其の256:チャンバラSF「ハイランダー/悪魔の戦士」

 映画ファンでラッセル・マルケイの名を聞いて連想するのは普通「ハイランダー/悪魔の戦士」(’86)だろう。マルケイといえばハイランダーハイランダーといえばマルケイ!!その彼も半ば消えつつありましたが(苦笑)なんと「バイオハザード」の3作目(’07)撮ってた(笑)。主演のミラ・ジョボビッチも「ハイランダーは私たちの世代のマスターピース」と絶賛してます。B級ながらアクション映画好きには外せない一作。オープニングからクイーンの曲がかかるし、ショーン・コネリーが主役を食う演技でいい味出してます^^


 時は現代(製作当時の1985年)のニューヨーク。プロレス会場の駐車場で、ふたりの男が各々刀を使って激しく戦い始めた!壮絶なバトルの末、生き残った男・・・彼の名はコナー・マクラウドダイアン・レインの元旦那、クリストファー・ランバート。ランベールと表記される事も)。彼は首を切られない限り死ぬことのないハイランダーと呼ばれる不死身の男!一族最後のひとりになった時に与えられる<究極の宝>を得るため彼は四半世紀半戦い続けているのだ。途中、ラブとかいろんなことありながら(笑)最強の戦士ビクター・クルガン(「スターシップ・トゥルーパーズ」で教官演ってるクランシー・ブラウン)と最後の戦いを迎えるー!!


 物語は現代のニューヨークと回想シーン(16世紀のスコットランドから第2次世界大戦まで)が交互に入れ替わりつつ進行するユニークな構成。ちょっと現代のシーンが進むと、すぐ回想になる(苦笑)。そんな今作の最大の魅力はソード・アクション(=チャンバラ)。刀を交えると火花が散り、そのパワーは周囲のものをも破壊する!石川五右衛門斬鉄剣なんて目じゃない(笑:ちなみにこれはアニメならではの名称。原作では「流星」)。で、お互いハイランダー(「スコットランドの高地人」の意)なんで、戦いの最後には相手を首チョンパ!火花を出したり首チョンパするのは石井輝男の「忘八武士道」の方が先だが・・・さすがにマルケイは観てないだろう(笑)。ショーン・コネリーがなぜ日本刀を持っているのか説明はあるけどわけわからん(苦笑)。


 ラッセル・マルケイは1953年、オーストラリア・メルボルン生まれ。デュラン・デュランやクイーンのビデオクリップを手掛けてMTVアワードなどを受賞。その切れ味よい編集&派手さ満点の映像センスを活かすべく映画界に進出しモンスター映画「レイザーバック」(’84)を初監督。「ハイランダー」は第2作目となる。で、いま今作を見直してみると・・・CM出身の映画監督リドリー・スコットの影響をモロに受けて作ったものと思われるのだ(本人がどう言ってるか知らんが)。
 スコットランドの風景の構図や剣闘の描き方はスコットのデビュー作「デュエリスト/決闘者」に酷似しているし、ニューヨークの青い照明やスモークの使用はどう観ても「ブレードランナー」!「デュエリスト」は男2人が何十年も闘い続ける話だが、これを何世紀にもグレードアップし主人公を「超人ロック」化させると(=ロックは不老不死のヒーロー)「ハイランダー」となる(強引?:笑)。


 周りの人々はみな年をとって死んでしまう為、愛を封印した孤独な男コナー(別名ラッセル・ナッシュ)をランバートが熱演。その昔、「瞳のセクシーな俳優」と呼ばれた彼だが、実はえらい近眼だそうだ(細かい情報)。その後もいろんな映画に出てますが現時点ではこれがベストかも。
そんな哀愁漂うヒーロー像と派手&ケレン味たっぷりのアクションで今作はヒット(ただ説明不足の点も多々あり。尺の都合でカットされたと思われる)、マルケイは高い評価を受けました^^


 ただ4年後に作られた続編「ハイランダー2/甦る戦士」(’90)は筆者未見。というのはマルケイが前作の設定をまるっきり捨てて(いきなり舞台は21世紀!)ハイランダーランバートが「どこかの惑星の流刑者」になってるそうだ(苦笑)。オチもトホホとのことで・・・余りに評判が悪すぎてとても観られない!!
後にマルケイは「ランボー3 怒りのアフガン」の監督をシルベスター・スタローンにクビにされたり(ハリウッドではスターの方が偉いのだ)凡作を連打して低迷(「リコシェ」とか「シャドー」とか)。同様にランバートもパッとしてない(残念)。さて、近日マルケイの「バイオハザード」を観てみますかね。所詮、雇われ仕事ではあるのだが・・・かつての輝きを少しは取り戻しているか否か?


 <どうでもいい追記>この中上級者向け映画ブログも早3年目に突入しました^^
「継続は力なり」との言葉通り、面白い映画だけを更新していきます。観たもの全て書いたり、無理矢理お芸術映画をアップする事はないのでどうぞご安心を。