其の654:これぞカルト!「ハネムーン・キラーズ」

 多忙なスケジュールがようやく落ち着いたと思ったら、2018年も3月になってしまいました(早)!今月はー少し人間らしい生活を送りたい(泣)。

 そんな中、今年はマジな映画を書いてきたわけですが・・・今回紹介するのは、知る人ぞ知るレナード・カッスル監督・脚本作「ハネムーン・キラーズ」(’70・米)!1940年代後半、アメリカに実在した殺人鬼カップル、マーサ・ベックとレイモンド・フェルナンデスを描いたクライムドラマにして「カルト映画」!!このブログは時々こういうの書かないといけない(笑:筆者もわかっている)^^


 年老いた母親と2人で暮らしている大柄の看護師マーサは、友人の薦めで新聞広告の恋人募集欄「ロンリー・ハート」に投稿。そこで知り合った男性レイと文通を開始、彼に惹かれるようになる。意を決してレイに会いに行くと・・・彼は、寂しい独身女性を狙う結婚詐欺師である事をあっさり告白。それでもレイと生きる事を選んだマーサは、彼の結婚詐欺を手伝うように。ところが徐々に相手女性たちへの嫉妬を抑えきれなくなり、遂には相手を殺してしまう・・・!


 実話をモノクロ&再現ドラマ風に描いた今作。当初は無名時代のマーティン・スコセッシが監督に抜擢されたが揉めて1週間で降板したらしい・・・。で、その後を何故かオペラ作曲家(!)のレナード・カッスルがメガホンをとって完成。あのフランソワ・トリュフォーが「最も好きなアメリカ映画」と称賛したとか伝説の多い作品でもある。鬼畜カップル、マーサ・ベックとレイモンド・フェルナンデスは婚活女性20人を餌食にしたと思われるが立件されたのは3件だけ。この「ハネムーン・キラーズ」の他、「地獄愛」とか度々映画になっとります。

 いくら実話ベースといっても、当然ながらちょいちょい<脚色>されてる部分はある訳で・・・マーサ(犯行当時20代後半)なんか完全にデブのせいで男いない、結婚できない、みたいな体(てい)で描かれているけど、実際は行きずりの男との間に2人の私生児を出産&病身の母親の面倒もみていて生活に疲れ切っていたようだ。一方のレイ(当時30代前半)も20代半ばでスペインに妻子を残し、仕事を求めて渡米。働き口を見つけたものの、事故で脳を損傷。その影響かキレやすく気難しい性格になってしまい仕事が続けられず、やがて結婚詐欺に手を染めるようになったそうだ。その辺りの経緯は映画にはない。レイがマーサと共に犯行を続けるようになったのも映画では、結婚詐欺師と告白したレイに対し、マーサはショックを受けつつもオッケーしてスタートするが、実際はその要素にプラス、マーサがレイに言われるまま子供もあっさり捨てたので、レイが情にほだされたそうで。この他、・・・オチは書かないので、2人がどうなったか気になる人は本編を観てね^^🎵

 「本当にあった話」&巨体の女と痩せ男の2Sビジュアルはインパクト大だが(余談だが、ポスターとかDVDのジャケットで使われてるマーサの黒い下着姿の映像はない。デブ専系の方を釣る為の仕掛けか?!)、映画自体は・・・ぶっちゃけ低予算。ドキュメンタリータッチといえば聞こえはいいが、ロケセットと少ないスタジオセットでどうにか室内シーンを処理してる感じ。先にも書いたように監督が映像本業の人じゃないから(これ以外にレナード・カッスルは映画撮ってない)ちょっと素人くさい撮り方なんだよな〜。工夫すれば、もう少し貧乏くささを感じさせなくて済んだ気も。でもスコセッシの降板とか、いろいろあって現場は大変だったんだろうな〜。お話が面白い分、そこが残念だが・・・だから「カルト映画」化したのか(納得)^^


 「事実は小説より奇なり」とは言いますが今作もそんな1本。人間のダークサイドにご興味のある方は是非ご覧下さい。あとカルト映画好きの人ね^^