いよいよ3月に入りました・・・花粉が怖いです・・・(いやホントに)!
さて本日は<ひな祭り>ですが・・・筆者は“男子”なので、クリント・イーストウッド監督最新作「アメリカン・スナイパー」(’14)を観に行きました(笑)!イラク戦争に4度従軍、160人もの敵を殺したことで“伝説”と呼ばれた兵士クリス・カイルの自伝「ネイビー・シールズ最強の狙撃手(原題:American Sniper)」の映画化。先日のアカデミー賞での受賞は逃しましたが、イーストウッド映画史上最高の興行成績を叩きだした注目作です。絶賛公開中につき・・・つい最近“ある報道”もありましたが・・・極力ネタバレしないように書きますわ^^
アメリカ・テキサス州に生まれたクリス・カイル(=ブラッドリー・クーパー)。幼い頃から厳格な父親より狩猟を教わりながら育てられる。時は流れ1998年ー。定職を持たずロデオ大会の賞金で生活していた彼は「アメリカ大使館爆破事件」をテレビで知り、愛国心から軍隊に志願。特殊部隊ネイビー・シールズに配属され、厳しい訓練のさなかタヤ(=映画「アルフィー」で共演したジュード・ロウとの交際で一躍有名になったシエナ・ミラー)と知り合い交際を始める。
2001年9月11日「アメリカ同時多発テロ事件」が発生!!戦争が始まり、タヤと結婚したばかりのカイルは6週間の予定でイラクへ派遣される。<狙撃兵>として次々戦果を挙げるカイルはやがて“伝説(レジェンド)”と称賛されるようになるが、同時に敵からは高額な懸賞金をかけられる。2度、3度と従軍する度に地獄のような戦場や死んでいった仲間達の記憶が頭から離れず、カイルの心は次第に蝕まれて・・・!
近年、実話の映画化作が多いイーストウッド翁がこれまで通り、事実を淡々と描いたシリアス作。アメリカ軍が大軍でドンパチやる血湧き肉躍る大戦争アクション映画だと思って観るとブルーになります(戦闘描写は「ブラックホーク・ダウン」風でリアル)。トーンは“淡々”としているけど上映時間132分はあっという間。
そもそも今作はクリス・カイルの自伝に惹かれたブラッドリー・クーパーが映画化権を自ら取得(彼は今作で製作も兼任)、監督・スピルバーグで進められていた企画(ところがスピが希望する製作費がなかったため降りた)。スピルバーグ降板後、最終的にイーストウッドが引き受けた経緯がある。ブラッドリー自身、かねてからイーストウッドとの仕事を熱望していたそうだし、作品も大ヒット(←本国ではこの映画を巡って左翼と右翼の論争に発展したことが背景)。アカデミーにもノミネートされたんだからブラッドリー的には結果良かったんじゃないかと筆者は邪推している(笑)。
大ヒット上映中につき詳しく書けないけど・・・イーストウッドが焦点を当てたのは戦地に行った人間に生ずる<心の闇>の問題。戦争に直接的には勿論、間接的にでも係った人間は少なからず不幸になってしまう・・・っていう感じですかね。クリス自身は戦場で大した怪我も負わなかったけれど、その分“PTSD(心的外傷後ストレス障害)”で心を病み、戦地には行っていない家族をも巻き込んでしまう。このPTSDに関しては、イーストウッド自身、過去作「父親たちの星条旗」(’06)でも扱っている。いつ死ぬかもしれない状況下で、恨みもない人間を殺さないといけない戦場に叩きこまれたら・・・誰でも心の病になるよな〜!!
主演のブラッドリー・クーパーはカイルの家族に会ってリサーチ&兵士の身体を作るべくトレーニングしたそうで、ムキムキのボディに(驚)!本当に<どこにでもいそうなアメリカ人>を好演しています。今作で「ハングオーバー」シリーズのチャラ男のイメージを払しょく出来たんじゃあないかしら(あれも好きだけど)^^
劇中舞台となる中東の問題は・・・いまでは「イスラム国」の件もあって、今後どうなっていくのか全く予想できないけど(劇中で登場するのは「アルカイダ」までだが)・・・今後も戦死したり、PTSDを発症していく人が増え続けることが本当に心配。平和ボケしている日本人もいまの情勢では(「集団的自衛権」とかさ)・・・決して対岸の火事ではないことを認識するべきだろう。「アメリカン・スナイパー」は秀れた反戦映画でした。気の早い話ですが、次のイーストウッドの新作を心して待つ^^!