其の361:少年たちよ、初期の恐いゴジラを観ろ!!

 明けましておめでとう御座います。新年早々、身内に不幸がありまして・・・大変な2010年の幕開けになってしまいました。
 それはさておき、年が明けて最初に観た映画(もちDVDで)は「女王蜂」でした。新年早々、連続殺人(笑)。「これはいかん」と思いリメイク版「ピンクパンサー2」で初笑いは済ませたが・・・やっぱりクルーゾー警部ピーター・セラーズだよなぁ・・・と思ってしまった(=オリジナル版世代)。で、さらに続けた観たのが「キングコング対ゴジラ」!どうやら筆者の個人的リサーチによれば、いまの幼児&少年たちは「仮面ライダー」や「ウルトラマン」は知ってるもののゴジラを知らない(映画もいまのところ完結したし)!!日本の少年たちが世界に誇る怪獣王ゴジラを知らんとは・・・嗚呼、嘆かわしい!筆者は「昭和ゴジラ」シリーズ後半の<いいもんゴジラ>より、初期の<わるもんゴジラ>が好きなクチ♪中でもこの「キンゴジ」は「東宝創立30周年記念」として製作された大娯楽作!公開当時1255万人もの動員を記録したウルトラ大ヒット作としても知られている^^。


 テレビ局に勤める桜井(「イェ〜」を言う以前の高島忠夫)と古江(「Gメン’75」でも御馴染みの藤木悠)は担当する番組の視聴率が悪いため、スポンサーになっている製薬会社の宣伝部長(有島一郎!)から<ある使命>を言い渡される。それは南太平洋上にあるファロ島の「巨大なる魔神」を探すことだった!視聴率アップのため島へと向かう一行。ようやく島に辿り着いた彼らの前に現れたのは巨大な猿・キングコングだった!!桜井たちはコングが麻酔薬で寝ている間に日本に移送することにする。丁度、その頃北極海の氷の中にいたゴジラが復活、日本へと移動を開始する。こうしてゴジラキングコングは日本にて激しいバトルを展開することになるー!果たして勝つのはゴジラか、はたまたコングか?!
 ・・・それにしても昔からTVマンってろくなもんじゃないねぇ(苦笑)。


 ここで基本的なおさらい!記念すべき第1作「ゴジラ」が公開されたのは昭和29(1954)年11月。この大ヒットを受けて急遽、翌昭和30(1955)年のGWに続編「ゴジラの逆襲」が公開された。この「ゴジ逆」にてゴジラアンギラスと対決。後の対決フォーマットの先駆けとなる。そして今作、シリーズ第3作となる「キングコング対ゴジラ」が公開されたのは・・・なんと昭和37(1962)年8月!実に7年も間がある!!
 ・・・といってこの間、東宝特撮が何もしていなかったわけではない。かの「地球防衛軍」や「宇宙大戦争」、「妖星ゴラス」ほかのSFや「空の大怪獣ラドン」、「大怪獣バラン」そして「モスラ」等、ゴジラ以外の怪獣映画を製作していたのだ(この期間に映画もカラー化)。若い人たちモスララドンが<ゴジラシリーズ中の怪獣>と思いがちだが、元々はピンで主役張ってたことを覚えておいてね。

 一方の「キング・コング」はアメリカで製作された怪獣映画(=人形コマ撮り)の主人公であることは今更いうまでもないだろう。ジョン・ギラーミンの改悪リメイク版は忘れるように(笑)!そんなゴジラ以前の怪獣スター、キングコングアメリカでも公開された国産怪獣ゴジラが対決するー!!当時はプロレスブームで「ルー・テーズ力道山」なんてカードも組まれていたので、その<プロレス興行方式>にのっとったのが今作「キンゴジ」なんだって。今作がなければ後年の「座頭市対用心棒」や「フレディVSジェイソン」、「エイリアンVSプレデター」も作られなかったかもしれない。なんでもかんでも人気キャラを戦わせればいいってもんじゃないけどさ(笑)。映画業界からみれば、両方のファンをも取りこめる<美味しい方式>だろう(苦笑)。

 製作にあたって第1作目のオリジナル・スタッフが再集結!監督・本多猪四郎特技監督円谷英二に音楽は伊福部昭大先生じゃないとやっぱアカン(=「ゴジ逆」では本多と伊福部先生が外れてた)。特に円谷英二はオリジナル版「コング」に衝撃を受けたひとりで、そのコングを演出できることに燃えに燃えたであろうことは想像に難くない。但し、米・RKO社から「顔の造形を原点と変えるように」という要求があったため、まんまではなく日本猿風にアレンジされている。顔といい仕草といい、なんともそれがユニークでいい!「エネゴリくん」のように胸板でウホウホするし(笑)。ゴジラの造形は毎回微妙に変化していることはファンには有名な話だが、今回も前2作とはまたまた変更されてマス(気ぐるみの動きやすさ&初のカラーも意識したのかもしれない)。

 コング映画の<お約束>といえば①運ばれる前、他の怪物と戦う②美女を手につかむ③高い所に昇るーの3つが挙げられるが「キンゴジ」でも、そのお約束を踏襲!登場してすぐに巨大タコを退治(=三浦半島の漁港に畳2枚分のセットを組んで、本物使って撮影&合成)。手につかまれる美女は浜美枝(→後の「ボンドガール」!今作には若林映子も出てるぞ)で、コングは浜美枝をつかんだまま国会議事堂に昇る、と(エンパイアステートビルより大分低いが)^^。

 放射能を吐くゴジラに武器のないキング・コングが如何にして立ちむかうかは本編を観て欲しいので詳細は避けるが、最後は2頭が熱海で大暴れ!中でも<熱海城のミニチュアセット>は撮影用大プールのオープンだけでなく、スタジオにも組まれ(すげーリアル)完全にぶっ壊されるのが見所^^!熱海には有名な秘宝館もあるが、それがどうなったのかは定かではない(笑)。

 
 完成した映画は先述の通り、未曾有の大ヒットを記録(勿論、第1作を越えているわけではない)!2年後の昭和39(1964)年の4月に「モスラ対ゴジラ」が公開。これが昭和ゴジラ最後の<わるもん>の姿となった。同年12月公開の「三大怪獣 地球最大の決戦」において新怪獣にしてめっちゃ強いキングギドラを倒すため、モスラゴジララドンを説得(苦笑)、3頭協力してギドラと戦う。これよりゴジラは<善玉怪獣>として、様々な敵とバトル!子供たちのヒーローとなったため初期の猛々しさは薄れた上、展開も次第にマンネリ化。「怪獣プロレス」と揶揄されるようになって終焉を迎えることになるのである・・・。


 ・・・なんかタイトルに反して新年早々、何故か悲しくなってきたわ(苦笑)。
昭和生まれの少年たちの夢の企画「ゴジラガメラ」が作られるのは、果たしていつの日か(でも多分、ない)!?