其の653:重厚な人間ドラマ「64-ロクヨン-」

 ・・・職場で蔓延している風邪をうつされてしまいました(涙)。熱が上がったり下がったりの繰り返しで・・・人員不足で病欠も出来ず苦しいっす!

 そんな風邪をひく前にまとめて観たのが横山秀夫のベストセラー小説の映画化「64-ロクヨン-」2部作(共に公開は2016年)。近年、日本映画で2部作形式ちょいちょいあるけど、こっちも社会人でそんなに時間とれないから、しばらく待ってまとめて観るのが筆者の傾向。“ミステリー”なので、ネタバレしないようにサクッと書いていきます。

 
 結果<7日間>だけとなった昭和64年(1989年)ー。某県で7歳の少女の誘拐事件が発生、犯人の要求は身代金2000万円。捜査一課特殊犯捜査係の三上義信(=佐藤浩市)らは身代金を運ぶ父親・雨宮(=永瀬正敏)の車を追っていた。だが矢継ぎ早に指定場所を変更してくる犯人によって、まんまと身代金は奪われ、後日、少女の遺体が発見される最悪の結末を迎える。昭和天皇崩御で新元号「平成」が制定された事によって警察は、この事件を“ロクヨン”と呼び捜査は続いたものの、何の進展のないまま時は流れていった・・・。

 平成14年(2002年)、広報室の広報官に異動させられていた三上は、時効間近のロクヨンについて警察庁長官が東京から視察に訪れる事が決まったので、被害者遺族宅へ長官が慰問する許可を取り付けて来るように命じられる。三上は久方ぶりに雨宮と再会したものの、彼は慰問の打診を拒否する。その同じ頃、とある交通事故での匿名扱いを巡って記者たちと広報室の間に深い溝が出来てしまう。そんな中、三上の同期の警務部調査官が、ロクヨンについて当時の関係者に密かに聞き回っている話を聞く。その真意は何か?更には予想外の事態が三上たちの身にふりかかる・・・!!


 ・・・とまぁ、上記でも大分ダイジェストにしたのだけれど、ミステリーにして重厚且つ登場人物多数の群像劇でもあるので・・・続きが気になる方は是非ご自分の目でご確認あれ^^。

 前後編2作で4時間を越える大作ですが、なによりも出演者が実に豪華!!主演の佐藤浩市を筆頭に、先も書いた永瀬正敏の他、綾野剛榮倉奈々瑛太窪田正孝、坂口健太郎ら若手に夏川結衣緒形直人椎名桔平滝藤賢一吉岡秀隆仲村トオル奥田瑛二三浦友和・・・とこれでもまだその内の一部という幅広〜いキャスティング(ギャラだけで製作費のどれぐらいかかったんやろ)!これで西田敏行仲代達矢も出てきたら完璧だっただろう(笑)。

 監督、共同脚本は瀬々敬久(かつて佐藤寿保サトウトシキ、佐野和宏と共に「ピンク四天王」と呼ばれたのは今じゃ昔)。主人公の一人称で書かれた原作を正攻法で演出&大勢の俳優陣を要所要所でうまくさばいたと思う(横山先生も映画、褒めてた)。ロケもこれだけの分量撮るには長期に及んだと思うし大変ご苦労されたと思う。
ただ、警察広報に対して、記者クラブ所属の新聞記者さんたちがガンガンぶつかっていくけど・・・本当にあんなに激しくやりあっているのかしら?!ここのリアリティーについて詳しい人には聞いてみたいわ。

 犯人探しも今作の大事な要素なんだけど・・・観てて筆者は主人公の置かれた状況に多いに同情しましたね!職場(警察)の上司は自分の保身だけ考える嫌な奴ばっかだし、お仕事相手のマスコミの記者も当たりが強い上に、家庭にも問題あり(詳しくは映画を観てね)。・・・こんな環境が延々続いたら筆者は失踪するかも(苦笑)。「ラ・ラ・ランド」の時と同じく、ジャンルを越えて「人生映画」に観えてきたよ(苦笑)。人生は自分ひとりの努力だけではどうにもならない事が多い・・・!

 どシリアスなお話なので爽快感を期待してはいけませんが、現在の日本映画俳優陣による演技合戦(永瀬正敏はいい老け芝居してるよ〜)が堪能できる一作。少女漫画の実写映画化作品ばかり観ていてはあかんよ^^。

 
 それにしても年明けから日にちも過ぎて落ち着いてもいい筈なのに、スケジュールが・・・忙しいねぇ!他にも書きたい映画あるのに・・・時間がとれない(半ば怒り)!!