<其の743>実録・超自己中ヤ●ザ「仁義の墓場」

 いい季節になってきましたが・・・やっぱりGWに緊急事態宣言PART3が出るんですね(また映画の公開スケジュールが変更されるなぁ!「閃光のハサウェイ」は大丈夫か!?)。国民の大多数のワクチン接種が終われば、少しは希望の光が見えてくるのでしょうか・・・??

 

 ここから本題。今回は・・・メジャー作品で申し訳ない!東映作品「仁義の墓場」(’75)です。主演・渡哲也!監督・深作欣二!!・・・超メジャー(笑)!!でも、令和になってから、あまりこの映画が語られなくなった気もして・・・。観ると「本当にこんな人がいたのか!?」と驚愕してしまう実話の映画化。先日亡くなられた田中邦衛さんも出演してます。三池崇史監督の「新・仁義の墓場」(’02)は今作のリメイク。

 

 日本人ヤクザと中国人ほか外国勢との抗争が続いていた終戦直後の新宿ー。「河田組」の石川力夫(=渡哲也)は兄弟分の今井(=梅宮辰夫)らと外国人組織の賭場を襲撃してテラ銭を強奪したものの、双方共に逮捕される。ところが治安維持を目的とした警察の計らいで石川ら日本人達は釈放、外国人組織の縄張りを手に入れる事となる。石川は抗争の最中に知り会った置屋で働く娘・地恵子(=多岐川裕美)を預けた銃と金を取りにいった際に強姦する。その後も凶暴性を発揮し、周囲を困らせる石川は賭場でトラブルを起こし、組長の河田(=ハナ肇)と昵懇にしている「野津組」組長・野津(=安藤昇)から一喝された為、彼の車を放火。河田から激しい制裁を受けるも、逆上して河田を刺してしまう!!逮捕され1年6ヶ月の懲役を受けた後、出所した石川は「河田組」から<10年間の関東所払い>を受けた為、単身大阪へ移ったのだが・・・!!

 

 ネタバレしないように書きますけど・・・まぁ、すさまじい伝記ですわ!主人公が何を考えているのか全く分からないので共感する事も出来ず、観客はただハラハラしながら事の推移を見守るしかない。スタッフ(脚本家含む)も映画の為に色々リサーチしたものの・・・やっぱり石川力夫の行動原理はよく分からんかったそうな(苦笑)。冒頭のインタビュー音声はシナリオハンティング(略して「シナハン」)の時に、石川の少年時代を知る人々の証言を隠しマイクで録音したものとのこと。

 やっぱり注目すべきは渡哲也さんでしょうねぇ。日活時代もヤクザ役は色々演ってらっしゃったけど、ここまでの狂犬ぶりは・・・なかったですなぁ。よくこの役を受けたものだ。連日のハードな撮影で体調を崩され、最後は点滴をうってお芝居したそうだが・・・それもあってか表情が(特に後半)めちゃめちゃ怖い!

 他の出演者、梅宮辰夫や山城新伍ほかは東映・実録ヤクザ映画のいつものメンバー(笑)。多岐川裕美の役は端から観てても可哀想すぎる。先述した田中邦衛さんの役は主人公が大阪で出会うヤクザなんだけど、完全なヤク中で何かある度に拳銃ぶっ放す(で、台詞も少ない)!!今作が「田中邦衛さん追悼番組」で紹介されなかったのも無理はない(苦笑)。

 あと、このブログでお馴染の池玲子も出てるんだけどー梅宮さんの妻役を大熱演(感心)!!今作では脱いでないけど、池さんのファンは必見です^^。ちなみに今作に出演している安藤昇は石川が新宿で暴れまくっていた昭和20年代当時、渋谷でブイブイいわせていらっしゃった方だが、当時石川の名前は聞いた事がないとコメントしている。

 渡さんの指名を受けて登板した深作欣二監督の演出は今作でもパワフル!!すでに「仁義なき戦い」シリーズで集団抗争を描いた彼が、今作では超自己中破滅型ヤクザという個人に焦点を絞って演出したら・・・主人公のキャラ&ストーリー(勿論、フィクションの部分もあり)と相まって恐ろしい情念までもがフィルムに焼き付けられたーといっても過言ではあるまい。観終わると気分がドーンと暗くなる(苦笑)。

 

 石川力夫という人物に興味が出てきた方は、ご自分でも調べてみて下さい。人間、常に勉強です(笑:えらそうに)^^。また映画公開後、脚本家たちが揉めたエピソードとか映画自体にも色々あったそうなので、そういうお話も調べてみると面白いですよ。ステイホームの間に是非❤

 

<どうでもいい追記>「エヴァ」大ヒット中の庵野さんは「シン・ウルトラマン」の脚本書いた後、監督するのは「シン・仮面ライダー」って・・・!少年時代に好きだったものを全部リブートする気なのかしらん??・・・どっちも観にいくけどさ(笑)。