其の337:史上初のモンスター●●●!「ザ・フィースト」

 「このブログにはコメディが少ないなぁ」と少々反省し、暇じゃないのにいろいろ思い出したり観たりしたのですが・・・どうもイマイチしっくりこない。「少林サッカー」で世界を爆笑の渦に叩き込んだ香港のチャウ・シンチーによる「ミラクル7号」は、可愛い宇宙人(カンフーもする!)と貧乏親子のいいお話なんだけど、ちょいとコメディとしては中途半端。ラストも筆者の読み通りで「悪くはないんだけど・・・」という微妙な感じ。
 一方、「メリーに首ったけ」と「ナイト ミュージアム」でようやく日本でも少々名前が売れたコメディアン、ベン・スティラー主演・監督作「トロピック・サンダー/史上最低の作戦」は、フランシス・フォード・コッポラの「地獄の黙示録」や「プラトーン」ほか<戦争映画>のパロディをベースにハリウッドの業界ネタをミックスさせた大掛かりなアクション・コメディ。スティラーのほか「スクール・オブ・ロック」のジャック・ブラックや「アイアンマン」のロバート・ダウニー・Jr、更にはトム・クルーズがハゲの親父プロデューサーに扮装して踊りまくる(笑)A級大作で、タランティーノの「グラインドハウス」よろしく<嘘予告>まで付いた凝りようなのだが・・・シンチーの「ミラクル〜」同様、コメディとしてはこれまたギャグが少々不足気味で、ラストもみえみえの予定調和で終わってしまい残念だった(=筆者の「笑い」のハードルが高すぎか!?)。
 そんな中、筆者のハートを馬鹿馬鹿しい笑いでつかんだのが「ザ・フィースト」!あっという間に「2」と「3」が同時に製作されたが(「ソウ」シリーズ、あるいは「バタリアン」シリーズ状態)DVDのジャケット見る限りでは<よくあるB級モンスター・パニックもの>だと思うのが普通だけど(それも間違いではないが)、その中身は数々の掟破りな内容を含んだエログロありの驚愕コメディーなのであった(でもってバカ映画)!!

 
 携帯電話も通じない荒野にポツンと佇む一軒の酒場。そこには下流のグダグダな男女が深夜にもかかわらずたむろしていた。すると、いきなり血まみれの男が店に乱入、「いまから怪物が来るぞ!」と叫び始める。彼の名は「ヒーロー」ー店の中にいる人々のなかでもっとも頼りになると思われた彼だが、次の瞬間、窓から顔を出してきた謎の怪物に秒殺されてしまう(爆笑)!!外へ連絡できる機器は2階にしかないのだが、店の周辺は数匹の怪物が跋扈し、どこから入ってくるかわからない。さて、店の中の人々は無事脱出することが出来るのか(=ちなみにメジャーな人はひとりも出ていないし、主人公が明確じゃないので割愛)!?

 このテのジャンルを見慣れている人にとっては、本当に本当によくあるパターン。ご丁寧に冒頭には「呼び名」や「特技」、加えて「生存確率」までクレジットされるのだが、これが全くアテにならない(笑)!で、普通は「子供」や「老人」は助かるのが<定番>なんだけど・・・そのセオリーはあっさり覆される!「掟破り」がとどまることなく展開されるので笑いながら最後まで一気に見てしまうわけだ。

 中でも凄いのが<怪物(=何気に「プレデター」の素顔似。B級作品なんで着ぐるみよん)>の描写。父親と母親、そして子供による怪物ファミリーが襲ってくるんだけど(その理由は映画を観て確かめてね^^)、なんと仲間を増やすため父親と母親が店の外で即ハメ(=ちなみに体位はバック)!で、速攻で卵を生む(笑)!!未知の怪物の性交描写は、おそらく映画史上初の快挙だ(違ったらゴメンね)。そこで人間サイドは「これ以上、怪物を増やされたらたまらん」と怪物親父の<ともだち●こ>を斬りおとす(驚&笑)!!!今作は映画史に記録されるべきだと筆者は思うのだが・・・まぁ、されんだろうだなぁ(苦笑)。

 タイトルの「フィースト」とは「祝祭日」の意。さらに「ご馳走」とか「お楽しみ」という意味もある。要は人間が怪物にとってのご馳走ということだ。今作はそもそも「脚本公募番組」中において優秀脚本を受賞したものの映画化(日本でいえば「ゴジラVSビオランテ」のようなもの)。マット・デイモンベン・アフレックのプロダクションが出資したので、「製作」として2人の名前がクレジットされてる(名義上だけとはいえ、いいんか?加えて「エルム街の悪夢」で知られるウェス・クレイブンの名も)。監督はベテラン俳優、クルー・ギャラガーの息子、ジョン・ギャラガー。少々、チャカチャカ編集+画面が暗くて何が映っているのかよく分からんカットもあったりするのが残念だが、モンスター・パニックものの演出のつぼは押えてあるし、パワフルでグー。エンドロールの途中にも<ある人物のその後>の描写が入るので、終わったと思ってデッキの停止ボタンを押さないように!

 TVドラマ「名探偵の掟」が<ミステリーファン>ならより一層楽しめるのと同様、<モンスター・パニックもの>をある程度観ている人なら、笑いながら楽しめる今作(恐怖と笑いは紙一重なのさ)。あくまでシャレが分かる人にお薦めします(→このフレーズ、久々に書いたな)^^。


 <どうでもいい追記>80年代に「ナインハーフ」、「イヤー・オブ・ザ・ドラゴン」で一世を風靡したものの90年代には低迷したミッキー・ロークの完全復活作「レスラー」を観賞したものの・・・ラストが超消化不良!ローク版「ロッキー・ザ・ファイナル」だと思って観ただけに(彼の全盛期を知ってるだけにより)爽快感も涙もなく筆者的には残念な出来だった。それにしてもロークといい「いとこのビニー」の時には可愛かったマリサ・トメイ(乳出しあり)といい・・・年食ったなぁ。「歳月、人を待たず」というが、俳優にとって年をとることは残酷なことなのかもしれない。