其の245:快作ギャグアクション「ビッグ・ヒット」

 アカデミー賞の候補が発表されましたが・・・「作品賞」なぞ、どれも未だ日本で公開してないんで事前予想もできん(苦笑)。アカデミー獲ったから「いい映画、面白い映画」って事では決してないんだけどさ(本当)。そんな賞レースとは一切無縁ながら「面白い映画」のひとつと言えば、98年公開のアクション・コメディ「ビッグ・ヒット」!映画に人生を学ぶような超真面目な人でない限り、皆が楽しめる娯楽作であります^^


 メル(マーク・ウォルバーグ)は凄腕のヒットマンでありながら、プライベートは優柔不断でお人よしの気弱な男。仲間のシスコ(「ラ・バンバ」のルー・ダイアモンド・フィリップス)からはいいように使われ、レンタルビデオ屋からは延滞している「キングコング2」のテープを返せと催促される毎日(爆笑)。そんなある日、メルはシスコが提案した計画に加わり、日系人の大実業家の娘ケイコ(チャイナ・チャウ)の誘拐に成功する。これで金持ちになれると喜んだのも束の間、実はその娘の<名付け親>はメルたちが所属する組織のボスだった・・・(がちょ〜ん)!ボスの捜索命令を受けてビビったシスコはメルを犯人にでっち上げる。こうして気弱なメルは組織に追われる事になった・・・(哀)。


 殺しの腕は超一流なのにお人よし&気弱な<中村主水>的主人公を「ブギーナイツ」で巨根男に扮したマーク・ウォルバーグが好演(近年も凄腕のスナイパー役演ってる)。何よりもバカ続編映画として有名な「キングコング2」のビデオを延滞してるという設定がウケる(ただのボンクラやん)。誘拐したおねーちゃんと何故か恋仲になるっていうのはよくある展開だが(苦笑)。
 対するフィリップスなんか「ラ・バンバ」や「ヤングガン」のイメージをかなぐり捨てるハジケっぷりで、最後はもうほとんどサイコ!「ラブデス」の船越栄一郎をも越えている(笑)。


 監督はジャッキー・チェン主演「新ポリス・ストーリー」のカーク・ウォン(出は香港)。彼のハリウッド進出第1作である(以後、続いたかどうかは不明)。製作総指揮には香港つながりで先輩格のジョン・ウー大先生!何故か「ブレイド」シリーズのウェズリー・スナイプスも製作陣に名を連ねている(笑)。ウォンはもともとハードなマジアクション作品を作る事で知られているが、今作はアメリカというお国柄もあってかアクションに加えギャグも満載!但し、ジョン・ウーからは「下品なジョークが多すぎる」と注意されたそうだ(爆笑)。ついでに筆者からは日本人役に中国系を起用するのはやめて欲しいとダメ出ししておこう。


 ウーのほかツイ・ハークにしてもリンゴ・ラムにしても香港映画人がハリウッドに進出すると「アクション映画」を撮るのがパターンなんだけど(で主演はいつもジャン=クロード・ヴァンダム:笑)、ウォンは例外的にハリウッドのキャストをうまく使って、ドラマ部分もアクション部分もテンポよく演出(ウォルバーグとフィリップスがアクション出来る人なのも大きい)。クライマックスでは香港時代よりも派手なアクションを惜しげもなく披露(編集の切れもよし)、大いに盛り上げてくれます^^これぞアクション映画の醍醐味!


 近年、残念ながら香港映画は一時期のパワーが落ちているし、ハリウッドで頑張っている<進出組の監督>は香港の人よりメキシコ系の人だったりもして影が薄くなっていますが、ブルース・リー以降の香港映画の隆盛をよく知る我々日本人にとっては(「Mr.BOO」や「霊幻道士」等のコメディもあったし)さらなる頑張りを香港映画界に期待しましょう。ウー先生、「レッドクリフ赤壁)」期待してまっせ^^