其の354:恐怖の編集前素材「REC/レック」

 暇があるうちに更新しておきます!
 日本ではごく一部の作家の作品以外、あんまり入ってこない「スペイン映画」ですが、あちらではサスペンスものが盛んに作られているようです(筆者私見)。そんな中、製作された映画「REC/レック」(’07)は「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」シリーズや「クローバーフィールド/HAKAISHA」の流れを汲むPOV(=ポイント・オブ・ビュー:主観カメラの映像)パニック・ホラーもの(→その大元のルーツは「食人族」ぐらいからきてるとは思うのだが)。近日、続編「REC レック2」も公開されますが、いや〜、これは面白かった!ハリウッドで「REC レック/ザ・クアランティン」(’08)のタイトルでリメイクもされてます。同名邦題の韓国映画もあるので(ややこしいわ)、くれぐれもお間違えなく!!尺も77分とサクッと観られて良いよ^^。


 ローカルTV局の女性レポーター・アンヘラ(マニュエラ・ヴェラスコ)は、番組の企画で消防団に密着取材。何事もなく夜も更けてゆくと思われたが、そんな時あるアパートへ出動要請が。既に到着していた警官たちと部屋に向かうと、そこにいたのは血まみれの老婆。すると、その老婆が突如警官に噛み付いた!負傷した警官を外に搬出しようとすると、いつの間にかアパートは外から封鎖されていた!一体、何故!?アンヘラやアパートの住人たち、警官に消防士らは外部との連絡も絶たれ、わけもわからぬまま外への脱出を計るが、そこには想定外の恐怖が待ち受けていた!嗚呼、これ以上はネタばれになるので書けない!!!


 「REC」とは説明するまでもなく「録画」の意。タイトルで書いたように、映画は一夜の恐怖を<テレビクルーの手持ちカメラで撮影したドキュメント映像>ーという設定。よって編集してしまえば絶対に放送では流れることのない「レポーターのNG部分」とか、「カメラマンとの打ち合わせ」とかの様子まで見せる形となっているので同業者(筆者)としては、より入り込みやすかった^^。臨場感もたっぷりだし♪


 監督はジャウマ・バラゲロとパコ・プラサのお2人。ジャウマさんは「ダークネス」や「機械じかけの小児病棟」などで知られ<スパニッシュ・ホラーの旗手>と呼ばれているそうだ(生憎筆者未見)。2人はリアリティーを重視して(1)大して知名度がなくて(2)即興芝居の出来る俳優をキャスティングしたという。


 脚本はごくごく一部のスタッフにしか配布されず、俳優たちは毎日、現場でその日撮影する部分のみ書かれたものを渡されたそうだ。これは一昔前の香港映画や北野武の現場と一緒(笑)。こうしてキャストは<その後の展開や結末>を知らずに、時には20分にも及ぶ長回しを即興で演技し続けた。それが功を奏して俳優たちから迫真の演技を引き出すことに成功している(→終盤の女性レポーターなんて、恐怖のあまり顔が完全にひきつっているもの:笑)。リアリティーを出す場合、監督は撮影前からその方法を考えないといけないという好例。ジャウマ・バラゲロとパコ・プラサ、この2人は今後要チェックだろう。続編にも2人は絡んでいるけど・・・「ソウ」みたいに延々シリーズ化(近作はなんと「6」だぜ!)しないで欲しいなぁ。


 但し、これは邦画でもよくあることだけど・・・本編の人がTVマンを描くと何故かいつも変!取材対象を取り囲む報道陣は微妙にマイクの持ち方がおかしいし、ワイプとか画面効果をつけることの出来ない簡易編集機なのに、それを使って恐ろしく加工されたVTRを作る編集マンとかよく出てくる(爆笑)。そのあたりのリサーチ不足がいつも不満なのだが、今作もすご〜くリアルに考えればレポーターとカメラマン(→声だけで姿は見せず)の2人だけで取材というのは変だし(→スペインのローカル局は人員削減してるのかもしれんが)、途中で収録テープもバッテリーチェンジもしない(苦笑)。加えて、機材はどうやら<高感度カメラ>を使用しているようだが(→照明なしでも写せる機能付)何故、最初は照明をあてていたのか不明だ(爆笑)。まぁ、一般の人はそんな細かいこと気にしないだろうけど(苦笑)。


 かのヒッチコックも名作「鳥」では敢えて劇伴(音楽)をつけなかったが、今作も現実音のみの構成でベタな音楽なし!それが非常に現実的且つリアルでより一層の恐怖を醸し出している。ちなみに筆者は観賞中、2回ぐらいは「おお〜っ!」と驚いてるから(一緒に観ていた妻はビビってた)怖いものが苦手な人や心臓の弱い方は、くれぐれも気をつけておくんなまし(←それを最初に書けって!?)^^




 <どうでもいい追記>2009年も残り2ヶ月をきりましたが・・・あと何本、劇場に足を運ぶ暇があるかなぁ?いつもより極端に観賞本数が減りそう・・・(涙)。絶対に「イングロリアス・バスターズ」と「2012」ぐらいは年内に観るぞ!なんで底抜け超大作のにおいプンプンの「2012」を観るのかって?それはね、筆者は<ノストラダムスの予言世代>だから(五島勉先生はいま何処)、地球滅亡ものが大好きなんだよ〜ん(同意は求めません)^^