其の416:話題作「ブラック・スワン」を観る

 震災以来、ひっさびさに映画館で公開中の話題作「ブラック・スワン」を観る。なんせ、ここ何週間は超ハードで、休日も疲労が抜けず・・・とても映画館に出かける程のパワーはなかった。「気力」、「体力」そして「時間(=“暇”ともいふ)」がないと映画館にはとても行けない(苦笑)!・・・にしても主演のナタリー・ポートマンはデビュー作の「レオン」からリアルタイムで観てるけど、いつの間にかアミダラ女王になって、今作でオスカー獲得して、今夏には出産って・・・(絶句)!・・・筆者も年とるわけだ(とほほ)。

 
 ニューヨーク・シティ・バレエ団のバレリーナ、ニナ(→ナタリー・ポートマン)は、真面目で踊りの技術は完璧な優等生。そんなある日、芸術監督のルロイ(→ヴァンサン・カッセル)は、花形のベス(→ウィノナ・ライダー!)に替わって、新プリマを発掘&新解釈で「白鳥の湖」の公演を行うことを発表。オーディションの結果、ニナが見事、次の主役に選ばれた。ところがルロイから気品あふれる女王オデット(=白鳥)を演ずるには問題ないが、邪悪で官能的なオディール(=黒鳥)には表現力が足りないと指摘され、日々模索する彼女は次第に狂気に蝕まれてゆく・・・!!
 
 上記ではあらすじをシリアスに書いたけど、簡単に言えばナタリーが大役のプレッシャーで勝手に自爆する話(笑)。それを「レクイエム・フォー・ドリーム」、「レスラー」の監督ダーレン・アロノフスキーが得意の“びっくり、どっきり演出のつるべうち”で殺人鬼とかは出てこない<心理スリラー>に仕上げてる。一部では故・今敏監督の「PERFECT BLUE」と構造の類似点が指摘されているが(→実際、ダーレンくんは「PERFECT〜」のリメイク権を買うてるそうで、確かに「芸能界」を「バレエ団」に置き換えると話はくりそつ・・・)、そこは“大人”になってナタリー・ポートマンの熱演で全て許そうではないか(ダメ?)^^

 今作は“完全ヒロイン目線”で描かれているため、ナタリー・ポートマンは全編出ずっぱり!プリマ役を演じるため、13歳までバレエ経験があった彼女をしても撮影開始の1年前(驚)から1日5時間のトレーニングをこなしたそうだ(更に撮影に入ると1日15、6時間のバレエ漬け)。直接裸になったりはしないが、レズに●●●●シーンまでありの体当たり演技(←ネタばれになるんで伏字。R指定はこの為か?)を披露!彼女のファンはぶっとぶかもね(笑)。アカデミー主演女優賞も納得の迫力でやんした。

 ただね、ダーレンくんは大真面目にヒロインの狂気の過程を演出しているけど・・・いくら厳しい演出家にステージママやライバルの存在があったとしても、ちょっと主人公、仕事のプレッシャーに弱すぎるだろ!!円型脱毛や不眠症、ゲロを吐くとかなら誰にでもありそうだが・・・ドラッグやってもいないのにしょっ中、幻覚(ドッペルゲンガー含む)とか見過ぎ。周りのお客は黙って観てたけど、筆者はオーバー過ぎて、時々くすくす笑ってしまった(オチもああなるしかないというか・・・途中で読めたしね)^^。加えて「万引き事件」以後のウィノナ・ライダーの凋落ぶりにはちょっとショックだったが(→「シザーハンズ」の彼女は何処へ)ナタリー・ポートマンの熱演&怪演はマジで一見の価値あり!!「気力」「体力」そして「暇」のある方は、是非劇場へ足をお運び下さい^^。・・・って、筆者は今作の興行になんら係っていないけどね(笑)。


 
 <どうでもいい追記>ここしばらく、本は推理小説(それも新本格オンリー)、DVDは何本も同時並行で観ているのだが(忙しいのよ)・・・次回は何にしましょうかね。久々にジャーロにでもしようかな?「デモンズ・キラー/美人モデル猟奇連続殺人」とか(マニアック過ぎて誰もついてこれないって:苦笑)。