其の338:夜中に一人で観ろ「ゾンビ・ストリッパーズ」

 近年、ホラー映画ー素直に書けば「ゾンビ映画」が80年代を彷彿させる勢いを誇っていて嬉しい限りだが(=筆者はロメロの本家ゾンビをリアルタイムで体感した世代)、そんな中またまた新たな「ゾンビ」が誕生した!!その名も「ゾンビ・ストリッパーズ」!「ゾンビ」ミーツ「ストリップ」(爆笑)!!映画から人生を学ぶような真面目な人には御薦めしません。お疲れの男性が夜中にひとりで観て、くすくす笑うB級映画(基本的にコメディ)・・・そんな内容^^「エルム街の悪夢」のフレディで一世を風靡したロバート・イングランドも出てるぞ。


 近未来。ブッシュ政権が四期目に入り(→現状では法律で最高二期までだからブラックジョークですな)アメリカは中東はおろか世界のあちこちに派兵して武力衝突を繰り返している時代。慢性的な兵士不足を解消するため政府が極秘に研究させたのが、特殊なウィルスによって死者を甦らせ兵士にする「ゾンビ兵士化計画」!ところがそのウィルスが研究所内に蔓延、大量のゾンビが所内に誕生する。そこで特殊部隊が制圧に乗り出したものの、兵士のひとりがゾンビに咬まれてしまう!「バレたら俺も射殺される!」ということで逃げた先が場末の無許可ストリップ小屋だった・・・。こうして後はタイトル通り、ゾンビ化した兵士がストリッパーをゾンビにして、大変なことになってゆくわけ(笑)。

 この程度なら「なんとなく考え付きそうなアイデアじゃん」と思うでしょ?その昔、イタリア映画でも「荒野のドラゴン」という「マカロニウエスタン」+「カンフー」というジャンル合体映画があったし(笑:本当)。ところが、この映画の凄いのは一風変わった「ゾンビ描写」!なんとゾンビになったストリッパーは普通に会話できるし、パワーは人間以上だし、おまけに<踊りのテク>が格段に向上!エロい上にポールを超高速で回転!!それに男性客が熱狂&殺到、人気のショーになってゆく(どんなんやねん:笑)。で、その人気に嫉妬したライバルの踊り子が自らゾンビ化志願したりする・・・自ら進んでゾンビになっていく人を映画で初めて観たわ!ゾンビが店にいるのに平然と出勤して仕事してる店の人たち(正気か?)−と、みんなちょっとズレているのも面白い。

 監督・脚本・撮影・編集を手掛けたジェイ・リーによれば製作者たち(プロデューサーやってる自分の妹含む)と「最初は冗談で言ってたんだ」そうで(そりゃそうだろ)。その後、「映画になる」と踏んだそうだ。日本の「ヅラ刑事」や「日本以外全部沈没」のように居酒屋で飲んでて出た発想に近い(苦笑)。登場人物のキャラ設定には某戯曲からヒントを得たそうだが・・・ホントかよ!?なんとなく「バカ」と思われない為に「後付け」してる気が・・・(う〜ん)。まぁ、普通に考えれば最高学府出ている人間の発想ではない(笑)。

 言うまでもなく低予算だけど(=「研究所」と「ストリップ小屋」ぐらいしか出てこないんで同じ建物内にセットを組んだ)ゾンビのメイクや食われる瞬間のゴアシーンはリアルに作りこんであって見応えあり(=裸と人体破壊描写のおかげで、映画は成人指定っす)!特殊部隊のゾンビ掃討場面(機関銃乱れ撃ち)はほとんどゲーム状態で・・・現場はさぞかし楽しかっただろうなぁ(羨望)^^

 最初にゾンビになるパツキン女優ジェナ・ジェイムソンは90年代のアメリカで20回もAVNアワード(=アメリカAV業界のアカデミー賞。「ブギーナイツ」でもありましたな)に輝いた超人気AV女優。その彼女がAVを引退しての初仕事がこの映画。どう見ても彼女のおっぱいはシリコン入りだが・・・この映画の撮影後、シリコンは抜いたそうだ(=どうでもいいトリビア)。彼女以外にも山本モナ似のストリッパーほか大勢脱いでますんで、どうぞお楽しみに!ロバート・イングランド御大も(特殊メイクなしの素顔)ストリップ小屋の経営者を怪演!ゾンビショーが人気となってウハウハ(でストリッパーに食われてゾンビになった客は地下牢に幽閉)する悪徳経営者を楽しそうに演じています(監督たちは彼の出演が決まって大層喜んだそうだ。その気持ち、分かるな〜)^^

 
 勿論、映画の後半は<ゾンビ軍団VS経営者・従業員ら人間たち>の戦いになるんだけど・・・その間、ゾンビ・ストリッパー同士がプライドをかけてバトル(=「戦国極道志 不動」を越える花電車が炸裂)したり、最後の最後に超姑息な陰謀が明らかになったりと一筋縄ではいかないニューウェイブゾンビ映画といえよう。遺体を火葬する我々日本人にとってゾンビ映画は永遠の憧れのジャンルなのかもしれない・・・んなわけないか(笑)。