其の465:大スケールの完結編「ダークナイト ライジング」

 超話題作「ダークナイト ライジング」を観ました。クリストファー・ノーラン監督、共同脚本による“リアル・バットマン”3部作の完結編。“スーパーヒーロー集合大戦”の「アベンジャーズ」よりは“ダークヒーロー”に興味のある筆者として、そこそこ期待していったのですが・・・いや〜面白かったよ(それにしてもアメリカで起きた銃乱射事件はつくづく残念)!<上映中>につきネタバレしないように書いていきますが、これ前作、前々作とガッツリ<リンク>しているので(&ちょっとだけ原作の基本設定も)一見さんは御注意下さい。



 ジョーカー(=故ヒース・レジャー)らとの戦いから8年ー。ゴッサム・シティーは法改正の下で平和となり、「バットマン」ことブルース・ウェイン(=クリスチャン・ベール)は心身共にボロボロで、引きこもり生活を余儀なくされていた。そんなある日、ブルースは邸にあった亡母の形見である真珠のネックレスをセリーナ・カイル(=アン・ハサウェイ)に盗まれてしまう。丁度その頃、街の下水道口で孤児院出身の青年の死体が発見される。地下の捜査を開始したゴードン市警本部長(=ゲイリー・オールドマン)の前に、口にマスクを着けた怪人・べイン(=トム・ハーディー)一味が出現する。彼はゴッサム・シティーに対して恐るべきテロ計画を企てていた!果たして、バットマンは復活するのか!?


 筆者も驚愕、続編を熱望した「ダークナイト」(’08)から早4年。今作「ダークナイト ライジング」も凄かった!!上映時間165分とガイナ〜(注:業界用語。「長い」の意^^)だが、一瞬もダレることなく見せきる!!正直、最初の「バットマン ビギンズ」(’05)は、シカゴだかニューヨークだかで撮った街の実景を「ゴッサム・シティーでござい」と見せる手法や、敵のスケアクロウは顔にボロ布かぶっただけだし(苦笑)、主人公の要求に応じてモーガン・フリーマンが「あるよ♪」と次から次へとうまい兵器を出してくる<ご都合主義>にもあきれたものだが、そんな“アメコミから逸脱した実存主義”が前作では多大な効果を上げていた。ノーラン曰く「エンディングは、最初に考えた」そうだから、ある程度<3本1パッケージ>で原作の様々なエピソードからネタを拾いつつ、ストーリー&設定を練り上げていったのだろう。

 今回の敵は“べイン”。顔に呼吸用マスクを装着した怪力の大男!こいつが原作同様、バットマンをばきばきにシバきあげる&ジョーカーを越えるテロ行為を連発。「予告」にもあったラグビー場の大破壊シーンはド迫力!!邦画の予算じゃ、まずできない映像ですわ。ジョエル・シューマーカー監督の失敗作「バットマン&ロビン/Mr.フリーズの逆襲」(’97)ではチョイ役&完全木偶の坊キャラだったが(→今作でべインをオファーされたトム・ハーディーはこれ観ていて「あんなキャラだと、ちょっと・・・」と当初、出演をためらったそうな^^)今回は憎いほどの強さを見せつけてくれます。

 対してセリーナ・カイルは・・・「怪人」、ではなくって単なる「泥棒」(苦笑)。きちんとコスプレしてるし、原作での立ち位置は完全に<キャットウーマン>なんだけど、劇中でそんな名称で呼ばれることもなし。ストーリー上では、ちゃんと<機能>してキャラは立ってるんだけど・・・キャットウーマンファンには賛否両論あるかもしれない。

 上記以上のあらすじは<ネタバレ>になるんで書けないのが本当に辛いのだが・・・<作劇>としての出来は、やはり前作の方が少々上かな。●●●が出てきた時に「ははぁ〜、これがクライマックスに絡んでくるんだろうな〜」と思ったら、やっぱりそうなったし(笑)、<オチ>も予想がついてしまった(すまんね、ノーラン^^)。でもね、これは“完結編”と考えると、“まとめ”なきゃいけないので、ああならざるをえないだろう。致し方なし。その分、<映像>は前作よりも凄いシーンがバンバン出てくるので(クライマックスのバトルの群衆もCGじゃなくて全部本物)飽きることなくハラハラドキドキすること請け合い。

 <出演者>も3部作完走したクリスチャン・ベールゲイリー・オールドマンのほか、名優マイケル・ケインアン・ハサウェイ、「(500)日のサマー」で好演してたジョゼフ・ゴードン=レヴィット(ジョン・ブレイク警官役)、「フルメタル・ジャケット」のマシュー・モディーン(懐)に“あの人(ネタバレするんで書けないけど)”も出てきてグー^^!ゲイリー・オールドマンには、たまには「レオン」の時のようなキレた演技も見せて欲しいけど、このシリーズでは・・・仕方ないか(苦笑)。


 クオリティーのめちゃ高いシリーズだったんで、これで終わってしまうのはちょっと寂しいし残念だけど・・・いい終わり方をしたと思うので、後に変な形で再起動しないことだけを祈る(笑)!「アベンジャーズ」方式で「スーパーマンVSバットマン」なら観たいけど(笑)。


 
 <蛇足>こういう満足度の高い作品にお金を払うのは全然いいんだけど・・・マーケットの規模が全然違うことは百も承知ながら、やっぱり邦画と洋画の料金が一緒(しかも日本の映画料金は世界一高いことで有名)というのは・・・どうもねぇ。ぶっちゃけ邦画バブルの間は少々安くしてもいいんでないかい?!