其の346:GO!GO!お気楽スパイ「サイレンサー/沈黙部隊」

 ハードな日々ゆえ更新期間が空いてしまいました(汗)。先日、「20世紀少年<最終章> ぼくらの旗」を観たんですけど・・・漫画同様、イマイチなオチでした(苦笑)。漫画以上のことは何もないシリーズだとは思っていましたが(未来都市はほとんど「ブレードランナー」)本当にそれで終わっちゃいました。最後なんで作劇も急速にまとめた感ありありだし。これなら巨費をかけて、無理矢理似た人キャスティングするより連続TVアニメでじっくりやった方が良かった気も・・・。暇とお金のある方はどうぞ!


 冒頭でも書いたように人間、多忙を極めると「癒し」が欲しくなる!そんな方にマカロニウエスタンに続いて御薦めなのが<エセ007映画>(笑)!!本家「007」の二番煎じ三番煎じ数あれど、緊張感0の超お気楽スパイ映画が「サイレンサー」シリーズ!!当時のスパイ映画に必要な要素といえばお色気、秘密兵器、アクション、世界征服が欠かせないが(笑)故ジェームズ・コバーン(「大脱走」、「戦争のはらわた」)が主演した「電撃フリント」シリーズ(といっても2本しかないけど)等も人気が高いものの、今観るとめちゃユルユル(笑)。その点、「サイレンサー」シリーズの方が同じ要素を網羅しつつも「フリント」よりもうちょいタイトな作りだぞ。さらに1作目にはサム・ペキンパーファンなら感涙必至の女優ステラ・スティーヴンスが出演!筆者がこちらに軍配を上げるのも当然だろう。


 1作目にして最高傑作といわれるのが1966年公開の「サイレンサー/沈黙部隊」。アメリカの諜報機関を引退し、カメラマンとして悠々自適の生活をおくっている美女とアルコールに目のない伊達男マット・ヘルム(=演じるのはジェリー・ルイスとの「底抜け」シリーズで御馴染みの俳優&歌手ディーン・マーティン)が原爆実験によって第3次世界大戦を目論む悪の組織(笑)の野望を打ち砕くべく、旅先で知り合ったドジなお色気美女(これがステラよん)と共に活躍する、というもの。まぁ、一昔前によく観たパターンざんす^^「部隊」といっても大してメンバーいないし(爆笑)。

 参考までに書いておくと本シリーズは「サイレンサー 第2弾 殺人部隊」(”66)「サイレンサー 第3弾 待伏部隊」(’67)、「サイレンサー 第4弾 破壊部隊」(’68)の計4本です。


 主演がディーン・マーティンなので歌唱シーンもふんだんにあるし(=音楽はラロ・シフリンエルマー・バーンスタイン御大も参加していて何気にお洒落)当然、銃撃戦やカー・チェイスほかのアクションも(注:予算的な面からして物凄いアクションは期待せぬように。敵のアジトのセットもチャチいし)。何故かシリーズ最終作「破壊部隊」のアクション指導にはブルース・リー大先生の名前が・・・(名義貸しか、はたまたバイトか!?)!勿論、主人公も本気で世界を守ろうなんて思っていないから(→元の所属先から頼まれて嫌々引き受ける)全体的に穏やかなムードが漂っていて癒されます(笑)。


 本家「007」に唯一勝る要素といえば(これは他の「エセ007」でも同じ傾向にあるが)「ボンドガール」に対抗して、「お色気要員(でも脱ぎなし)」もとい<出演女優陣>の数は多いぞ!多少なりともシリーズ通してメジャーどころを挙げるとアン・マーグレット、センタ・バーガーやビヴァリー・アダムス、ステラ・スティーヴンス、エルケ・ソマーに、あのシャロン・テートなどなど。あとは・・・無名のねーちゃんがちょこっと出るだけ(笑)。


 ステラ・スティーヴンスは先述したようにペキンパー監督作「砂漠の流れ者/ケーブル・ホーグのバラード」で<心優しき娼婦>という一世一代の演技を披露した・・・これまた山ほど現れたマリリン・モンローの二番煎じのパツキンお色気女優。「ポセイドン・アドベンチャー」で、下着の上に男もののYシャツ1枚で逃げ回ってた女の人ーと書いた方が分かる人が多いかも。唯一出演した「沈黙部隊」ではマットに二重スパイの嫌疑をかけられ、大雨のなか途中脱走を企てるものの、滑って転んでの泥だらけ状態でマットの元に戻ってくるお色気&ギャグ要員を兼務。体張って頑張っているので、彼女の出演シーンは温かい目で見守ってあげましょう(笑)。


 
 悠々自適の生活を送り(→マットもフリントも立派な家に住んでいるが・・・命はる分、スパイ稼業は給料良かったのかも)美女にモテモテで、いざとなれば悪い奴らをやっつける独身男(チョンガー)は、当時の青少年たちの理想の<大人の男像>だったようだが(大森一樹監督も「007」に憧れてた口らしい)・・・筆者からみて21世紀の現代でも十分羨ましい存在だわ!!


 <どうでもいい追記>①先日、ごく一部で有名な某映画配給プロデューサーと知り合いに。またまた怪しげながら超面白そうな洋画(笑:具体的に書けないのがつらいわ)を劇場にかけるべく鋭意努力中とのこと。早く観たい!
②短時間ながら「狂い咲きサンダーロード」で知られる石井聰亙監督にインタビューする機会が。コアな話ばかりしたので周りの人々が誰もついてこれなかった(爆笑)!