其の638:邦画歴史大作&ヴァーホーヴェン新作!

 ・・・先月のハード・デイズを越えて(思えば今年も半分が終わってしまった)、少〜し落ち着いた日々に戻りました(この後は分かりませんけど)。そこでウン年ぶりに映画試写会をハシゴ❤
 てな事で今回は公開前の映画2本のレビュー!ネタばれしない範囲でサクッ、と書いていきますわ♪


 まずは司馬遼太郎大先生の同名小説の映画化「関ヶ原」。石田三成徳川家康をメインに、三成と豊臣秀吉の出会いから、天下分け目の合戦<関ヶ原の戦い>を描いとります。監督・脚本は「クライマーズ・ハイ」、リメイク版「日本のいちばん長い日」の原田眞人、出演はV6の岡田准一くんが三成、家康に役所広司。時代劇初挑戦となる有村架純(←最近、彼女のお姉さんも話題ですな)が三成配下のくの一を演じています(この設定は原作を変えてる)。
 筆者は“自称・歴男”なんで今作をチョイスした訳ですが、尺も2時間半、観ていても“お金掛けてます〜”という大作感はありますが、出来は「普通に楽しめた」・・・てな、感じでしょうか。
 原作自体が長い小説なので、ダイジェストにするしかないけれど、ナレーターの立ち位置が意味不明。あの内容だと司馬遼太郎になるのかしら(違ったら申し訳ないが、あれではそう思えてしまう)??タイトル明けに出てくる少年が司馬遼太郎・・・の必要性があるのかに、まず「?」。その分の尺をストーリーの方(特にラストはオチ分かってるだけに余韻が欲しかった)に回して欲しかったな〜。岡田くんや役所さんがよく演じていただけに勿体ない。有村架純も可愛いだけに、いまいち伊賀忍者には見えないけど(ごめん)、クールな表情が印象深く、殺陣も頑張っていたと思う。
 時々“早口の台詞回し”になるのは何なのかしら?!台詞のスピードを早めて尺を調整したフィンチャーの「ゴーン・ガール」、あるいは同じ東宝作品「シン・ゴジラ」の真似か(苦笑:映画ジャーナリスト出身の原田監督はちょいちょい自作に他作品を模倣する)?一部ストーリーにかかわる部分で聞こえにくいところがあったのは残念。学生さんが「日本史」を勉強する上で、今作はいいサブテキストになるな、と。別に観ていて飽きたりはしなかったし。思わず「すげー!」と唸るようなアクションシーンがあると、更に面白さはアップしたのは間違いないが。「関ヶ原」は8月下旬ロードショー予定。
 ・・・何故か日本の映画関係者は「大作=時代劇」あるいは「戦争もの」という発想の人が多い気がするんだけど、そういう狭い了見は捨てましょうよ。大金かけて、世界市場に出せるアクション映画やSF大作の製作にも今後期待したい。

 
 ほんでもって、2本目は「氷の微笑」、「スターシップ・トゥルーパーズ」の鬼才ポール・ヴァーホーヴェン監督待望の新作「エル ELLE」(’16)!!先日「フランス映画祭」でご本人も来日していましたが、今作はオランダ映画ではなくてフランス映画だったからなんですね〜。真の映画ファンは、普通これ観に行くだろ(そうなの?!)。

 日中、自宅に侵入してきたスキーマスクを被った男にレイプされたゲーム会社の女社長・ミシェル(=「ピアニスト」、「8人の女たち」のイザベル・ユペール)。後日、本人より事件を知らされた友人達は警察へ通報するよう勧めるものの、過去のトラウマから本人は通報しない。ところが、犯人と思われる男よりメールが届いたりした事から、彼女は近いところに犯人がいる事を確信してー。

 原作は「ベティ・ブルー/愛と激情の日々」のフランス人、フィリップ・ディジャンの小説「Oh...」。タイトルの「ELLE」はフランス語で「彼女」の意。「THEかぼちゃワイン」のヒロインの事ではありません(古っ)。短めに粗筋を書きました通り<スリラー映画>でもあり<女性映画>なんですけど(しかも上映時間2時間越え)、そこはヴァーホーヴェン!!ありきたりな女性映画になっている筈がない^^。セックスとバイオレンス溢れるゴージャスな怪作になっているのだ・・・って、過去の映画も全部そんな感じか(笑)。
 犯人捜しがメインかって言われると、そうでもないし(ヒロイン及び周りのキャラも濃い人ばっかりで、その人たちと絡んでいく事でストーリーが進行)、段々ミシェル自身も涼しい顔しながら、大胆な事していったり・・・「う〜ん、ヴァーホーヴェン印!」としか言いようがない作品。
 本来はハリウッドで製作しようと頑張ったらしいけど、知り合いの女優たち皆に断られ(爆笑)、イザベル・ユペールが出演を熱望した事から、原作本来のフランスで映画する事にしたらしいけど、イザベルさん主演で良かったんじゃないかしら。ご本人も60過ぎて(本当です)脱ぐわ、●●●●(自主規制)シーンまで披露するわ・・・ヨーロッパの大女優は偉いっ!!
 もっとも筆者的にはせっかくのヴァーホーヴェンなんで、もっともっとハードな事やって欲しかった気もしなくはないけど(笑)、久々のヴァーホーヴェン印を愉しませて頂きました^^。今作は8月公開予定!
 
 それにしてもヴァーホーヴェン監督も御年78歳!少し前、同年代のジョージ・ミラーがあのパワー漲る「マッドマックス」作ったり・・・70代でも海外の監督はマジですげー!!50前の筆者が老成化する事はないな〜、彼ら大監督を見習って筆者も頑張ろ〜^^