其の188:日本&イタリア、珍品ピンクコメディ

 記録に残すべき日本とイタリア(第2次大戦で同盟組んでましたな)の珍品ピンクコメディを2本立てで紹介します(笑)。
 まずは東映が1960年代から70年代にかけて、当時隆盛を誇った独立プロによるピンク映画を駆逐すべく放った「東映ピンク時代劇」の中から「徳川セックス禁止令 色情大名」(’72)を。タイトルからして凄すぎる(爆笑)!

 時は徳川11代将軍・家斉の治世。子沢山な彼の息女のひとり・清姫杉本美樹!)は九州:唐島藩藩主・小倉忠輝(名和宏)に嫁ぐこととなる。だが女嫌いで経験もない忠輝の味気ない作法で清姫は初夜から憤慨してしまう。そこで藩の行く末を案じた重臣たちは領内の豪商・博多屋(渡辺文雄)に相談。忠輝は彼の計らいでフランス娘サンドラ(サンドラ・ジュリアン!)と出会い、ようやく性の悦びを知ることが出来た。だが、忠輝は清姫との形式的なHでは物足りなくなりサンドラを側室とし、ますますセックスにのめりこんでいく。そんなある日、領内の様子を視察した忠輝は下々の者たちも同じようにHをしていることに嫉妬して激怒!その結果、自分以外の領内の人間はHしてはいけないという御触れを出し、てんやわんやの大騒動となる・・・(どんな話や:笑)!

 上記の粗筋で「タイトル」の意味はご理解頂けたかと(九州の大名の話なので本当は「徳川」ではないのだけれど:笑)。一口に「ポルノ」といっても巨額な製作費をかけており、シリアスな部分と笑える部分はしっかり描きわけられています(なんと女の切腹シーンまである)。
 フランスから「洋ピン(=死後)」女優のサンドラ・ジュリアンを日本に招いて制作したうちの1本(東映では「現代ポルノ伝 先天性淫婦」に続いての出演)で、彼女は現場で「前貼り(=死後)」をしなかったため以後、前貼りの使用が禁止されたという逸話も残っている(笑)。

 監督は菅原文太主演の「トラック野郎」シリーズを手掛けた鈴木則文。「網走番外地」シリーズの石井輝男も「異常性愛シリーズ」を監督したが鈴木監督もそのパターンとまるで同じ!「トラック〜」から「ピンク時代劇」、はたまた漫画の実写映画化(「伊賀のカバ丸」ほか)まで・・・本当に当時の東映はいろんな仕事を社員監督にさせたよなぁ(苦笑)。
 ちなみに鈴木監督はこのほかにも池玲子主演の「温泉みみず芸者」や「エロ将軍と二十一人の愛妾」などタイトルだけでも凄い作品を撮っていますので、気に入った方はご自分でお調べ下さい(笑)!


 そしてイタリアからは「セッソ・マット」(’73)を。9話のオムニバスからなる艶笑コメディです。主演はジャンカルロ・ジャンニーニ(「ハンニバル」でレクターに殺された人)とラウラ・アントネッリ(「青い体験」のエロい家政婦)。後に巨匠ルキノ・ヴィスコンティの遺作「イノセント」(’75)でシリアス演技を披露した2人が今作では・・・はっちゃけてます(笑)!

 オムニバス作品なので粗筋紹介は割愛しますが、2人は様々な階層の人(貧乏人から実業家まで)に扮して各話ごとに七変化(いまでいう「コスプレ」)を披露。特に当時27歳のアントネッリはヌードも辞さずエロエロです(笑)。さすが1973年のイタリアの興行成績第2位を記録しただけはある。この人も一時、ジャン・ポール・ベルモンドと同棲していたそうですから・・・やるなぁ、ベルモンド!

 9話とも(2時間弱の上映時間なので1本あたりの時間は大して長くない)なかなか凝った設定と脚本で(ネオリアリスモのパロディなんかもある)十分1本の長編に拡大しても成立すると思います。
 監督はディーノ・リージ(「ナポリと女と泥棒」)、音楽は傑作犯罪映画「黄金の7人」を担当したアルマンド・トロヴァヨーリ。モンドでお洒落な音楽も今作の聞き所です!陽気なイタリア人の大らかな性の饗宴(?!)をお楽しみください。


 <次回予告>お次は実録犯罪映画「ゾディアック」を紹介!!「お色気」から「連続殺人」まで、このブログは本当に幅広い!!(「節操がない」ともいう:苦笑)