其の297:最近多い番外編「週刊文春」のベスト

 ようやく今年12月に映画「子連れ狼」のDVDが出ますな(遅いって)。以前「子連れ狼」についてここで熱く語りましたが、これを機に特に若い人に観てもらって、かつての邦画のダイナミックさを実感してほしいものです(=スプラッタ度が高いので心臓の弱い方はご注意下さい)。思うにいまの「邦画バブル」は「セカチュー」あたりから始まった気がするんだけど、当時の映像技術はCGなくてもマジで凄いから^^

 
 さて、先日発売された「週刊文春 創刊2500号・記念特大号」にて゛30年分を一挙公開!ザ・ベストオブ「シネマチャート」”なる特集が掲載されています。早い話、30年分のベストとワーストが読めるという大変お得な企画(笑:バックナンバー見て調べるの大変だったろうなぁ)!それを全部紹介してしまうと訴えられそうなので、ごく一部の引用に留めますが(笑)選者全員が☆5つの満点をつけた作品は30年間で僅か8本だけだったんだと。それらを総称して゛「一食ぬいてもぜひ!」の極上映画”として紹介されていますが・・・さて、あなたの評価は??(以下、紹介は年代順)


 1本目:ルキノ・ヴィスコンティ監督「イノセント」(’79 伊)
・・・フェリーニが「巨匠(マエストロ)」ならヴィスコンティは「巨人」と称される人で、この「イノセント」が遺作。但し、彼はとっくに同じく貴族を題材にした「山猫」という大傑作をものにしてるからね〜(=ヴィスコンティ自身も貴族の出)。それに比べると・・・今作はヴィスコンティファンの筆者が観ても大分落ちる。
 主演は「ハンニバル」で内臓ベロリンチョされたジャンカルロ・ジャンニーニと「青い体験」シリーズのラウラ・アントネッリ(=エロい)。ジャンカルロは自分が先に浮気したくせに、妻(アントネッリ)も浮気したと知るやその男に嫉妬メラメラの自己チュー。シャワー室で相手の男のデカ●ン見てブルーになるのは、いま観るとギャグかもしれない(笑)。アントネッリはお約束の脱ぎ&脇毛も披露するので、そちらのフェチの人はどーぞ^^。
 そういえば最近「拷問映画」もないけど、「青い体験」みたいな年上のお姉さんに男子学生がヤラせてもらえるジャンルも死滅したな(哀)。


 2本目:ホウ・シャオシェン監督「冬冬の夏休み」(’90 台湾)
・・・すみません、これ観てないです!今度・・・いずれ、いや・・・いつか観ます(焦)!!


 3本目:ヤン・デ・ボン監督「スピード」(’94 米)
・・・ご存知、傑作アクション映画。キアヌ・リーブスサンドラ・ブロックが今作のヒットでスターダムに。欧米で公開された時はバスが途切れた高速道路をジャンプするところで失笑が漏れたそうな(=ありえないから)。ただ「エレベーター」に「バス」、さらには「地下鉄」と舞台をあれこれ変え、最後はもうお腹いっぱい。ハリウッドのアクション映画としては低予算だったそうだが(でも数十億よ)、脚本の面白さと演出(=カメラマン出身のデ・ボン初監督作)でぐいぐい見せた。キアヌが降りた「2」は駄作(=当初の「ダイ・ハード3」の脚本を流用)。いまのところデ・ボン唯一の傑作だろう。


 4本目:大島渚監督「愛のコリーダ 2000」(’00 仏・日)
・・・若き大島が「ハード・コアを作っちゃる!」と<裏技>を使ってまで仕上げた執念の「阿部定もの」のリバイバル(=ボカシが少々控えめに)。ちなみに「コリーダ」とは「闘牛」という意味である。でも、これねぇ・・・物語がちょっと進むと主人公の男女がすぐヤリ始めるんで、後半は正直イライラした。思わずスクリーンにむかって「わかった!わかったからストーリー進めて!」と叫びたくなったよ。10代の男女じゃあるまいし、なんでもヤレばいいってもんじゃないだろう(笑)。
 ちなみにフランスで上映された時(ボカシなし)、藤竜也のナニが見える場面で観客から失笑が漏れたそうな(=モノが小さいから)。先日読んだ新聞によると平均してフランス人のはデカいそうだ(本当)。黒人とフランス人、どちらが真の「ビッグ・マグナム」なのか、情報求む(爆笑:嘘です)!


 5本目:スティーブン・ソダーバーグ監督「トラフィック」(’01 米)
・・・麻薬カルテルを描いた社会派映画で、マイケル・ダグラスベニチオ・デル・トロら豪華演技派スターが出演していて、面白い映画ではあると思うが☆5つは・・・ねぇ。自らカメラを担いで撮影したソダーバーグだが、映像的にはちょっと下手(=揺れすぎ)。番組に予算がなくてデジカメでロケしなければならないTVディレクターじゃないんだから(苦笑)。あと余計な意味のないジャンプ・カットも少々気になった。編集意図がわからん。


 (やっと)6本目:マイケル・ムーア監督「ボウリング・フォー・コロンバイン」(’03年)
・・・「コロンバイン高校銃乱射事件」からアメリカの銃社会について鋭く迫ったドキュメンタリー。「広いアメリカにはこんなことやる人(=ムーア)もいるんだなぁ」と思った。素直に面白い米版「電波少年(アポなし)」。


 7本目:ゲイリー・ロス監督「シービスケット」(’04 米)
・・・1930年代の大恐慌時代に競走馬に夢を賭けた人々の実話の映画化。いい映画だとは思うけど、☆5つは評価が高すぎると思う。この年、文春の選者はベストの方にマイケル・マン監督、トム・クルーズ主演の「コラテラル」も入れているけど、殺し屋がタクシーに乗りつつ「仕事」するわけないだろう(苦笑)!リアリティーなさ過ぎ。


 そしてラスト、8本目がクリント・イーストウッド監督、主演「ミリオンダラー・ベイビー」(’05 米)
・・・イーストウッドは筆者も大好きだけど、アカデミー獲った「許されざる者」あたりから彼の映画ならなんでも誉める「イーストウッド信奉者」が増殖した気がする(苦笑)。この「ミリオン〜」は正直、あんなラストにして欲しくなかった。てゆーか、する必要性は!?イーストウッドヒラリー・スワンクが(ベタだけど)擬似父娘として幸せを掴む「ロッキー」みたいな話にすれば遥かに良かったと思う(=ちなみにその前の「ミスティック・リバー」はもろブラピが出てた「スリーパーズ」だった)。そういいつつ観てるから筆者も1食ぬいたも同然だが(苦笑)。


 
 ーということで筆者の意見と余り被らない8本の極上映画で御座いました(苦笑)。割と「文春」の選者って年配の人が多いんで(失礼!)かなり真面目なチョイスだと思う。「ゾンビ」や「スターシップ・トゥルーパーズ」なんてその年のワーストだし(苦笑:筆者の世代ならどちらも「傑作」だが)。今は「ダメ映画」は笑って楽しむものになったので、その当時としては仕方のないことかもしれないけど(「だいじょうぶマイ・フレンド」や「幻の湖」は今やカルト映画)。人の感性はそれぞれ違うから目くじらたてる必要はないか^^。


 何気にもうじき、このブログも300回を迎えますな。さて記念すべき300回目はなにを書こうかな。ギャグで実写版「ベルサイユのばら」とかにしようかな(嘘、嘘。これも超つまらない映画だった)?