其の541:<短期集中連載>ハリ・ポタ全作一気観②

 11月公開のインドネシア映画「ザ・レイド GOKUDO」を試写で観ました。前作は冒頭、主人公がトレーニングしたら、すぐ本題(大銃撃戦)という勢いある超シンプルな構成、「ダイ・ハード」第1作目を彷彿させるビル限定の設定、そして世界にその名を轟かせた(?)格闘技<シラット>の技の数々が凄かったんだけど・・・今作は監督、主演俳優まんまの“純粋な続編”ながら・・・出来がちょっと・・・ねぇ・・・。
 地元のマフィア組織の全容解明のため“潜入捜査官”になった主人公に、進出を図る新興組織&現地の日本ヤクザ(松田龍平遠藤憲一北村一輝)が絡む・・・という“ありがちながら映画らしい映画”に。前作がヒットして予算も増えたんで「アクションだけじゃなくてドラマもやろうよ!」と思う監督の気持ちは容易に推察されるが−ちょいちょい余計なエピソードはさんでの2時間26分は長すぎる。インド映画かセルジオ・レオーネマカロニウエスタンかと思った(笑)。邦題のサブタイトルに「GOKUDO(極道)」と付けた割には日本人ヤクザ活躍しないし(苦笑)。カーチェイスやシラットほかのアクションは凄いんだけどね〜・・・余計な肉付けし過ぎて、前作の良さが失われてたわ。3作目もやりそうなラストだったけど、もしやるなら原点に戻って作って欲しいっス!



 前ふりはここまでにして“本題”へ^^。2004年、シリーズ第3作「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」が公開された。


 
 夏休み、トラブルで家を飛び出したハリー・ポッター(=ダニエル・ラドクリフ)はロン(=ルパート・グリント)やハーマイオニー(=エマ・ワトソン)と再会。そんなときハリーは偶然、魔法監獄「アズカバン」の脱獄囚シリウス・ブラック(=ゲイリー・オールドマン)が、自分の命を狙っていることを知る。彼はヴォルデモート卿の部下で、ハリーの両親を裏切ってその居場所をヴォルデモートに教えたため2人は殺されたといわれていた。
 新学期が始まり「ホグワーツ魔法学校」3年生となったハリーたちだったが・・・。


 
 前作より2年あいての第3作。・・・というのも前2作を監督したクリス・コロンバスが<降板>したから!確か長期間、イギリス滞在を余儀なくされたコロンバスがホームシックになって降りた・・・と書かれた記事を当時読んだ記憶がある(子供か)。そこで監督候補として毎度名前の挙がるスティーヴン・スピルバーグギレルモ・デル・トロらの名が浮上(スピルバーグ本人もマジで検討した)。だが最終的にメキシコ人監督:アルフォンソ・キュアロンが監督に選ばれた。

 アルフォンソ・キュアロンといえば後に「トゥモロー・ワールド」や「ゼロ・グラビティ」を演出するビジュアル派クリエイター。その結果、1・2作目の「万民向け幕の内映画」が原作のもつダークさを表現したシャープな一作に仕上がった。

 2年間はさんだ分、より成長した魔法学校の一同はヘアスタイルも何気に変わって全体クダけた印象。例えるなら、小学生が中学に上がってちょっと慣れた感じ(笑)。キュアロンは生徒役のコたちに「進級にあたって」のレポートを書かせたそうだから、それを元に思春期に入る少年少女たちの心情も表現しようとしたに違いない。

 ストーリー的には原作がある分、ちょっと作劇的には<パターン化>してるけど・・・例)クライマックスが終わった、と見せかけてまだ続くとか。毎回新しく赴任してくる魔法学校の先生は要チェックとか(→今作では英国人女優エマ・トンプソンがぶ厚い眼鏡かけて変な先生を熱演)。ただ監督が代わった分、タイトルやエンディングロールも変更、過去には見られなかったホグワーツの別の場所が登場したりと多々、新しくなっている。残念なのは02年にダンブルドア役のリチャード・ハリスが急死したこと!出来れば全作演じて欲しかったが・・・以降はダンブルドアマイケル・ガンボンが担当。でも、そんなに違和感ないから良かった^^。また今作は音楽のジョン・ウィリアムズが担当した最後の作品となった(以降、メインテーマは別の作曲家がアレンジする形で使用される)。

 あれやかれや色んな意味で<ターニング・ポイント>になったのが「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」といえよう。


 
 原作同様、ダーク路線に舵を切ったハリー・ポッターの第4作目は「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」(’05)である。



 ハリーはウィーズリー家からの招待を受けてクィディッチ(→魔法の箒で空を飛びながら行う魔法界の球技)のワールドカップを観戦。するとその夜、「死喰い人」と呼ばれるヴォルデモート卿の部下達によって観戦客のテント村が襲撃される事件が起こる。
 4年生となる新学期がスタート。「ホグワーツ魔法魔術学校」、「ダームストラング専門学校」、「ボーバトン魔法アカデミー」の3校による「三大魔法学校対抗試合」が行われることになり、各校の17歳以上の生徒から1人ずつ代表選手が選ばれる事が発表される。「ダームストラング」と「ボーバトン」の校長及び生徒達が「ホグワーツ」に到着。ダンブルドア校長は試合に立候補する生徒は名前を書いた紙を<炎のゴブレット>に入れるよう説明する。選ばれた代表選手の名前が、ゴブレットから出てくることになっているのだ。その結果、各校17歳以上の生徒達が1人ずつ選ばれたのだが・・・3人が選ばれた後もゴブレットの火は燃え続け、なんとハリーの名前が出てきてしまう!!紙を入れていないハリーは困惑するものの、魔法契約の拘束力により辞退は出来ず、17歳以下ながら4人目の代表選手として試合に出場することになる・・・!


 監督がアルフォンソ・キュアロンから「フォー・ウェディング」ほかで知られる英国人マイク・ニューウェルにバトンタッチ。俳優陣も監督もーこうして英国カラー一色になりました。で、ますます映像も内容もダークに(いいね〜)!

 ハリーを演じるラドクリフは→→→現実も劇中もリアル14歳(日本なら「中2」^^)!思春期らしいエピソードの数々が挿入されるようになる(ロンと大喧嘩するわ、ダンスパーティーに参加するため女子を誘うのにドキドキしたり。入浴中のハリーがその姿を幽霊女子にのぞかれて照れるとか)。さすがに男子がこっそり集まってAV観るようなシーンはない(笑)。

 4作目ともなりますと、過去に出てきたキャラや小道具が説明なしでバンバン出てくるので(「ドラえもん」同様、致し方なし)、もうここからいきなり観てもダメ!このシリーズは1作目から観るしかないと改めて実感。今作から片目が義眼(?)の先生やマリリン・モンローをパロった魔法界の女性新聞記者とかも登場。おいおい以降の作品にも出てくるので覚えておかんと。

 オチもマジでハードだったし・・・もう1、2作目のムードはないな〜!この4巻の原作が2001年のヒューゴー賞(長編小説)受賞も納得。本当に大人が観て面白い4本目だ・・・お子様はどうだかわからんが。



 このシリーズは・・・ここまで読んだ方はもう誰でもわかるように<ハリーVSヴォルデモート>にいくしかない訳です。「北斗の拳」で言うならケンシロウラオウ(笑)。その構図が更に加速するのが第5作「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」(’07)!


 
 夏休み、ハリーとダドリー・ダーズリーは突如<吸魂鬼>に襲われる。魔法を使ってピンチを脱したものの、「魔法省」は<未成年の魔法使いは自衛以外の魔法の使用を禁じられている>として、ハリーをホグワーツから退学させようとする。ダンブルドア校長と「魔法省」の話し合いの結果、退学処分については後日、「懲戒尋問」によって決定される事になった。
 ハリーは、復活したヴォルデモート卿に対抗すべく結成された<不死鳥の騎士団>のメンバーと共に騎士団の本部となっているシリウス・ブラック邸を訪れる。そこにはシリウスやウィーズリーファミリー、ハーマイオニーらがいた。夜、ハリーはメンバーから、ヴォルデモートがある重要なモノを探していることを教えられる。そんな中、ハリーの「懲戒尋問」が行われ、無事無罪が認められた。
 休みが終わったホグワーツの新学期。5年生になったハリーの前に「懲戒尋問」に出席していた魔法省のアンブリッジが先生となって現れるー。


 
 またまた2年あいて公開された今作。監督は主にテレビで活躍していたデヴィッド・イェーツに交代(イギリス人)。原作最終巻が7巻なので、ラストの前の前になるから「VSヴォルデモート」の前哨戦的位置になる。主演のラドクリフ(この時点でもう立派な青年)は後年、シリーズ中この作品が好きだとコメントしてる。撮影がアル中になる前だったせいかもしれないが。あるいは今作でハリーが“初チュー(しかも年上相手)”するからかも(笑)♪

 「ハリ・ポタ」は1巻1年の話なんで毎回いろんなエピソードが入ってくるんだけど→→→キチンと伏線を回収するのはえらいよね。今作の途中の1エピソードとして出てきた<巨人>も最後にまた絡むし(読めるけどさ)。毎回、ストーリーの要となるのが“新しく来た先生”というのも、このシリーズの<お約束>のひとつだが、今作では魔法省の小役人である全身ピンクのオバハンがホグワーツを牛耳ろうとする。このテの<学園ファシズム系>のお話は特段新しくもないけど、このシリーズでは、より長編ストーリーものとして機能するよう筋立てられている(あんまり細かく書くとネタバレになるからアバウトにしか説明出来ないのが筆者もつらい)。

 よりダークになっていくストーリーに、新キャラ(ハリウッドでも活躍するあの大物女優も今作から参戦)も登場!監督がまたまた代わっちゃったんで少々心配しながら観たが・・・前作のテイストを上手く継承しててよかった(ホッ)。原作まともに読んでないんでホグワーツが何年制だかは気になるけど(笑)。

 
 ここまで観たら映画はもう残り3本(原作小説なら2巻分)!!<ハリー&魔法使い軍団>VS<ヴォルデモート&闇の魔法使い軍団>の対決を見届けるしかないでしょう♪次回は6作目から最後まで紹介します。ちなみに・・・漫画の「デビルマン」みたいにデーモン含めて人類滅亡とかで終わらないんで、そういうオチが苦手な方でも大丈夫よ❤ 
 
 <以下次号に続く>