其の336:手作りスーツ、空を行く「アイアンマン」

 前回の「鉄人28号」に続き、今回はアメリカ製のロボットもの「アイアンマン」(’08)を紹介(継投は何気に考えているのだ)。これまた、いま流行りのアメコミの実写映画化ですが、やっぱり筆者的には<モビルスーツ>と<パワードスーツ>は外せないのだ(笑)!!で、中に入っているのが若者ではなくオヤジというのも筆者的にはグー^^

 お話は家業の武器兵器会社を継いで、武器をバンバン開発・製造している天才CEOトニー・スターク(=演じるのは「チャーリー」ほかで知られ、一時期いろいろあった1965年生まれのロバート・ダウニーJr.)は新兵器の威力を軍部に見せるためアフガンへ自ら主張。ところが地元テロリスト達に拉致られ、兵器製造を強要される。そこでトニーは、手作りパワードスーツ(通称「マーク1」)を製作して逆襲!九死に一生を得たものの、製造に協力してくれた友人を失うことになり廃業を決意するのだが、巨大企業だけに周りはそうはさせてくれなかった(トホホ)。そこでトニーは自宅に引きこもり、ひとりパワードスーツの改良&実験に明け暮れる(→その結果、全身銀色の「マーク2」を経て、カラーリングが渋い「マーク3」が完成)。ところが、その頃トニーにやられたアフガン・テロ達は残されたスーツの設計図を基に、オリジナルスーツの製作を開始。更にトニー暗殺を目論む陰謀も加わって・・・!?
 この「アイアンマン」のパワードスーツは上記に書いたようにどんどんデザイン&性能ともバージョンアップしていく訳なんだけど、胸や腕からは特殊なレーザーは出るわ、肩には銃を内蔵、右腕には対戦車ミサイルも装備!勿論、スーツの力で大型の車も楽々持ち上げ、おまけにマッハ8で空も飛ぶ(ステルスより速い)・・・。ハインラインが書いた元祖パワードスーツ登場小説「宇宙の戦士」のそれより高性能じゃないの?!これ量産化したらクモ型宇宙人もすぐに殲滅できそう(笑)。クライマックスでは「マーク3」に対抗して製造された超重量級パワードスーツ「アイアンモンガー」が登場!陸で、空でガチンコバトルを繰り広げます。ロボットファンは燃え(&萌え)るぜ!!
 劇中、登場するスーツを制作したのは故スタン・ウインストン。ノリノリで担当したらしい(合掌)。デザイン決定後、ダウニーJr.の体にシリコンを塗って型取りし、動きやすいように俳優やスタントマンが着るスーツはゴムで部分部分が製作された(細かな部分はCG足し)。途中、PC画面に出てくる「設計図」があるのだが、現実にある技術に近づけようと努力した結果(=構造がめっちゃ複雑)、パーツの数は450以上になったという。勿論、リアル度を上げるための事なのだが、ここまでやっても「あんな短期間、しかも洞窟の中でパワードスーツが造れるわけないだろ!」とか「あんな高速で空飛んだらGの関係で、中の人間は気絶するぞ」とか「なんぼ装甲が厚くても、あの高さから落下したら中の人間は死ぬ」とかツッコミはあるけど、そこは漫画ですから(笑)!その辺の検証は「空想科学読本」に任せる^^
 主人公トニーは「バットマン」のブルース・ウェイン同様、大会社の社長なんで超リッチ!屋敷はリゾートにあるし、高級車はもちろん自家用ジェット機(美人のCA付き)も所有。美女たちともバンバンやりまくる元気のいいアラフォー!とどめに秘書はグウィネス・パルトロウ(笑)と端から見ると「死の商人」だし、嫌な奴だと思いがちだが、ジョークも飛ばすし、チーズバーガーも好きだし(庶民的)、コロッと<正義>に目覚める愛い奴^^!これも名優(にして「お騒がせ男」でもあった)ロバート・ダウニーJr.の演技力があって、はじめて映画としてリアルで説得力のある主人公になったと思う。グウィネスのほかにジェフ・ブリッジス(老けたな〜)やテレンス・ハワードほか、ちゃんと演技できる人々が出演してます(そうでないと漫画原作は嘘臭くて仕方ない)。
 監督は「ザスーラ」(’05)等を手掛けたジョン・ファブロー。この御仁、俳優としても活躍しててアメコミ映画「デアデビル」(’03)ほかに出演!今作では監督、製作総指揮に加え主人公のお抱え運転手役も演っております。M・ナイト・シャマラン化するのは時間の問題かも(笑)!?で、この人・・・見た目、ちょっと気弱そうなんだけど・・・そのせいか初の超大作という事もあり、スタジオのお偉いさん方にさんざんプレッシャーをかけられ、撮影中&公開前もめちゃめちゃ不安だったそうな(爆笑)。本人は「役作りのため」と言っているが、そうでなければたかだか運転手役で35キロ(驚)も痩せる訳がない!!なんとか撮影を終えてのプリプロダクション(後処理)では編集用モニターを指さして、台詞のカットを指示したらベテラン編集マンが激怒して一喝されたそうだ。こんなに権力のない製作総指揮&監督は聞いたことがない。可哀想すぎる・・・(涙)。
 こうしてなんとか完成した映画はー途中でダレることもなく、スピーディーに展開する娯楽活劇に仕上がり(黒幕の正体はベタベタだけど)世界中で大ヒット。こうしてファブローは業界から抹殺されることもなく、再び監督として来年公開予定の「2」の製作に入りました(次回で敵を演じるのは「レスラー」で完全復活したミッキー・ロークらしい)。その実、主人公の友人にして軍人を演じたテレンス・ハワードは「2」の降板を表明。理由は「自分の出演シーンがあまりにもカットされたから」との噂あり。もし、そうだとしたらジョン・ファブローが早く監督として正当な立場に置かれることを切に祈ります!・・・「ロボット燃え話」が最後には「映画監督残酷物語」になってしまった(苦笑:チャンチャン)。

 
 <「鉄の男」とは関係ない追記>クエンティン・タランティーノは劇音を作曲家を雇わず既成曲を自らチョイスすることで有名だが、ブラピ主演の新作「イングロリアス・バスターズ」(10月日本公開予定)では、大量にエンニオ・モリコーネの楽曲を使用しているらしい(それも数々のマカロニウエスタンから:喜)!早くサントラ出ないかな♪