其の490:これから公開する作品2本!

 今年は“試写会”に行く回数を意識的に増やしてるので・・・先日観た<これから公開する映画>2本を短く(&ネタばれさせずに)書きますワ♪


 1本目は「ヒッチコック」。サスペンスの巨匠アルフレッド・ヒッチコックと妻の姿を映画「サイコ」の製作時に絞って描いた「伝記もの」。アンソニー・ホプキンスが“特殊メイク”してヒッチを演じている。

 
 名声とは裏腹にアカデミー監督賞には縁のない“巨匠”アルフレッド・ヒッチコック(=アンソニー・ホプキンス)。そんなある日、実際に起きた事件を元に書かれた小説「サイコ」の製作を決意する。しかしテーマ的、内容的にも特異なものだったゆえスタジオの理解が得られず、予算の捻出のほか様々な困難に襲われる。加えて常に彼をサポートしてきた妻アルマ(=ヘレン・ミレン)との夫婦仲も、彼女が旧知の脚本家の仕事を手助けし始めたことから怪しくなってゆく・・・。

 
 スティーヴン・レベロのノンフィクション「アルフレッド・ヒッチコック&ザ・メイキング・オブ・サイコ」が原作。1980年に亡くなったヒッチだが・・・まさか、自分の映画が作られるとは夢にも思っていなかっただろう(監督はサーシャ・ガヴァシが担当)^^。アンソニー・パーキンス役にはジェームズ・ダーシージャネット・リー役をスカーレット・ヨハンソンヴェラ・マイルズジェシカ・ビールが演じている。

 筆者は“ヒッチコキアン”なので「サイコ」の裏話は結構知ってたから、まぁまぁ楽しめたけど<ヒッチコックの諸作品と人となり、そして取り上げられている「サイコ」自体は知ってるよね>・・・という“前提”で作られているので、最低でも「サイコ」を観ていないとついていけない。ある意味、<一見さんお断り>の作劇なのだ。

 細かい不満は多々あるんだけど・・・アンソニー・ホプキンスは特殊メイク&口調や歩き方も結構真似してるんで、そんなに違和感ないけど、ヘレン・ミレンのアルマ夫人は・・・全然似てない(←本人は小柄で丸顔なのよ)!ヘレン・ミレンは名女優だと思うが・・・皆、ある程度<そっくりさんショー>やってるから、そこは合わせないとね・・・。あと「サイコ」にも出演していた実の娘さんの存在が完全スルーされてるところもちょっと嫌。

 劇中、ヒッチが「サイコ」のモデルとなったエド・ゲイン(→彼は様々なホラーやサスペンス映画の題材になってる超有名殺人鬼)と度々、“脳内会話”するんだけど、そんな訳はないだろう(笑)。ヒッチの分裂症気味の性格を表現したかったゆえだと思うが、それをやるなら「めまい」とか「マーニー」の裏話も入れないとファン以外は分からないって。

 ヒッチファンは楽しめるけど、客を選ぶ作品・・・それが今作「ヒッチコック」です。ちなみに脚本家ジョー・ステファノ役でオリジナル版「ベスト・キッド」シリーズのラルフ・マッチオが1シーンながら出演していたのにはビックリした!ラルフが元気そうで良かったよ^^!


 偶然ながら2本目も高岡早紀が“特殊メイク”してヒロインを演じる映画「モンスター」を。シャーリーズ・セロン主演の実録犯罪ものの方じゃないのでご注意!


 瀬戸内海に面した小さな町にやってきた鈴原未帆(=高岡)。彼女は古いペンションを改築して造ったレストランのオーナーとなり、その美貌で一躍町の有名人となる。未帆の本当の名前は・・・田淵和子。醜い顔に生まれてきた彼女は幼少時代より周りの人たちや家族からも虐げられてきた。和子は学生時代にある事件を起こし、東京の親戚に養女として出されることを余儀なくされる。移り先の東京で彼女は<整形手術>に目覚める。工場や風俗で働いて整形費用を貯め・・・理想の身体を手に入れることが出来たのだ。正体を隠し、故郷へ舞い戻った彼女の・・・その目的とは!?


 「永遠の0」、「海賊とよばれた男」等で知られる百田尚樹の同名小説の映画化(大九明子監督)。余りの醜さゆえ、化け物扱いされたヒロイン(→だから「モンスター」ね)を描く衝撃作。デヴィッド・リンチの「エレファント・マン」みたいなお話ではありません。

 普通、このテの設定だと、ヒロインがかつて虐めた人たちに復讐していくのが“セオリー”だと思うが(生憎、筆者は原作未読なので、どこまで脚色したかは不明)・・・その要素もあるんだけど・・・すげー中途半端なの!美しくなって男たちを虜にしてノシ上がりたいのか?皆に復讐したいのか?かつて優しくしてくれた相手の愛を得たいのか?・・・劇中に入ってる要素がどれも中途半端に描かれるので・・・ヒロインの心情がイマイチ理解できん。脚色的にも編集的にも「?」の部分があり、申し訳ないけど、作劇としてハズしてると言わざるをえない。

 今作最大の“ウリ”は、やはり高岡早紀のおっぱい(笑:おっぱいは映画において“娯楽要素”のひとつであることは間違いなし)!2シーンほど出てくるけど、初めておっぱい見せた「忠臣蔵外伝 四谷怪談」の時より小ぶりになってた(美乳だけど)。彼女のファンの方は劇場に足を運んで、後半にさしかかるまでお待ちください(笑)。

 
 高岡がかつて虐めた奴らをひとりひとり血祭りに上げていく話だったら(昔、そんなアメリカ映画をテレ東の昼のロードショーで観たような・・・)いまの10倍は面白くなったのに!!ホントにホントに残念。・・・でも、そんな脚色したら原作者は怒るだろうな〜(苦笑)。