其の504:観たぞ!!「パシフィック・リム」

 今夏話題作の1本、「パシフィック・リム」を観ました。監督は「ヘルボーイ」シリーズ、「パンズ・ラビリンス」の“日本の特撮、マンガ、アニメおたく番長”ギレルモ・デル・トロ!個人的には試写会で3D眼鏡かけて観たの初めてだったので、ちょっと面白かった(加えて昼間なのに某メジャー芸能人が2人も来てた。・・・暇だったのか?)。いつもの様にまだ公開前なんで“ネタばれ”しないように書きます^^


 西暦2013年8月ー。太平洋・深海のクレバス(裂け目)から突如巨大生物が出現、サンフランシスコほか世界各地が次々と襲われた。通常兵器が効かない<カイジュウ(=もち日本語の“怪獣”)>と呼称された生物たちに対抗するため、環太平洋沿岸地域(→即ち“パシフィック・リム”)は団結して軍事組織を発足。2人のパイロットが神経を接続して可動するヒト型巨大ロボット<イェーガー(=ドイツ語で“狩人”の意)>を作り上げ、カイジュウに立ち向かう。当初は人類側が優勢だったものの、次から次へとパワーアップしては現れるカイジュウ達によって人類は次第に苦境に立たされるようになり、歳月は過ぎていった・・・。
 2025年ー5年前にアメリカ製イェーガー「ジプシー・デンジャー」でカイジュウ“ナイフヘッド”と戦ったものの、パートナーの兄を殺されたことから今はカイジュウ防衛の巨大壁の建設作業員になっていた元パイロット、ラリー・ベケット(=「コールド マウンテン」、「トゥモロー・ワールド」のチャーリー・ハナム)は、軍の司令官スタッカー・ペンテコスト(=「プロメテウス」のイドリス・エルバ)の要請により、再びパイロットに。「ジプシー・デンジャー」が保管されている香港の施設に移動した彼は、そこで訓練生のマコ・森(=「バベル」の菊地凛子)とパートナーを組んで戦うことになるのだが・・・人類滅亡の時はは刻一刻と近づいていた!!


 デル・トロ番長がタランティーノの如く、いろんなところからネタ持ってきて作り上げたSFアクション大作。それにしても<巨大ロボットVS怪獣>って・・・ほとんど発想が小中学生のレベル(笑:嬉しいけど)。エンドクレジットにスーパーされているように「アルゴ探検隊の大冒険」他で知られる特撮映画の第一人者、故レイ・ハリーハウゼンと「ゴジラ」シリーズの故・本多猪四郎監督に捧げられている。今作は一言でいえばーその2人の映画を最新技術を駆使して合体させた感じ、ってことになるかな?

 今作を絶賛している方が多いようですが・・・こちとら幼少時から全盛期のロボットアニメにマンガ、特撮映画(ちなみに筆者が最初に映画館で観たのは“昭和ゴジラ”シリーズの某作)を観て育った日本男子だからねぇ・・・いろいろと“元ネタ”が分かっちゃうわけで。カイジュウが街を闊歩するのは、言うまでもなく「ゴジラ」だし、微妙に設定とか構図に「エヴァ」入ってるし(→デル・トロはお話は知ってるけど観たことないそうだが)、“カイジュウ防御用の巨大な壁”って・・・「進撃の巨人」か(苦笑)!あとローランド・エメリッヒ監督作の要素も散見(特にエメ版「ゴジラ」と「インデペンデンス・デイ」)。その為、面白いことは面白いんだけどそれほど“目新しさ”がない・・・という惜しい結果に(涙)。デル・トロ本人は今作で一番影響を受けているのは押井守の「機動警察パトレイバー」だと語っているが(アニメにリアルな戦術面を取り入れた事への評価&意識)ーあんまりその辺は伝わってこなかったナ。

 巨費(製作費180億円!)をかけた分、ロボットとカイジュウの戦いは迫力あり(・・・にしても日本製イェーガー「コヨーテ・タンゴ」が冒頭のナレーション部分のみの登場はいかがなものか)!ただバトルシーンは基本<ナイトシーン>なんで、いまいちディティールが分かりにくいのも残念要素のひとつ。ロボットはそこそこデザインいいんだけど(野暮なこと書けばカイジュウ相手にヒト型である理由も大してないんだけどネ)、カイジュウのデザイン的なバリエーションがちょっと・・・。あと俳優陣も・・・いまいちメジャーな人が少ないのもな〜。知ってるの闇業者のトップ役のロン・パールマンとキクリン(菊地凛子の略)、芦田愛菜(キクリンが少女の時が愛菜ちゃん)ぐらいだもの。カイジュウおたくの博士役がオリエンタルラジオの藤森に似ているのには笑ったが^^。ロボットとカイジュウ&セットの製作費で役者たちのギャラが抑えられたのかもしれんな。

 
 上記・粗筋の前半部分(←割と細かく書いたけど、あそこはナレーション処理部分なのよ)をメインにすれば<大量のロボット軍団VSカイジュウ軍団の戦い>と<大都市の破壊シーン>がもっと観られたわけで・・・筆者的に“燃え度(今作の場合は萌えではない)”が少々足りなかったのは、そこら辺りに起因していると思った。筆者が小中学生だったら大絶賛していた筈だが・・・こちらの目が肥え過ぎたか、年食ったせいなのか(苦笑)、ホントにホントにもうちょいで大傑作になったのに・・・と思われてしょうがない一作でありました(もし続編作るなら今川泰宏辺りの日本人をスタッフに入れて欲しい)。&日本のお家芸をハリウッドに使われたのだから、日本人クリエイターも更に頑張らんと!!!



 <どうでもいい追記>多忙の中、引っ越しした自分へのご褒美としてアニメ「ベルサイユのばら MEMORIAL BOX」を購入。つい買ってすぐ最終3話を一気見してしまった。さすがの出崎統演出を堪能!出崎最高^^