其の632:実写「ゴースト・イン・ザ・シェル」を観る

 桜も散って、4月も中旬になりました。今年も特にお花見なぞすることなく終了〜(哀)。

 そんな今日この頃、アメリカで実写映画化された「ゴースト・イン・ザ・シェル」を鑑賞。原作漫画は士郎正宗の「攻殻機動隊」。これが1995年、押井守監督によって「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」として劇場アニメ化され、日本よりも海外で高く評価されたのですね〜(その後も日本では続きが映画やテレビで放送されたりした)。ハリウッドが映画化の権利買ってから大分経ちましたが・・・ようやく公開されました!!果たして、その出来は!?

 
 電脳技術が発達し、人々は自らの身体をサイボーグ化(=「義体」)するようになっていた近未来ー。大手軍需企業「ハンカ・ロボティックス社」の技術を狙う電脳テロ犯罪を未然に防ぐべく「公安9課」が出動する。実質、部隊を率いる<少佐(→演じるのはスカーレット・ヨハンソン)>は、脳以外は全て義体化されている。そんな中、「ハンカ・ロボティックス社」の研究員が何者かが送り込んだロボットにより脳内のデータをハッキングされてしまった!現場には“クゼ(→マイケル・ピット)”と名乗る犯人からのメッセージが残されていた。<少佐>は上司の荒巻(→ビートたけし)の指示の下、同僚のバトー(=ピルー・アスベック)らと共に捜査を進めていく内に、次第に自分の“記憶”に疑念を持ち始めて・・・!?

 
 絶賛公開中につき、ネタばれしないよう簡単に書きますが・・・細かな設定やストーリーはまんまじゃないながら(特にヒロインの設定変更はあちらでバッシングも起きましたが)押井さんの作品を相当意識した絵作りを行ってる(監督のルパート・サンダースは当時観たオリジナル版に相当影響されたそうで)。「あのシーンを実写でやるとこうなるのネ」と思った部分、多々あった。で、結論から先に言うと「出来は普通」でした。

 監督の考え方も分かるけど・・・ちょっとだけ難解さを感じたオリジナル版のストーリーをシンプルなお話に変えた為(敵も「人形使い」でないし)、世界マーケットに売れる普遍的な内容になった分、深みがなくなって・・・1作目の「ロボコップ」と似たようなものになっちゃったなぁ・・・と。話がよくあるパターンの分、アクションとかで凄いのみせてくれれば十分、観客としては補完されるんだけど、アクション的にも普通で、頭一つ出ていない・・・(う〜ん)。観ていてあきないけど、ワクワクもしない・・・。難しいとこだけどねぇ・・・。

 粗筋にも少〜し書いたように出演者はスカーレット・ヨハンソンの他、たけしさんにジュリエット・ビノシュ桃井かおり(驚)も出演!その他は、あんまりメジャーじゃない方々が多数で、予算あるんだか無いんだかよく分からんキャスティング。舞台となる都市なんぞ、オリジナル版に「ブレードランナー」を過剰に加えた感じだったな〜。テリー・ギリアムの「ゼロの未来」(’13)も思い出してしまった。その辺りもチャチくはないけど、A級作品になりきれない感じを醸し出している気がする。押井さんは全体的には誉めているようだが、筆者には少々残念だった。

 一応、フォローしておくと(遅いか:笑)都市の絵作りにしても、日本の予算じゃまだ無理なビジュアルだし、頑張っているとは思いますよ!!ただ筆者は漫画がアニメ化するのは、そんなに反対じゃないんだけど(同じ2次元だし)、実写化はモノによっては無理があるし、漫画やアニメが「名作」や「傑作」であればある程、無理して実写化しなくていいじゃない派。ハリウッド版「ドラゴンボール」は言うに及ばず、邦画もそれで惨敗した作品沢山あるし(苦笑)。この後、日本映画もしばらく続きそうだが・・・「●●●ポリマー」とかさ(苦笑)。

 
 今作鑑賞をきっかけに若い人が原作漫画や押井さんのオリジナル版とかに興味を持って頂ければよろしいかと(スカーレット・ヨハンソンもオファーあるまで原作知らなかったそうだし)。・・・うん、それでいい(無理矢理、時間作って観に行った自分を納得させた)^^