を奪い返す為、三船は刀を取り戻す為、2人は反発しあいながらも共にドロンの後を追うー!!

 

 いや~、シンプルな話なのだけど(失礼)、にもかかわらず超有名3大スターの共演シーンは映画ファンとして、いま観てもワクワクしてしまう^^。日本人(サムライ)の描写はハリウッドだけに「・・・?」って感じはあるけどね。

 全盛期のブロンソンに加え、公開当時、ハンサムの代表だったドロンが悪役を演じていたのも良かった。監督が初期「007」を手掛けたテレンス・ヤングなのでアクションシーンも快調。監督つながりであろう、<初代ボンド・ガール>ウルスラ・アンドレスもドロンの情婦役で出演してる。

 設定自体にリアリティー度は低いけど、クライマックスもちょっと予想外の展開で驚かされる娯楽巨編。現在の作品で、これ程のキャスティングが出来るかどうか考えると・・・ちょっと想像つかないなぁ!

 

 1974年。イタリアでは「続 荒野の用心棒」のセルジオ・コルブッチ監督が「レッド・サン」のパロディー・ウエスタンを演出した。タイトルは「ザ・サムライ╱荒野の珍道中」!勿論、コメディー要素満載(笑)。ジュリア―ノ・ジェンマ、トーマス・ミリアン、そしてイーライ・ウォラックのマカロニ・ウエスタン3大俳優(?)共演。ブロンソン、ドロン、三船の3人&作品の予算を・・・比べてはいけない(笑)。

 

 お話はサムライ達(ちなみにミリアンが扮するのは日本とアメリカの混血の足軽)が乗る列車が先住民に襲撃され、アメリカ政府に献上する仔馬が奪われ身代金を要求される。仔馬の身代金輸送を依頼された保安官(=ウォラック)と足軽、そして保安官を騙した詐欺師(=ジェンマ)の3人がひょんな事から行動を共にする事になる。

 

 真面目な映画ファンで「なんでこんな映画を作ったのか!?」とお怒りになる方もいらっしゃるかもしれませんが、そもそもコルブッチは代表作「続 荒野の用心棒」自体がセルジオ・レオーネの「荒野の用心棒」からの“いただき”だし、ハリウッドの超有名大作「史上最大の作戦」をパロった「地上最笑の作戦」なるコメディー(それにしても凄い邦題)も演出したりしているから、「レッド・サン」のパロディー作る事ぐらい、なんら不思議ではない。この当時のイタリア映画界を考えれば・・・いたって普通の作品作りだろう(苦笑)。

 過去にも書いてきたように筆者はコルブッチのファンなのだが・・・とはいえ、ミリアンの無茶苦茶な役だけはどう書いてもフォロー出来ないし(笑)、改めて書くまでもないけど、コルブッチの諸傑作「続 荒野~」、「殺しが静かにやって来る」、「ガンマン大連合」他に比べると・・・今作は残念ながら大分“落ちる”。ただ「サムライ」、「列車襲撃」、「先住民」と・・・「レッド・サン」の要素を生かしつつ、まんまなぞらずに独自の展開に持っていくのは流石、コルブッチ(共同脚本兼任)!「レッド・サン」とは全く異なるオチもつくので、そこんとこだけは乞うご期待(笑)。

 

 今回は大ヒット映画は必ず二番煎じ、三番煎じ、あるいはパロディー作品が作られる、、、という映画人の悪しき慣習について考えた回でした♪

 

<余談>コルブッチ作品(特にマカロニ系)は未だに「進撃0号作戦」や「J&S さすらいの逃亡者」とかが円盤化されていない(怒)!!

 「J&S ~」は大昔、名画座で観て、大して面白くはなかったけど(苦笑)、「進撃~」は観ていないんだよね~。メーカーの方々、是非お願いします!!