其の483:進化したインド映画「ロボット」

 先日、行定勲監督の新作「つやのよる」を試写会にて鑑賞。ひとりの女性(でも危篤状態)を巡る群像劇ですが・・・いや〜、久々に“大人の恋愛劇”を観ましたワ(特に感動はしなかったけど)。「人間ってホント面倒くさい生き物だな〜」と改めて実感はした(笑)。40も半ばになると、若者の青い青春ものを観ると、こっ恥ずかしいので、こういうアダルトな作品が日本でも増えることを願う次第。少子高齢化なんだから需要は絶対あるゾ!


 
 そんな中、去年見逃したインド映画「ロボット」をようやく観る(本国での公開は2010年だけど)。インド映画としては破格の37億円(本当?)を投じて製作されたSFコメディアクション!!主演は「ムトゥ 踊るマハラジャ」で一瞬、日本でも話題を呼んだ“スーパースター”ラジニカーント!!言うまでもなくタイトルバックに<スーパースター>と表記されます(笑)!


 
 バシー博士(=勿論、ラジニカーント)は10年の歳月をかけてヒト型ロボット“チッティ(=ラジニカーント先生2役)”を完成させた。人間を遥かに越える能力を備えたチッティだったが、命令に忠実すぎるのがアダとなり、人間の感情も理解するようプログラムし直される。その結果、チッティはひょんな事から博士の恋人:サナ(=アイシュワリヤー・ラーイ)に恋心を抱いてしまう!!サナはチッティの愛を拒絶し、更に怒った博士によって廃棄されてしまう。ところがバシーの恩師で、彼に敵意を抱く教授の手によって残虐なロボットとして復活!自らの望みを叶えるべく、博士とサナの結婚式に乱入、彼女を強奪する!こうして人類とロボットの戦いが開始されたー!!

 
 ・・・と粗筋を書くと「フランケンシュタイン」に始まる“生命を誕生させた神をも恐れぬ人類の所業”なんてハードな内容に思えましょうが→今作、基本、ギャグですから^^!!もう序盤から大量のベタなギャグ&合間合間にインド映画特有の“踊り”あり。ゲラゲラ笑って観られる大娯楽作ざんす。

 「インド映画のロボットって・・・チャチいんじゃない?」とお思いのそこの貴方!インドは数学教育は世界一にしてIT大国ですゾ。そんなことはありません・・・といいつつ、冒頭のロボットの造形からシュワちゃんの「ターミネーター」を思い出さずにはいられないが(特に後半、ワルになってからは“まんまパクってる”場面あり)それもその筈、本家「ターミネーター」造ったスタン・ウィンストン・スタジオ(現レガシー・エフェクツ)が特殊効果に参加してる!筆者の思い違いではなかった^^。まんざら“37億円の製作費”も宣伝会社がでっちあげた嘘じゃないかも(笑)。

 一番の見所は、なんといっても“アクション”!前半はチッティの身体能力を見せるための<肉弾戦(ラジニカーント御大も、もう結構な年なのにめちゃ動ける)>。一部、ブルース・リーも入ってるんだけど・・・なんと、スタントを担当したのは香港映画の監督にして、「マトリックス」や「キル・ビル」のアクション指導を務めたユエン・ウーピン(驚)!!・・・まんざら“37億円の製作費”も宣伝会社がでっちあげた嘘じゃなさそう(笑)。で、後半は同型の仲間を大量生産した<チッティ軍団(→ほとんど「マトリックス」のエージェント・スミス状態)>による大銃撃戦!彼らはクライマックスには“合体(→磁力で身体をくっけるという設定)”して“トランスフォーム”する(爆笑:是非自分の目で確認しておくれ)!!!こういうCGの使い方もあるんだね。「少林サッカー」の使い方を発展&さらにバカバカしくした感じ^^。邦画も時代劇の背景合成とか合戦シーンばかりじゃなくて、同じアジア人としてCGのさらなる使い方をもっと勉強した方がいいと思った。

 脚本・監督はシャンカール。これまでに「ジーンズ/世界は2人のために」(’98)やラジニカーント主演「ボス その男シヴァージ」(’07)を手掛けている。「ジーンズ〜」は日本公開当時、試写会で観たんだけど・・・ 主演の男女が世界中の名所・旧跡の前で踊りまくってた(笑:生憎、今回筆者が観たのはダンスシーン等をカット+短縮した日本公開版<ヒンディー語、139分>。程なく限定公開されたタミル語の「完全版」<177分>には空中都市マチュピチュや砂漠で踊るシーンがあるそうだ。名所・旧跡好きは変わってないネ)。シャンカールさんに会ったことないんで本人に確認していないが、名所・旧跡好きに加えて相当“ハリウッド映画好き”なのだと思う。あっちこっちから好きな映画を引用して気合い入れながら演出した感がビシビシ。これぞ最新のマサラ・ムービー!!インド映画の進化&深化の勉強になりました^^

 でもインドの監督や俳優さんたちってドラマもやった上で、踊りも是非もの・・・超大変そう(苦笑)!そうそう、今作の音楽はアカデミー受賞作「スラムドッグ$ミリオネア」(’08)や「127時間(’10)」と国内外で活躍するA.R.ラフマーン。ついついビジュアルだけに目が行きがちな今作だが、音楽にも耳を傾けて♪


 

 ・・・と「ロボット」について長々書いていたところ、大島渚監督死去のニュースが!!倒れて以来、いつか復活してくれると信じていたのだが・・・新年早々、残念な結果になってしまった。心よりご冥福をお祈り致します。