其の226:米式ヤンキー映画「ウォリアーズ」

 高橋ヒロシの漫画を実写化した「クローズ ZERO」(「ジャンゴ」に続く三池崇史監督作)が公開されましたが、未だに「ヤンキー漫画」は根強い人気があるようで。本宮ひろ志の「男一匹ガキ大将」や池上遼一の「男組」、「湘南爆走族」、「カメレオン」ほか・・・昔っからこのテの作品あるもんなぁ(笑)。若者が絶滅しない限り不滅のジャンルのひとつのようだ。
筆者が学生時代に好きだった監督のひとり、ウォルター・ヒルも1979年に「ウォリアーズ」というヤンキー映画を作ってます!最近、久々に見直したんですが・・・やっぱり面白いゾ^^ジョン・マクティアナンの駄作「13ウォーリアーズ」と混同せぬようご注意!!


 ある夏の夜。ニューヨーク最大の不良組織「リフス」の首領サイラスが「市内の各チームの代表者(1組あたり9名)はブルックリン公園に集まれ」と大号令を発した。革チョッキに身を包む「ウォリアーズ」のメンバー、スワン(マイケル・バッグ)らもその集会に駆けつける。100組もの代表者が集まった公園でサイラスは抗争をやめ、皆が一致団結し街を占拠にしようと呼びかける。ところが「武器の所持は一切禁止」の決まりを破ったあるグループの不届き者が彼を射殺!張り込んでいた警察の乱入もあって現場は大混乱に陥る。その最中、撃った男が「犯人はウォリアーズの連中だ!」と叫んだため、彼らは警察と各グループから狙われる破目になった。地元コニー・アイランドまでの帰路、約45キロ。濡れ衣を着せられた彼らの決死の逃避行が始まったー!


 監督のウォルター・ヒルは1942年、カリフォルニア州生まれ。ミシガン州立大学卒業後、建築・石油採掘業をしながら脚本家を目指し72年、「殺人者にラブソングを」で脚本家デビュー。サム・ペキンパー監督、スティーブ・マックイーン主演の「ゲッタウェイ」ほかを手掛けたあと「ストリートファイター」で監督としてもデビュー(兼脚本)。その後も脚本兼任で「ザ・ドライバー」や今作のほか「ストリート・オブ・ファイヤー」、エディ・マーフィの映画初出演作「48時間」など男気溢れる快作を連発!「エイリアン」シリーズには製作総指揮で名を連ねる才人である。得意なのは勿論、アクション描写!!この作品でも大迫力の乱闘シーンが様々なバリエーションでもって描かれております^^

 
 今作はソル・ユーリックがニューヨークのストリート・キッズを取材して書いた小説「夜の戦士たち」をもとにヒルとユーリックが共同で脚本を書き上げた。小説は流石にここまで劇的な内容ではないらしい(笑:珍妙な格好のグループが多数登場。「時計じかけのオレンジ」のアレックス風の輩も)。これぞ本当の「地獄の逃避行」だが、車を盗んだり、皆の金集めてタクシーに乗るなど考えずキチンと「電車で地元へ戻る」ところが少年らしくてよろしい(でも実際に演じた俳優は20代から30代:笑)。その代わり、女のミエミエな色仕掛けにあっさり引っかかって窮地に陥るなど「頭脳」はかなりシンプル(爆笑:「マッドボンバー」の囮捜査のシーンじゃないんだから)。


 当時も思ったけど・・・アメリカのヤンキーやレディースは車やバスの箱乗りは勿論、銃で武装してるから恐ろしいね!火炎瓶使ったり。それに比べりゃ日本の不良少年など可愛いものかも。この映画に影響されて当時、カリフォルニアで2件、ニューヨークで1件、今作を上映していた映画館で10代の少年による殺人事件が発生。そのため、警察は「社会問題」として対処。公開禁止の措置を取る州まで出たそうだ(=おかげで興行的には惨敗)。「マトリックス」観て事件起こした奴といい、すぐ影響されて真似する人間はいつの世にもいるのだ(困)。


 70年代、80年代と話題作を連発したヒル御大でしたが・・・90年代に入ると低迷&迷走!どうでもいい内容だったミッキー・ローク主演の「ジョニー・ハンサム」、前作を台無しにした「48時間PART2/帰って来たふたり」、どこが「用心棒」のリメイクかよくわからん「ラストマン・スタンディング」(三船敏郎ブルース・ウィリス)などなどトホホ作を連打(涙)。ヒル印のアクション快作をせめてあと1回でいいから観てみたい!ヒルよ、復活してくれ〜(頼むから)!!!


 
 <追記>年末に公開される織田裕二主演作「椿三十郎」に続いて、「隠し砦の三悪人」もリメイクされるそうで。ところがなんと主演は「花より男子」のジャニーズ松潤(=姫役が長澤まさみで三船の役は阿部寛)!!・・・なんか黒澤明作品のリメイク流行りだが・・・だ、大丈夫か、日本の映画界は?!