其の293:大CGアクション大会「ウォンテッド」

 友人・知人からの評判を聞いて超多忙の合間をぬって現在公開中の映画「ウォンテッド」(ルドガー・ハウアーの同名主演作ではないのでご注意)を観ましたが、なかなか面白かったっす(多々つっこみどころもあるけど)。本当は別ネタを考えてたんだけど、急遽内容を切り替えた次第。ネタバレしない範囲で書きますわ^^


 デブの女上司には毎日嫌味を言われ、同棲してる彼女は職場の男に寝取られ(苦笑:そんな女とは別れろよ)リーマンのウェスリー(「つぐない」のジェイムズ・マカボイ)はストレスまみれの日々を送っていた。
 そんなある日、スーパーで買い物していると謎の美女フォックス(アンジェリーナ・ジョリー姐さん)が彼の元に現れ、ウェスリーと長年音信普通の父親は実は凄腕の殺し屋で、先日暗殺されたと告げる。すると店内にいた不審な男クロスといきなり大銃撃戦を繰り広げるフォックス!ウェスリーが命からがら彼女に連れてこられた紡績工場は1000年前から続く影の暗殺組織<フラタニティ>の本部だった。
 組織の首領スローン(モーガン・フリーマン)から父もフラタニティのメンバーであり、父を殺したのは裏切り者のクロスだと聞かされたウェスリーはそれまでの生活を捨て、暗殺者としての特訓を開始する!(で、このあと「どんでん返し」があるんで、どうぞお楽しみに^^)


 「冴えない生活からの脱却」、そして「CGによる重力無視の大アクション」・・・。観た人全てが感じていると思うがー「マトリックス」と基本設定そっくり(笑)。実は今作、マーク・ミラーによる同名グラフィック・ノベルの映画化!本当に漫画の映画化、最近多いな〜。ところが原作はスーパーヒーローとヴィラン(=悪党)と呼ばれる二大勢力が幅を利かせている世界で、主人公は父の跡を継ぎ悪党の道を進むという物語で映画本編とは全然違う。ファンは怒りそうだけど、原作のネタが随所に反映されているんでミラー自身は喜んだというから・・・まっ、いいか(笑)。


 映画最大の見所は「ありえねぇ〜」超絶アクションの数々!乗っている車がくるくると上空を回転しながらも、真下を走る車に乗っているターゲットの人物を撃つ・・・(苦笑)。「チャーリーズ・エンジェル」や「シューテム・アップ」を観ている筆者にとってはもうこれぐらいでは驚かないけどさ。でも正直、重力の低い<別の地球>でもない限りはありえないアクション!!金と時間をかければ、もうどんな映像でも作れるという良き見本ですな。
 「予告編」にもあるウリのアクションのひとつ「暗殺の標的に向かって弾が曲線を描く」のは・・・この設定だと100年特訓しても無理!横山光輝の漫画「その名は101」みたいにバビル2世の血を輸血して超能力者にするか、「コブラ」のサイコガンを装着するしかない(笑)。
 あと、この暗殺組織は「織機」が織った生地から暗殺すべきターゲットの名前を割り出すのだが・・・同姓同名さんもいると思うんだけど(苦笑)。その場合は世界中のその名前の人間を殺して歩くのだろうか?まぁ、この辺りはつっこまずに観るべきなんでしょうね^^


 <セクシーな凄腕の暗殺者>に扮しているのがアンジェリーナ・ジョリー。彼女が出ると一気に主人公の影が薄くなるほど魅力的!で、主人公をばしばしシバく(笑)。昨今、シリアスドラマの出演が多かったジョリ姐だが「ずっと同じようなジャンルが続くと、派手に銃を撃ちまくる作品が恋しくなるものなの」とナイスなコメント。「Mr.&Mrs.スミス」以来、3年ぶりのアクション映画に全力投球してます。走行中の車のボンネットに横たわりながら銃を撃つシーンも吹き替えなしで演じたというから、さすがオスカー女優は気合の入り方が違うね!
 主役のジェイムズ・マカボイも撮影3ヶ月前から様々なトレーニングをこなしてハードなアクションに耐えうる筋肉をつけたそうだが・・・終わった後は身体を鍛えることを続けなったので、つけた筋肉はもう落ちちゃったそうだ(笑:本人曰く「俺、怠け者なんだ」)。モーガン・フリーマンは相変わらずうまいが・・・近年トヨエツ並に・・・ちょっと映画出過ぎ(苦笑)。


 監督のティムール・ベクマンベトフは、話題となったロシア製アクション映画「ナイト・ウォッチ/NOCHNOIDOZOR」(’05)、「デイ・ウォッチ」(’06)を手掛けた俊英。一部では「ロシア人」と紹介されていますが、正しくはカザフスタン人です(’01年にロジャー・コーマン製作の「アリーナ」でハリウッドに進出。今作がアメリカ映画2本目)。今作は「アリーナ」と異なり予算も潤沢にあり、ポスプロ(後処理)もモスクワにある自身のスタジオでやったそうで「好きなようにやれた」そうな。次回作はハリウッド資本でロシアのヒーローを描くアクション映画を準備中とのこと(でもロシアのヒーローって、どんなん?)。彼も今後要チェックの映画監督のひとりであることは間違いなかろう。