其の590:ほっこり&ドンヨリ、すこし不思議映画2本

 2016年となりました。本年も何卒宜しくお願い致します^^

 さて、2015年を「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」で締めた筆者ですので、新年一発目も<SF映画>にしてみようかと。今回は趣向を変えて、宇宙人やビーム光線銃とかのドンパチは一切ない“すこし(Sukoshi)不思議(Fushigi)”といった意味合いの作品を2本短めに書こうと思います。


 まず1本目は「アバウト・タイム〜愛おしい時間について〜」(’13年:英、米合作)。SFであり、コメディタッチの恋愛映画でもあり、ひいては人生映画でもある一作。・・・これまでの当ブログの傾向から、筆者がこのテの作品をチョイスした事に驚かれる読者の方もいらっしゃるかとは思いますが・・・新年早々ハードなゴア描写のある作品よりは、こういう方のがいいじゃない!お正月明けて間もないし(笑)!


 イギリス・コーンウォール。平凡な青年ティム・レイク(=ドーナル・グリーソン)は21才になったある日、父親からある“秘密”を告げられる。なんと一族の男には狭いところに入って念じるだけで<タイムトラベル>を行う能力があるというのだ!但し、未来には行けず、自分自身の過去にしか行く事が出来ないという条件付き。信用しなかったティムだが、試しにやってみると・・・頭に思い浮かべた大晦日の夜に戻ることが出来た!!父のアドバイスもあり、この能力を恋愛に使おうと考えるティム。ロンドンに出て弁護士を目指して働くようになった彼は、ある日、暗闇を売り物にするレストランで出版社で働くアメリカ人女性メアリー(=レイチェル・マクアダムス)と出会うが・・・!?


 タイムトラベル出来るという設定に何の説明もないけれど(笑)主人公が“ドジでモテないあんちゃん”っていうのが、基本設定に反してリアルでグー!そういった彼がタイムトラベルを繰り返しながら学習して、自らの人生を切り開いていく過程がこの映画の最高に面白いところ。最後にしみじみ&ほっこりするいい映画♪。
 主人公もいいけど、メアリーを演じたレイチェル・マクアダムスがいい。前髪パッツンながらもキュートで、ちゃんと自分を持っているヒロインを好演。今作のDVDのジャケット写真にもなっている、あの笑顔は素晴らしいね!!以前、デ・パルマの「パッション」で嫌なキャリアウーマン役演じていたので、あんまりいい印象じゃなかったけど(←あくまで役の上のことです)今作の彼女は自然で本当にいいわ。個人的には「ローマの休日」のオードリー・ヘプバーン、「恋しくて」のメアリー・スチュアート・マスターソン、「天使のくれた時間」のティア・レオーニにつながる“男が好きになるヒロイン”の系譜だと思う。その他、主人公の父親や天然のおじさんらが大いに笑わせてくれる^^。

 脚本・監督は「ラブ・アクチュアリー」(’03)、「パイレーツ・ロック」(’09)の才人リチャード・カーティス。友人と交わした会話をヒントに今作を考案、ユーモアあふれる台詞&展開、手慣れた演出で2時間を越える映画ながら全く飽きさせない。ネタバレになるから、あまり書けないけど・・・恋愛映画って、主人公カップルの結婚をゴールとして終わらせる作品が多いんだけど、人生はそこからが真のスタートであって・・・そこら辺りもキチンと描いている点も筆者的にポイントが高い(これは既婚者にならんと分からんことだけどね・・・)。カーティスは今作が長編3作目ながら、これを最後に監督を引退作すると表明。映画で描きたい事は全てやり尽くしたのかもしれないけれど・・・う〜ん、勿体ない!撤回してくれ〜!!


 そして、もう1本は「わたしを離さないで」(’10・英)。長崎に生まれ、幼少時に渡英して作家になったカズオ・イシグロ原作の同名小説の映画化。近日、日本でも連続テレビドラマとして放送予定ですが・・・こっちは観た後、ど〜んと落ち込みます(本当)。


 1950年代、不治とされていた病気の治療が可能となり、1967年には平均寿命が100歳を超えた世界ー。70年代、キャシー、ルース、トミーら少年少女らは自然に囲まれた寄宿学校ヘールシャムで生活していた。学校から出ることは許されておらず、「保護官」と呼ばれる先生の指導の下、頻繁に健康診断や買い物の練習が行われ、子供たちが書いた絵や彫刻・詩の創作物は“マダム”と呼ばれる女性のギャラリーに送られていた。そんなある日、新任のルーシー先生が子供たちに“隠された真実”を告げる・・・。1985年、18歳になった3人は「コテージ」と呼ばれる場所で共同生活を始める。キャシー(=「ドライヴ」のキャリー・マリガン)はトミー(=新しいスパイダーマンことアンドリュー・ガーフィールド)に恋心を抱きながらも、彼はルース(=「文芸映画」顔のキーラ・ナイトレイ)と交際していた。そんなある日、他校から来たカップルに3人はある噂話について尋ねられる・・・。


 粗筋に書いたように、“実際の現実とは違う世界”のお話。とはいっても、ピカピカの高層ビルとか反重力カーとかのベタな未来都市とか出てこない、ふつ〜の現実世界で撮られているので、SF苦手な女子でも大丈夫^^

 ただネタバレするので・・・3人の“隠された真実”については書けない!!映画では割と序盤で衝撃の秘密が明かされて、以降この設定を中心にお話が展開するので、本当は書きたいんだけど、ごめんなさい!!ネタバレしてもいい人は他のサイトを読んでください(映画を是非観て欲しいんで泣く泣く割愛)。

 筆者的には・・・この辛い設定に主人公たち同様、チト泣いた。倫理上、こんな状況の世界は絶対に訪れないとは思うが・・・。イギリスの美しい風景と淡々とした映像も印象的。君がもし、主人公たちと同じ宿命を背負っていたら・・・どうする??


 さて、この2作で共通しているのが、“すこし不思議”テイストとドーナル・グリーソンが出演している点(笑:本当)。彼はなんと「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」でカイロ・レンにいまいち軽くみられているハックス将軍役(驚)!「アバウト・タイム」のティムとハックス将軍が同一人物・・・。海外の俳優さんの振れ幅はめっちゃ広い!!