其の540:<短期集中連載>ハリ・ポタ全作一気観①

 お盆も過ぎて、ようやく涼しくなりつつある今日この頃ですー。

 筆者のあくまで“個人的趣味”としては、それほど「ミュージカル」と「ファンタジー」を好んで観る傾向にはない(SFは好きなんだけどね〜)。正直「ファンタジー映画」は「ロード・オブ・ザ・リング」3部作を観れば十分ではないか・・・とも思っている。そんな筆者が「ハリー・ポッター」シリーズ全8作を書こうと思う。・・・何故か?

 第1作の公開当時(2001年)、実は当時担当していた番組で今作を取り上げることがあって、直接その企画の担当ではなかったのだけれど・・・人がいないんで(苦笑)少々手伝うはめになり&その絡みで第1作目だけは劇場で観たのですよ。その時から「原作は全7巻まで出て、すべて映画化される」という話は聞いていたので「だったら全ての映画が公開されて落ち着いたら観ればいいや!」と思ったのです。
 あれから13年・・・映画もとうに完結し、時は流れた(笑)。そこで「ハリ・ポタ」全作を何回かに分けて書いていこうと思う。以前書いた「座頭市」シリーズに比べたら8本ぐらい大したことないわ♪



 原作の第1巻にして映画第1作となるのが「ハリー・ポッターと賢者の石」。今更だが・・・知らない方のために一応、基本設定踏まえて軽くあらすじを。

 
 生後まもなく両親が亡くなった為、親戚のダーズリー家に引き取られていたハリー・ポッター(=ダニエル・ラドクリフ)は、おじとおば、同い年の従兄ダドリーにいじめられる孤独な日々を過ごしていた。11歳となるそんなある日、ハリー宛に「ホグワーツ魔法魔術学校」から入学許可証が届く。しかしダーズリー夫妻はハリーに手紙を見せなかったため、その後も大量の手紙が送られてくることに。それを嫌って、人里離れた小屋に逃げ込んだ一家の前に、謎の大男・ハグリッドが現れた!彼はホグワーツの森番で、夫妻がハリーにひた隠しにしていた本当の生い立ちを告げる。
 交通事故で亡くなったと聞かされていたハリーの両親は実は“魔法使い”で、当時強大な勢力を誇った闇の魔法使い・ヴォルデモート卿に殺されていた。ヴォルデモートは生後間もないハリーも殺そうとしたが、何故かハリーは殺されず、ヴォルデモートは肉体を失って逃げ去ったという。ヴォルデモートから唯一逃げ延びたハリーは魔法界では<生き残った男の子>として有名な存在だった。こうしてハリーはハグリッドの手引きで家を出て、晴れてホグワーツへ入学することになった。
 学校へ向かう「ホグワーツ特急」で出会ったロン・ウィーズリー(=ルパート・グリント)やハーマイオニー・グレンジャー(=エマ・ワトソン)と同じ「グリフィンドール寮」に所属することも決まり、魔法学校での生活がスタートする。そんな中、魔法界の名家の出で「スリザリン寮」のドラコ・マルフォイ(=トム・フェルトン)は“魔法界の有名人”ハリーの存在を嫉妬し嫌悪する。
 魔法学校での日々の中、ハリーたちは魔法薬学の教師セブルス・スネイプ(=アラン・リックマン)がダンブルドア校長(=リチャード・ハリス)の友人の著名なある錬金術師だけが所有する、どんな金属も黄金に変え、飲めば不老不死となる「命の水」を作り出すとされる<賢者の石>をホグワーツ城内から盗もうとしているのではないか、との疑惑を抱くのだが・・・。



 英国人女性作家J・K・ローリングのベストセラー児童小説を「ホーム・アローン」シリーズのクリス・コロンバス監督で映画化(確か映画化を希望したのも彼だったはず)。音楽は巨匠ジョン・ウィリアムズ!!作中のセットも凄いし、手を抜いたお子様向けの映画では決してない♪

 公開当時も、そして今夏再見しても思ったけど・・・この映画って「みにくいアヒルの子(→主人公は人間社会では虐げられているけど、実は魔法界では知らぬ人がいない程のメジャーな存在)」にファンタジーや神話の定番要素(=魔法、巨人、ゴブリン、ユニコーンケンタウロス)を合体させてこしらえたものだと実感した(人間界と魔法界の共存の仕方が少し「魔女の宅急便」の世界観に似てることも)。そこに“ハリー絡みの謎(何故ハリーの両親はヴォルデモートに殺されたのか?何故ハリーだけが殺されなかったのか?額の雷マークの傷は?)”も加えて、シリーズを通して少しずつそれが明らかにされていく。ローリングは最初から7部作の構想を考えてから執筆に入ったそうなので、ミステリー要素を加えた“引っ張り”の計算は上手い。ただね、文学者の間で原作シリーズの評価が著しく低いのは(→売れたことと出来はまた別の話)彼女が全てオリジナルで考えた世界観でないことゆえなのかもしれない。

 監督がコロンバスだけにアドベンチャーありの「幕の内弁当」的娯楽作品。魔法学校の様子なんか誰もが「こんな学校あったら面白いだろうな」と思うし。ハリウッド映画らしいダイナミックなカメラワークも随所に観られ、過不足なく原作をうまくまとめたな〜という一作。この1本だけでも、ハリーの謎の部分さえ無視すれば十分完結している(と個人的には思う)。


 
 世間の予想通り映画は大ヒット!その翌年、シリーズ第2作「ハリー・ポッターと秘密の部屋」が公開された。


 学校の夏休みの間、ハリーはダーズリー家へ帰省していた。そこへドビーと名乗る妖精“屋敷しもべ”が現れ、ハリーにホグワーツに戻ってはならないと警告する。ハリーがそれを拒否するとドビーはマグル(→非魔法使い。普通の人間)の家族の前で魔法を使いハリーの仕業に見せかける。ダーズリー夫妻に部屋に閉じこめられたハリーはロンが運転する<空飛ぶフォード・アングリア>で助け出された。新学期の教科書を買うために訪れた魔法使いが集う「ダイアゴン横丁」の書店で、ハリーはサイン会を行う超メジャー魔法使いで新学期からホグワーツに赴任するギルデロイ・ロックハート(=ケネス・ブラナー)と知り合う。
 魔法学校2年生の生活がスタート。ところが「ハロウィン」の日に、ホグワーツの管理人アーガス・フィルチの愛猫が石になってしまう。その後も親がマグルながら魔法使いとして生まれた生徒が石にされる事件が立て続けに起る。その為、城内の何処かにあるといわれる「秘密の部屋」が魔法学校創設者のひとりであるスリザリンの“継承者”の手で開かれたのではないか、という噂が城内に広まる。ハリー、ロン、ハーマイオニーは、ドラコがスリザリンの継承者ではないかと考え、他人の姿に変われる魔法薬「ポリジュース薬」を作って本人から真相を聞きだそうと計画するのだが・・・。


 
 原作が「1巻につき1年」で描かれているので、映画もリンクしてハリーも魔法学校2年生の12歳に成長。基本的にこのシリーズ、役者の交代がほぼないので、子役たちの成長をリアルに観られることも鑑賞の上の愉しみでのひとつ。ハリー(ダニエル・ラドクリフはキャスティング当時、リアル11歳)もまだ2作目ではお子様^^。ダーズリー一家は・・・相変わらず嫌な連中(笑)!

 監督は前作と同じくクリス・コロンバス。1作目とはまた異なるファンタジー要素(→妖精、マンドラゴラ、ドラゴン、フェニックス)も登場、アドベンチャーもグレードアップしてる。基本「1話完結」ながら“続き物”であるがゆえ、前作に出てきた内容もちょいちょい出てくるんで・・・ここからいきなり観ても意味プー。このシリーズはやはり1作目から観ないとアカンわ。

 今回はヴォルデモート云々が薄い分、ギルデロイ・ロックハートがいい味出してる❤「ハリ・ポタ」は原作の舞台がイギリスなので英国人俳優で占められているんだけど、名優ケネス・ブラナーがこのおちゃらけた先生役とは・・・よく引き受けたな(笑)。エンドロール後にあるオチがつくので2作目は最後まで観るように^^


 
 2作目もヒットし、順調にスタートした映画「ハリー・ポッター」シリーズだったが・・・思わぬ展開が待ち受けるのであったー。<以下、2回目に続く>