其の509:見た目に騙されちゃダメ「テッド」

 またまたまた・・・間が空きました。ホントにホントに・・・忙しかった!

 人間の言葉を話す可愛いテディベアが活躍(?)する映画「テッド」はR−15指定ながら日本でもヒットしました。筆者もようやく最近観たのですが・・・その“正体”は予想を超えたお下劣コメディでした(でも筆者は大笑い^^)。あくまで洒落の分かる人にお薦め!

 

 
 1985年、米・ボストン郊外ー。孤独な少年ジョン・ベネットはクリスマスプレゼントに貰ったテディベアに命が宿るよう神に祈る。すると、なんとそれが奇跡の実現!!クマの“テッド”は<生きているヌイグルミ>としてTVにも出演。一世を風靡したー。
 月日は流れ2012年。35歳になりレンタカー屋で働くジョン(=「ブギーナイツ」のマーク・ウォールバーグ)は彼女のローリー、そして未だテッドと共に暮らしていた。そのテッドもすっかり世間から忘れ去られ「あの人はいま」状態。すっかりマリファナ漬けの中年エロヌイグルミと化していた。そんなある日、交際4年目の祝いのディナーを終えたジョンとローリーが帰宅すると、何人もの売春婦を呼んで騒いでいたテッドにローリーの怒りが爆発!!その結果、ジョンはテッドに家を出るよう提案、初めて離れ離れの生活を送ることになったのだが・・・!?


 
 テッドの可愛さにつられて観たら下ネタ満載でドン引きした女子も多いと思うけど(笑)、基本男子は大丈夫かと(注:あくまで筆者基準)。その昔、ブルース・ウィリスが赤ん坊の声を担当したコメディ「ベイビー・トーク」のヌイグルミ版(で下ネタ増量+サブカルネタ追加)と思って頂ければよろし。

 めっちゃハードな下ネタの数々は本篇で確認して頂くとして、タランティーノ作品の如く映画ネタもいっぱい!「スター・ウォーズ」から「007/オクトパシー」、スピルバーグ映画に「ブリジット・ジョーンズの日記」と多岐に渡るが(この辺りは今作の監督にしてアニメーター出身のセス・マクファーレンの趣味だろう)、特筆すべきはジョンとテッドが偏愛している映画として「フラッシュ・ゴードン」が大々的にフューチャー!フラッシュを演じたサム・J・ジョーンズが登場、セルフパロディを演じる(大爆笑)!!・・・知らない人のために補足で書くと「フラッシュ〜」って、公開当時より“駄作”として知られている<底抜け超大作>の一本(いいのはクイーンの音楽だけ♪)。それをここまで大きく取り上げているのは・・・完全に半分リスペクト、半分バカにしている^^。

 「コメディには俳優が(何故か)出たがる」という<映画界の法則>を以前ここで書いたが、今作にも先述のサム・J・ジョーンズの他、本人役でノラ・ジョーンズや「エイリアン」、「トップガン」のトム・スケリットのほか、某有名俳優がゲイの役で一瞬出演。男同士でチューして見せる(それが誰かは観てのお楽しみ❤)。エンドにもネタにされる俳優(写真だけど)が出てくるので、気を抜かずに最後まで観ましょう。

 マークのコメディ演技は勿論のこと(「アザー・ガイズ 俺たち踊るハイパー刑事!」ほかで実証済)、テッドのCGのクオリティーは驚異的!!過去に何度も書いたけど・・・金と時間をかければ作れない映像はないネ!マクファーレンは今作のアイデアを当初アニメとして構想していたものの、実写で可能になるまで技術の成熟を待ったそうだ。児童小説みたいな設定ながら、肝心のテッド(←安易すぎるネーミング)がリアルに作られたが故に成立している作品ともいえるだろう。CGにいくらかかったかは分からないけど・・・そんな高度な技術を“お下劣友情コメディ”に使ったのが素晴らしい(笑:加えてクライマックスの展開&オチもちょっと筆者の想像を越えてたし)。絶対に日本じゃ作られないタイプの作品(例えば邦画で可愛いトイプードルとかに、お下劣ギャグやらせたとしたら大ブーイング喰らうだろう)、そういう意味でも観て欲しい。


 これは日本版だけの問題だけど・・・字幕にも吹き替えにも「くまモン」とか「星一徹」とかのワードが出てくるんだけど・・・ちょっと意訳が過ぎた気も?元の“テディ・ラクスピン(アメリカで売られている喋る機能付きのテディベア)”や“ジョーン・クロフォード(実の子供を虐待しまくっていた有名ハリウッド女優)”は、一般の日本人には分かりにくいとしても・・・ねぇ。もっといい例えはなかったのかしらん??



 <どうでもいい追記>今作を観た後、中学でTV放送観た以来の「フラッシュ・ゴードン」がモーレツに観たくなって・・・さんざん迷った挙句、ついDVD買ってしまった(苦笑)。ポルノ版パロディ作「フレッシュ・ゴードン」の方が遥かに面白いことは分かってるんだけど・・・つい(金と時間の無駄)。
ちなみに後年「フレッシュ・ゴードン2」が作られた事を知る人は・・・おたく以外、知る人は数少ない(筆者は勿論観てます^^)。




 あと宮崎駿監督引退宣言はマジでしたな。「風立ちぬ」はベネチアでは賞を獲れなかったけど、またまた大ヒットということで・・・とりあえず晩節を汚さず良かったのではなかろうか。

 それにしても中島哲也監督が降りた実写版「進撃の巨人」は・・・一体どうなったの、東宝さん?