<其の720>恐怖に慄く美貌の人妻!!「私は殺される」

 東京のコロナ感染者が最多を更新してえらい事になっている今日この頃です。

 

 ステイホーム中、つい数年前までは知らなかった昔のサスペンス映画を観ている事は先日書きましたが・・・いまも観てます(笑)。そうそう、キング原作の「IT」の続編も先日観ましたわ。悪くはなかったけど(ラストは大スペクタクル^^)、個人的な好みでは、少年少女の友情や作品に抒情性を感じられた前作に軍配を上げる。

 昔のサスペンス映画の話に戻ります(すぐ脱線:汗)。余り文献に記録のない68分の中篇「恐怖のまわり道」(’45)や、レイモンド・チャンドラー原作の“ハードボイルド”「湖中の女」(’46)は主人公の探偵フィリップ・マーロウの1人称で書かれている事を再現する為、なんと映画自体がほぼマーロウの<主観映像>という、「ハードコア」よりもはるかに早い超異色作!

 アイデアはいいんだけど、主人公の主観である分、サスペンス映画に必要なシャープな編集が出来ないので、映画の完成度としてはイマイチだし、タイトルの“湖中の女”が台詞だけで処理されて画面に出てこないのも残念だった。主演と監督を兼任しているのがロバート・モンゴメリーという御仁なのだが、なんとこの人の娘さんがTV「奥さまは魔女」で人気だったエリザベス・モンゴメリーというのに一番驚いた(笑)。

 

 さて・・・ようやく本題。これも今ではそんなにメジャーではないと思う映画「私は殺される」(’48)。白黒作品で御座います。電話はまだ交換手がつないでいた時代!主演はバーバラ・スタンウィックビリー・ワイルダーの「深夜の告白」(’44)他に出ていた美人女優さん。今作でアカデミー賞にノミネートされた(受賞は逃した)。そして、彼女の夫役はまだ新人時代のバート・ランカスター(驚)!!ちなみに今回のブログのタイトルは「新東宝」をイメージしてつけてみました^^。

 

 アメリカ・ニューヨーク。大手製薬会社社長の娘・レオナ(=バーバラ・スタンウィック)は心臓が悪く、自宅でほぼ寝たきりの生活をしている。そんなある夜、早めに帰宅すると言っていた夫・ヘンリー(=バート・ランカスター)の帰りが遅いので会社へ連絡すると、混線した電話から「今夜何時に例の女を殺そう」という会話を聞いてしまう。彼女は警察に通報したものの具体性がないとして相手にされない。すでにメイドも帰宅させたので、彼女は夫の秘書に電話してみると、彼は訪ねてきたロード夫人と外出したきり、何の連絡もないと返答された。レオナはロード夫人や主治医に電話する中、ヘンリーが影で何らかの行動を起こしている事を知る。すると彼女にエヴァンスと名乗る見ず知らずの男からの電話がきて・・・!?

 

 今作は人気ラジオドラマ(懐っ!)の映画化・・・という事で<音声=電話>をうまく映像に取り入れた一作。交換手とか電話の混線とかーう~ん、時代だなぁ。加えてヒッチコックの「裏窓」の主人公同様(足を骨折していて動けない)、今作のヒロインは殺人を食い止めたいのだけれど、病気で豪邸の二階のベッド周辺しか動けない(電話はベッドの横にある)という設定。この状況が観ている我々にハラハラドキドキをもたらせる^^。

 サスペンス映画なので、詳細は書けないんだけど・・・バーバラ・スタンウィックはベタな我がままな金持ち娘役で、回想シーンでは交際相手がいるヘンリーを半ば強引にものにする<肉食系>である事が語られる。正直、嫌な奴だが、実は・・・という複雑な女心を巧演。実際にバーバラさんは超いい人だったそうよ❤

 一方、タフガイのイメージのあるバート・ランカスターが<金持ちの奥さんに頭の上がらない労働者階級出の夫>という役を演じているのが面白い。後の「山猫」とかでみせた貫禄はまるでなし(笑)。このブログで何度も書いてるけど「人に歴史あり」ですわ。彼が一体全体どうなったのかは観てのお楽しみという事で。ラストもちょっとビックリするゾ!

 

 今後、コロナで日常がどうなるかは分からないけど(ステイホーム中はいつもよりは時間が出来たけど、週4~5日は出勤してたしね)、しられざる古い映画を観る事と、これまで余り観ていなかったジャンルの映画鑑賞は続けていこうと思います🎵