其の313:男女は摩訶不思議「グリーン・カード」

 沢尻エリカの結婚騒動もあとはハワイからの帰国を待つばかりですが・・・彼女から筆者が連想するのは映画「パッチギ!」での可憐な姿だったが・・・実は女王様キャラだったということで(苦笑)。
 映画「パッチギ!」は重いテーマを扱いながらも面白かった。その「パッチギ!」の<毒舌家>井筒和幸監督は設定が「セーラー服と機関銃」に酷似している「二代目はクリスチャン」という傑作もものにする一方、「みゆき」あだち充原作!)とか「ゲロッパ!」とか失敗作も作っていることは周知の事実(笑)。そんな彼には更にあまり語られないものの「晴れ、ときどき殺人」という秀作もあるのだが・・・紹介はまた今度ということで^^。

 
 すっかり前フリが長くなりましたがオーストラリア出身監督、ピーター・ウィアーの名も最近ききませんなぁ(=全然、井筒関係ないじゃん)。ラッセル・クロウ主演作「マスター・アンド・コマンダー」(’03)を撮って以来、なにしてるんだろ??「ピクニックatハンギング・ロック」(’75)で注目されて以来、ハリソン・フォードの「刑事ジョン・ブック/目撃者」(’85)や感動作「いまを生きる」(’89)、エゲツないTVマンが出てくる「トゥルーマン・ショー」(’98)なんて作品がありますが、筆者が好きなのは「グリーン・カード」(’90)!いまではあまり語られない作品だが(何故?)本当にいい映画^^

 現代のニューヨーク。自然をこよなく愛するブロンティーアンディ・マクダウェル)は緑に囲まれた生活を送るため組合経営のアパートに入居したい。しかし、そこの「居住資格(=「グリーン・カード」)」を得るためには<夫>がいないとダメ。一方、フランスからやってきたジョージ(「1900年」の名優ジェラール・ドパルデュー)はアメリカで働くために「永住許可証(=「グリーン・カード」)」が必要だった。しかし、それにはアメリカ人の<妻>がいないといけない・・・。こうして夫が欲しい女と、妻の欲しい男は<偽装結婚>に踏み切る。ところが入国管理局から目をつけられ、ふたりは仕方なく共同生活を始めることになるのだが・・・。
 ・・・粗筋だけ書くとまるで「漫画」のような話!ウィアー版「翔んだカップル」と言えなくもない(笑)。今作はウィアー初のロマンティック・ラブストーリーであり、製作・監督・脚本も兼任している。彼のプロフィールは自分で調べてくれ(笑:悪いけど忙しいのよ)^^

 話によると、ウィアーがたまたま観たアンジェイ・ワイダ監督作(=ついでに書くと彼の「灰とダイヤモンド」は大傑作だ)「ダントン」に出ていたドパルデューの演技にすっかり魅了されたのがそもそもの始まりで、おぼろげながら頭にあったアイデアをドパルデューを念頭に置いて脚本を<当て書き>。即効でシナリオをパリに住む彼に送った。「僕のために脚本を書いてくれたということに素直に感動した」ドパルデューはオファーを快諾(=これが初のハリウッド映画)したものの・・・超売れっ子の彼のスケジュールが空いてない!!そこで彼待ちの間、とりかかった映画がロビン・ウィリアムス主演の「いまを生きる」だったというから・・・人生も仕事もなにが功を奏するのかわかりませんな(笑)。

 ドパルデューの相手役には「セックスと嘘とビデオテープ」で知られるアンディ・マクダウェル(この人も最近、なにしてるんだろ?)。2人は撮影前、ウィアー独特の<リハーサル>・・・ただの「本読み」ではなく、実際に撮影で行うシチュエーションにのっとって演技も行うという方法がとられた。例えば「夕食の支度をするシーン」であれば、実際にキッチンで料理を作りながら演技をするわけ。ウィアーは以前から<異質なもの同士の接触>を描くのに長けているが(=「刑事ジョン・ブック〜」では主人公とアーミッシュの人々。「モスキート・コースト」では文明人が未開のジャングルで暮らす)今作も国籍の異なる男と女という<異質なもの同士>の組み合わせなわけだから、とりわけリハには気を使ったのかもしれない。

 そんな<映画の見所>は何といっても入管や周囲に<仮面夫婦>とバレないように、あの手この手を駆使するところ。アパートの屋上でインチキな「旅先の思い出写真」を撮影したり(=いまと違ってデジカメで撮影してPCで合成なぞできんのだよ)、お互いのプライベートな事項を教えあったり。ネタバレになるので詳しくは書きませんが、果たして2人は無事隠し通すことが出来るのか!?それは観てのお楽しみ^^

 日本でもティーンエイジャー(死語)がメインの「恋愛映画」は山のように作られていますが・・・どれも似たようなお話ばかり!恋人が「難病」だったり、過酷な運命に遭わせて観客を泣かせようとする類のものが多いのだが、それってリアリティーある??その点、この映画は主人公2人が「アラサー」「アラフォー」だし、一時期アメリカで社会問題になった「グリーン・カード制度」が取り上げられているので丸っきりの創作じゃないわけよ。大人のためのロマ・コメを強く希望する次第!そしてピーター・ウィアーの復活(?)も強く希望する!!


 <どうでもいい追記>新作のPRでブラッド・ピットが来日するそうで。なんでも次回作はタランティーノが監督する第2次大戦ものの筈なのだが・・・もうクランクアップしたのかしらん??そっちも楽しみ^^