其の227:海外に行く前に・・・「ホステル」シリーズ

 イギリスのHMVがハロウィーンにちなんで行った「最も怖い映画」調査で、かの「エクソシスト」が第1位に選ばれたそうだ。ちなみに2位はスタンリー・キューブリック監督、ジャック・ニコルソン主演の「シャイニング」。3位がジョン・カーペンターの「ハロウィン」で、以下「エルム街の悪夢」(フレディ!)と続くそうだ。悪魔憑きの「エクソシスト」も怖いけど、ある意味「ホステル」の方が怖い気もする。海外でハメはずす旅行者が巻き込まれる血も凍る惨劇!う〜ん、とってもリアル(笑)。不倫経験のある男性が「危険な情事」を観て震え上がったように、今作も海外に行って遊んだ事のある人なら・・・心底身につまされる映画だと思う(笑)。


 オランダ、アムステルダムアメリカから来た大学生のパクストンとジョシュ、加えて旅の途中で知り合ったオリー(=アイルランド人)の3人はアルコールやドラッグを決めて遊びまくるバックパッカー。彼らはひょんな事から現地の男に「スロバキアの某スパ施設に行けば、いい女とヤリまくれる」と吹き込まれ、本来の予定を変更して即行で現地に移動(笑)。当のスパでは噂通り、すぐにいい女と知り合い、これまた即行でベッドイン!ところが翌朝、オリーの姿はなかった・・・。彼らはここに来た時点で恐るべき「拷問殺人クラブ」の魔の手に堕ちていたのだ!果たして彼らの運命は如何に!?


 とまぁ、しょーもないスケベ旅行者が酷い目に遭うという海外旅行での「教訓」とでも言うべき良作。ジャンルで言えば「ホラー」というカテゴリーに入ると思うが、「ブラックコメディ」の趣もある。ちなみに彼らのほか「スパ目的」でつられた日本人女性観光客も酷い目に遭います(苦笑)。この辺りは製作総指揮を手掛けたクエンティン・タランティーノの「趣味」なのかもしれない(=親日)。三池崇史監督もちょい役ながら「俳優」として出演してるし(=この縁でタランティーノが三池の「ジャンゴ」に出演したという訳。蛇足だが、ロスはタラの「グラインドハウス」で「フェイク予告」を担当)。


 脚本・監督は「キャビン・フィーバー」でホラーファンを喜ばせたイーライ・ロス。「ホステル」はロスが友人から聞いた話ー「タイ」には金を払えば人を殺せるスリルが味わえる所があるという(筆者もタイに行った事あるけど・・・ほんまかいな)ーをもとに発想したもの。それを何故「タイ」から「スロバキア」にしたのかは・・・不明です(笑:実際、東欧はアジア並に「命」の安い所ではあるのだが。でもロケはスロバキアではなく、プラハ)。


 ロスの演出は今時の編集技法(=MTV的チャカチャカ編集。例:近年のトニー・スコット作品)を使わず、あくまで「正攻法」!おかげで「拷問シーン」は・・・相当、痛い仕上がりに。血まみれスプラッタシーンのほか、映画には大量のおっぱいも登場!!娯楽映画に欠かせない「エロ」と「グロ」の要素が渾然一体となっている(勿論、それだけじゃないのだがネタバレになるので割愛)。その結果、本国アメリカでは「R指定」ながら5週連続トップの快挙。ロスはかなり「商売上手」だと筆者は観た(笑)。
 先日、日本でも公開された続編「ホステル2」では「高級天然スパ」につられたアメリカ人女子大生が餌食になる(笑)。やはり世の中にうまい話はないのだ^^


 「旅は恥のかき捨て」とは言いますが、下手に欲望に胸を膨らませて(男の場合は「股間」も:笑)ハメを外すとトンデモない目に遭う事もある・・・と映画は訴えかけてくれる(笑)。身に覚えのある、そこのアナタ!次の旅行は・・・どうぞ気をつけて。