其の277:シリーズ化の難しさ・・・!

 先日、誤ってPCのキーボードにお茶をこぼしてしまい修理に出すハメになりました。皆さん、お茶を飲みながらPCに向うのはやめましょうね(経験者は語る)!
 さて先日、今夏一番の話題作「インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国」を観ました。19年ぶりに復活したシリーズ第4弾!若い人だと、今作をロゴの似ている「ハムナプトラ」シリーズ(近日、3作目も公開)やニコラス・ケイジ主演の「ナショナル・トレジャー」シリーズの<亜流>や<真似>だと勘違いしそうですが、あくまでこちらが<本家>ですから!!

 物語は米ソ冷戦下の1957年、伝説の秘宝「クリスタル・スカル(=文字通り、水晶で出来た骸骨)」を巡ってインディ(ハリソン・フォード)とKGBのエージェント・スパルコ(ケイト・ブランシェット)一味が大争奪戦を繰り広げるというもの。インディの相棒マットに扮するのは「トランスフォーマー」でボンクラ童貞青年を演じたシャイア・ラブーフ。また「1」のヒロイン・マリオン(カレン・アレン)が再登場するので、これまでのシリーズを未見の人は最低1作目だけは見ておいた方がいいだろう(出来れば「3」も。父親役のショーン・コネリーは「死んだ」事になっているので写真のみの登場)。

 ハリソン扮する主人公は人間味溢れて魅力的だし(アクションも巧いことこなしてましたよ!もっともカメラ割りで早いので、いくらでも編集で誤魔化せるのではあるが)ジャングルや得体の知れない洞窟を冒険するなど少年心をくすぐる要素は満載だし、アクションも見せ場が多く(=ほとんどありえないものばかりで漫画的だけど。リアルに考えれば主人公は5回以上は死ぬはず:苦笑)見ていてあきはしないが「ロード・オブ・ザ・リング」、「エリザベス」シリーズ等で知られる大物オスカー女優ケイト・ブランシェットが「女体拷問人グレタ」を彷彿させるキャラで嬉々として悪役を演じているが(=このシリーズの大ファンらしい)アメリカ国内をKGBもろわかりの格好(制服に書いてある!)でここまで堂々と活動する事が出来るのか等々「?」も多い。そして舞台がアメリカから南米の某所(ネタバレ防止)までというシリーズで最も移動範囲が狭い(苦笑)。

 そして噂の<オチ>!これ、賛否両論あって筆者はなんとなく周辺情報で<予想>をしてはいたのだが・・・その予感は的中してしまった(涙)。なんでもジョージ・ルーカスの発案で、監督のスピルバーグは嫌がったらしいんだけど・・・。ルーカス的には好きなジャンルでもあり、新たなテイストをシリーズに加えたかったのかもしれないが、このオチだともう「なんでもあり」になっちゃうんだよね。「娯楽」と言われればそれまでかもしれんが。シリーズ第5作も検討されているようだが、このオチやったあとはもう後が苦しい気がする。好きなシリーズだけにラストが悔やまれる一作であった。


 「映画」という媒体はシリーズ化されると段々製作者サイドの(よくも悪くも)エゴが発露されてくる傾向にあるが、松本零士御大の映画「銀河鉄道999」シリーズもそれに近いものがある(=言うまでもないが発音は「スリーナイン」。小学生だった筆者は最初「ナイン・ナイン・ナイン」かと思った:懐)。
 いまじゃカバーされているゴダイゴの主題歌で御馴染みの第1作「銀河鉄道999」をつい最近も見直してみたが、やはり面白かった^^漫画とテレビアニメを観ていた人にとっては映画版の成長した星野鉄郎には違和感があったが(=たかだか5年であんなにカッコよくなるか?)見慣れると何でもないし、メーテルは最高の美女!更にはキャプテン・ハーロッククイーン・エメラルダスなど人気松本キャラが一同に介し「列車が宇宙を旅する」というSFファンタジーを大いに盛り上げて大ヒットを記録した(ちなみに監督はこれが劇場用映画初演出のりんたろう。監修には故・市川崑大先生!脚本と絵コンテを見てアドバイスしたそうな)。

 ところが・・・である。漫画、映画、テレビ全ての最終作として製作された続編「さよなら銀河鉄道999」は一転、ハードな<戦記もの>になってしまった。人類対機械化人の存続を賭けた壮絶な戦いである!確かに前作で鉄郎は念願だった機械の身体を手に入れることをやめ、限りある命で懸命に生きる事を選択はした。だが、我々が好きだった「999」の<核>は、あくまで毎回999が停車する不思議&魅力的な惑星の様子と、鉄郎が人間として成長していく姿に一喜一憂する事。そう、大勢の人々は999に「夢とロマン」を求めたのであって、ハードな戦争を描く事を望んだわけではないのだ!そのような展開になる事は作劇上、必然であったかも知れないが観客の求めるものとは遥かに乖離した内容だったと言わざるをえない。前作より興行成績が落ちたのは当然だと思う。

 ちなみにその後、(いまの流行とはいえ)漫画として「999」は復活!鉄郎は「Zガンダム」のアムロ同様、政府に危険人物と見做され監禁されていて、それをメーテルが助け出して999に乗せる(苦笑)。それを元に「エターナル・ファンタジー」という短編映画まで製作されたが・・・この作品の存在を知る者は数少ないかも(=筆者は劇場で観ました:苦笑)。
 近年ではオリジナル・アニメ他で「メーテルとエメラルダスは姉妹」、「メーテルの母はかつての1000年女王」等、ここまでリンクさせるか的な驚愕の大ネタが連発されている。ハーロックが戦っていた地球をのっとろうと企む女王ラフレシアのマゾーンの設定は・・・もう影も形もない(苦笑)。
 「ビジネス」として人気がある以上、「続編」を製作するのは資本主義を取る限り仕方のない事かも知れないが、あくまで「ファンが望む形」は必要最低限頭に入れてから作業に入って欲しいものだ。