其の392:傑作リメイク!「十三人の刺客」

 またまた間があいてしまいました(メンゴ)。次回は・・・空けないようにしたいなぁ(希望)。

 
 本題。筆者は映画に対してあくまで「オリジナル派」!名もなき作品ならいざ知らず過去の名作・傑作をリメイクすることに対しては非常に懐疑的なのだが「十三人の刺客」リメイク版は面白かったぁ^^!基本オリジナルを踏襲しつつも、遥かにパワーアップした内容で大満足。未だ公開中なので、書ける範囲で書こうと思いマス。ちなみに筆者が券貰って、ただで観たことは全く関係ありまへん(笑:誰もしらんちゅーの)。


 ストーリーは以前ここで書いた内容とほぼ同じなので割愛しますが、いくつか大きな変更点がある。

 1:極悪なバカ殿(⇒オリジナルでは菅貫太郎)を演じたのは稲垣吾郎だが、凶悪度が更にパワーアップ(でもファーストシーンは小便してるとこ:爆笑)!中でも老中(平幹二朗)が島田新左衛門(役所広司)に暗殺を依頼する場面では、殿によって手足&舌まで抜かれた女性(元ネタは「バイオレンスジャック」の人犬か?)が登場(演じるのはニナガワスタジオ出身、茂手木桜子嬢)、「ラーメンマン」の如く血の涙を流して無念を訴える場面は・・・驚愕&圧巻!「絶対にバカ殿だけは殺さねばならない!!」と観客も同意すること必至の名場面だ。稲垣吾郎ちゃん、凄かったよ!よくぞ、ここまで演った!えらいっ!!

 2:前作では暗殺者一行が河原で一度は急襲しようとするも思いとどまり、落合宿で待ち構えることにするのだが、その河原の下りは今作ではなし。

 そして語り草の「ラスト30分、13人対53人」の大戦闘シーンは、今作では2時間21分の上映時間に対して「長さ50分、13人対300人の戦い」に大幅アップ!!落合宿の要塞化は更に進み、橋の爆破や店の倒壊シーンに加え、丸太落としや上からの槍攻撃を止めた代わりに<人体炎上シーン>に<火をつけた牛の暴走シーン>まで登場!圧倒的多数の敵を序盤バッタバッタと倒すのだが・・・この牛たち、マツケン主演作「カムイ外伝」の魚並にCG、CGしてたのがちと残念(苦笑)。
 勿論、尺&敵の数を増量した分、殺陣の場面は壮絶(血糊&死体も比例して増量)!いくら真剣でないとはいえ、あくまでもリアリティーを追及したため、本当に<人を斬る間合い>での振付を行ったという。前作では剣の達人(西村晃)が刀を失った途端、慌てふためくリアルな場面もあったが、今回の達人(伊原剛志)は、刀を失ったあと石を使って相手を殴り殺すシーンとなっている(これもリアルだよね)。勿論、言うまでもなく今回は首チョンパもあり!この辺りはさすがバイオレントな作風で知られる<脚本>天願大介(→今村昌平のご子息)&<監督>三池崇史コンビだ^^。
 3:前作で<十三人目の刺客となる落合宿の男>を演じたのは故・山城新伍。今作では伊勢谷友介が担当(三池作品には「スキヤキウエスタン ジャンゴ」に出演)。設定も<途中で暗殺者たちの道案内をする山の民>に変更されており、ストーリー的にも前作より違和感なくメンバー入りするようになったのも良かった。ただ、この役、巨根&絶倫という設定で(「トリック」の阿部ちゃん状態)、落合宿の庄屋役の岸部一徳を●●●から●●場面は、三池特有の下ネタギャグ(脚本にないのに現場で加えたそうな)^^。筆者がいった劇場には、結構お客さんいたのに笑っていたのは筆者だけっていうのも・・・どうなの!?笑わないと三池監督に悪いぜ!

 4:前作ではリーダーを片岡千恵蔵御大が務めた分、雑魚は部下に戦わせて、御大自ら動くのは最後の最後なのだが、今作のリーダー・役所広司は冒頭から参戦!多勢に無勢な状況下で斬って斬って斬りまくる!!この辺りの改変も現代風だろう。口ばかりで実力の伴わない人の下には誰もついてこないからねぇ(笑)。勿論、敵の参謀:鬼頭半兵衛(⇒扮するのは時代劇初出演の市村正親)との一騎打ちも見どころのひとつ。果たして見事、バカ殿を倒すことはできるのか?生き残るのは誰か、も「脱走もの」同様、予想しながら観るのも楽しいと思う(展開上、超意外な人物も生き残りマス。「そんなバカな!」と賛否両論あるだろうが、これも三池的^^)。

 ・・・とまぁ、大きな変更点をズラズラ書きましたが、基本的にはオリジナルをリスペクトしているし(前作と同じ場所でロケしたりもしている)、脚本書いた故・池宮彰一郎先生(⇒晩年の「映画ベスト10」に自作ながら今作を選んでいるから、相当気に入っていたのだろう)も故・工藤栄一監督も生きていらっしゃったら大枠的にはOK頂けるのではなかろうか。

 
 これから年末にかけて「雷桜」、「桜田門外の変」、「最後の忠臣蔵」、「武士の家計簿」と相次いで時代劇が公開されますが、果たして出来は・・・どうなのかしらん?!