其の254:わけわからん映画より「ドリームガールズ」

 大昔、TVでちょっとだけ観てやめた「愛の不毛」の大家ミケランジェロ・アントニオーニの「欲望」を改めて見直したのですが・・・やっぱり筆者はダメだった。グズグズした映像展開、話がありそうでなさそうな内容は苦手だし、嫌いだ(終盤、ミステリー・テイストに一瞬はなるのだけれど)!60年代当時のロンドンの「モッズ族」なる若者文化を観る分にはいいんだけどねぇ・・・残念無念。

 
 よっぽど(いや遥かに)、この間観た「ドリームガールズ」の方が面白かった!ダイアナ・ロスがメインヴォーカルだった「シュープリームス」の栄枯盛衰をモデルにしたミュージカル劇の映画化。筆者は基本的にどんなジャンルの映画でも観るのだけれど・・・正直、タモリと一緒でミュージカルは苦手。「歌うよりストーリー進めろよ」と言いたくなる(笑)。ところが今年は今作といい、ティム・バートンの「スウィーニー・トッド」といい・・・何故かミュージカル観る回数が増えてますわ。


 ストーリーはねぇ・・・要はシュープリームス結成から解散までの話なんで、洋楽に詳しい人はよ〜く知ってる話を書くことになってしまうので、これから見る人の楽しみを奪わないために割愛します。単純に言えば金、出世、権力、人気、確執、別離、謀略・・・とドロドロした人間関係が展開されるわけ!でも映画はこれでも実際よりはかなりマイルドになってるそうだ。

 
 ミュージカルだし、モデルはシュープリームスだからノリのいい楽曲が最初から最後まで楽しめるわけなのですが・・・俳優陣は黒人人気スターが勢揃い(っていうかほとんど黒人ばっか)!!
 ダイアナ・ロスがモデルの役にはビヨンセ・ノウルズ。元「デスティニーズ・チャイルド」だから容姿&歌唱力に全く問題なし!!「オースティン・パワーズ」最終作にも出てましたな。アフロで(笑)。
 彼女たちを売り出す男にはレイ・チャールズを完コピしたジェイミー・フォックス!段々落ち目になってゆく女にだらしないソウル歌手にエディ・マーフィ(この人、遂にラジー賞獲りましたな:爆笑)。加えて「リーサル・ウェポン」シリーズで御馴染みのダニー・グローバーまで出演!これにデンゼル・ワシントンドン・チードルまで出てれば完璧だったけど(笑)。


 特筆すべきはジェニファー・ハドソンアメリカの人気番組「アメリカン・アイドル」出身。これ日本で言えば「君こそスターだ!」と同じ新人発掘番組。で、この人、審査員のひとりにボロクソに言われつつも最終選考まで残る(優勝は他の人)。で、今作のオーディションでは番組優勝者をおしのけて役をゲット!更にはこの映画での熱演が認められて(歌うまいのよ)見事、アカデミー助演女優賞に輝いた。なんでも自分をけなした審査員を見返す為に頑張ったらしい(苦笑)。


 監督のビル・コンドンは、以前アカデミー作品賞獲った「シカゴ」(これもミュージカル劇の映画化)の脚本家でもある。「シカゴ」は様々な手法を駆使して歌唱部分を映像化していたけれど、今作の方がストレートにして華麗な印象を受けた。コンドンはどうやらアッチの趣味があるそうだが、衣装やセットそのほか作品に<女性の感性>を加えた事が功を奏したといえよう^^


 歌を聴いてる内に、あれよあれよと展開しすぎる感がなきにしもあらずだが(もう少〜しだけ社会背景も描いたらよりベストだったと思う)「欲望」みたいにダラダラ、グダグダしてるよりマシ!で、歌聴きながらドロドロの人間関係を端から見て楽しむと(笑)。これなら筆者みたいなミュージカル苦手な人も大丈夫!実録「ワイルド・パーティー」ミュージカル版として、是非ご覧あれ(ちと、このキャッチ・コピー、違う気もする)^^