<其の721>ラング!リー・マーヴィン!!「復讐は俺に任せろ」

 東京も長~い梅雨がようやく明けましたが・・・この猛暑!!コロナのせいでマスクは欠かせないし・・・こんなにワクワクしない夏も人生初(悲)。

 

 今年の春先は「時間が出来た時に昔のハードボイルド映画を観る」をテーマにして、何本か鑑賞出来たのだけど・・・そうそう、決して古くはないミステリー映画「ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密」も観ましたよ。監督は我らが「スター・ウォーズ」を酷い事にしたライアン・ジョンソン!でも、こちらはなかなか面白かった。嘘つくとゲロ吐く女の子(=「ブレラン」の続編に出たアナ・デ・アルマス)には爆笑^^!加えてジェイミー・リー・カーティスドン・ジョンソンの老けっぷりに驚愕。最初わからなかったわ(苦笑)。

 

 さて、ようやく本題(笑)。フリッツ・ラング監督・・・といえば、まだ映画がサイレントだった時代に、ドイツで超大作SF映画「メトロポリス」(→これに出てくるロボットが「SW」のC-3POの元ネタ)やサスペンス映画「ドクトル・マブゼ」、「M」ほかを演出。ナチスを嫌い、ハリウッドへ渡ってからも「死刑執行人もまた死す」、「恐怖省」ほか映画史に残る作品を次々に創った才人である。

 そんなラングさんの1953年の作品「復讐は俺に任せろ」は、どうも他の作品よりイマイチ知名度が低い気がする。でも、この作品も面白いのですよ^^!そんなにメジャーじゃない&映画史に埋もれた面白い作品を記録する意味でも今作を紹介します。

 

 アメリカのとある町ー。警察官のトム・ダンカンがある夜、自宅で拳銃自殺する。遺書を残すも、彼の妻は何故かその手紙を隠してしまった・・・。バニアン刑事(=「ギルダ」のグレン・フォード)は現場の状況から自殺として納得したものの、その理由についてトムと駈け落ちの約束をしていたという酒場女が接触してきた際、疑問を抱くようになる。

 程なく彼女の他殺死体が発見。全身に激しい拷問の痕跡が確認された。手口からみて市政を牛耳るギャングのラガナ一味の関与を疑うバニアン。ところが上司から「この事件から手を引くように」と命令される。ギャングと警察上層部の癒着ー。彼は単身ラガナ邸を訪れ、用心棒を殴り倒す。そんな中、ダンカンの妻が外出しようとした際、車に仕掛けられた爆弾によって殺されてしまう。妻を失い、警察を辞職に追い込まれたバニアンは復讐の為、捜査を開始。ラガナの子分ヴィンス(=リー・マーヴィン)とその情婦デビー(=グロリア・グレアム)に接近するが・・・!?

 

 <家族を殺された一匹狼の刑事が町を牛耳るボスに立ち向かう>ーよくある話だけど、ラング演出は冒頭からトリッキー!!未見の方の為に詳しくは書きませんが、これで「つかみはOK!(byダチョウ倶楽部)」。捜査は妥協しないけど、妻と子供をこよなく愛する主人公が、この後どんな活躍をみせるのか、観客は映画に身をゆだねていく事となる。

 21世紀の現代視点による今作最大の見所は、今回のタイトルにも書いたように若き日のリー・マーヴィンが極悪のギャング役で出演している事!「特攻大作戦」や「北国の帝王」他でタフなアクション俳優のイメージのある彼だが、若い時は悪役を多く演じていたのですよ・・・まさに「人に歴史あり」(笑)。馬面&強面なので、彼は一目見て分かったわ^^。

 そのリーさんが今作でどんだけ悪いかを書くと情婦の女(=グロリア・グレアム)が主人公と浮気したと誤解してブチ切れ、熱湯状態のコーヒーを彼女の顔面にぶっかけるのだ!!こうしてヒロインは映画の後半、顔の半分が包帯という姿に・・・。このバイオレンス描写は規制の厳しい当時としては画期的だっただろう。21世紀の今では余裕で許されてるけど(苦笑)。

 

 主人公の妻が車の爆弾で死ぬシチュエーションも「ゴッドファーザー」より断然早いし、才人のラングらしい演出が光る「復讐は俺に任せろ」。公開当時は好評だったそうで、ラングとグレン・フォードグロリア・グレアムの3人は早くも翌年「仕組まれた罠」でも仕事してるし、今作も後年リメイクされている。時代的に当然、白黒映画なのですが・・・それだけで観ないのはもったいないですぜ^^。