其の335:さすが日本製アニメ「鉄人28号 白昼の残月」

 現在、お台場にて建造中の実物大ガンダム(全長18メートル!さすがにルナチタニウム製じゃないけど)。公開された暁には絶対に見に行くつもりだが、それにしても日本男子はロボット好きだよな(勿論、ヒト型)^^。
 筆者の少年時代は実写のヒーローもの(今もシリーズ化されて続いているのが凄い)とロボットアニメが花盛りであったが、ロボットの先駆的作品(漫画)は言うまでもなく手塚治虫の「鉄腕アトム」と横山光輝の「鉄人28号」であることに異論はなかろう(=「鉄人」は大友克洋の「AKIRA」のネーミングの元ネタでもある)。筆者も追っかけて漫画を読んだけど・・・「鉄人」の方が好みだったなぁ。リモコンを持つ相手によってメインロボットが善にも悪にもなるという設定が深いんだよね!勿論、あのシンプルなリモコンであそこまで動くかどうかとか、少年探偵・金田正太郎くんが子供なのに車を運転するとか銃持ってるとかは考えてはいけない(笑)。両者とも幾度となくTVアニメ化されましたが(アトムは近日、映画版公開)いまのところの最新劇場版アニメ「鉄人28号 白昼の残月」(’06)は傑作よん♪やっぱり日本製ロボットアニメは凄いわ!

 
 昭和30年、復興著しい首都・東京。父が遺したロボット「鉄人28号」を駆使して怪事件を解決してきた金田正太郎くんの前に現れた謎のロボット。正太郎危うし、という時に突如現れた青年は鮮やかに鉄人を操縦して敵を撃退した。彼の名は金田ショウタロウ・・・金田博士が戦争中、鉄人を操縦させるために養子縁組した元特攻隊員だった。いきなりの義理の兄の登場に戸惑う正太郎・・・。
 丁度その頃、発見された不発弾は金田博士が製造した兵器のひとつ「廃墟弾」であることが判明。その「廃墟弾」は都内のどこかに大量貯蔵されているという。「廃墟弾」を巡る争奪戦(外国の財団含む)&「白昼の残月」と名乗る復員兵姿の男による殺人事件!正太郎は否応なくその渦中に巻き込まれてゆく・・・!!ロボットものにミステリーも絡むのがミソよ^^

 そもそも漫画「鉄人28号(企画段階では「鉄鋼人間28号」だったが、長いので縮めたそうな)」は第2次大戦中、金田博士と敷島博士によって日本軍の切り札として研究・開発されたものの完成前にあえなく終戦(=その後、28号機までかかってようやく完成)。そこで戦後は金田博士の遺児・正太郎くんが大塚署長たちと共に鉄人を駆使して事件解決に当たる(相手もロボット持ってたりする)・・・というのが原作の基本設定。その設定と原作の絵柄を最大限活かして2004年に製作された3回目のTVアニメシリーズ(全25話)は一部ファンに高く評価された。翌年公開された実写映画(富樫森監督)は現代の日本が舞台なのはいいが、何故か正太郎くんはいじめられっ子だし、鉄人と敵ながら人気のロボット・ブラックオックスは質感0!蒼井優薬師丸ひろ子も出演していたのにダメダメの出来だった(怒)。そんな後に公開されたのがTVシリーズを踏襲する(扱いは番外編)「白昼の残月」なのだ。

 実写と比べて鉄人の動きは素晴らしいし(飛行シーンは勿論のこと、敵の破壊描写も腕を相手の胴体に貫通させた上で手首を回転させて内部の回路を引きちぎる芸の細かさ!)原作漫画読んでる人なら分かる敵ロボット(ギルバートやバッカス、サターン!)も大挙して登場!更には金田博士が本土決戦を考えて用意した驚異の<最終兵器>まで出現(→自分の目で確かめてね^^。「いくら天才でもこんなものを一人で造れるわけがない」とか「これあったら連合国側に勝てるだろ」とか野暮なこと言っちゃダメ)!!考えてみれば鉄人自体が<戦争の負の遺産>なわけだが、<戦後の日本の過程はこれでよかったのか!?>という重い命題をも観客に突きつけてくる。
 どうもまだアニメは実写に比べて低く見られがちなのが不満だが、日本のアニメは高尚なテーマも十分描けるほど成熟しているのだ!実写より遥かに出来がいいものも沢山ある事をそろそろ世間も認識すべきだろう(じゃなきゃ世界でここまでウケないって)。

 脚本・監督は今川泰宏。この方、もともとサンライズで「機動戦士Zガンダム」や「聖戦士ダンバイン」、「重戦機エルガイム」など一連の富野由悠季作品に参加していた名演出家(→これで冒頭のフリにつながったぜ)。ロボットものはお手のものなのだ^^。ちなみに高く評価された「平成版ガメラ」の脚本家もアニメ出身の伊藤和典。いかに日本アニメ界のスタッフが有能なのかお分かり頂けよう。加えて今川監督は「ミスター味っ子」では主人公の料理を食べた人が、美味さのあまり体が巨大化したり(ダンバインでいうところの「ハイパー化」)、口からビームを吐く演出をしたことも付け加えておく(笑:勿論、寺沢大介の原作漫画にそんな描写はない)。

 さらにキャラデザインには「幻魔大戦」のなかむらたかし(共同)!音楽は「ゴジラ」で御馴染みの伊福部昭!!作画・音響面でも一流スタッフが顔を揃えている。幼児にはちょっと話が難しいかも知れないけど、子供も大人も楽しめる傑作ロボットアニメ「鉄人28号 白昼の残月」。日本男児必見の一作だろう(本当)。


 <個人的ぼやき>さて実物大ガンダムだが・・・公開期間中、見に行く暇が果たしてあるかしら?最悪、夜中に行くか(見えないって)